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神天絶技  作者: ハミエル
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序章

双肩に背負った使命、それを最後までやる力。

子供達にそれを伝えたい為に書こうと思います。

はじめての為、拙い文章で申し訳ありませんが、既

存の小説の真似にならないように頑張ります。

在籍はしていきますので、どうか最後まで、たの

しんでいただければ幸いです。

なんども挫けそうな時も、嫌になった時も、つら

い時も、勇気をもって立ち向かってください。


守りたいもののために、強くありたい。

これはそんな物語。



8月7日、いつものように目覚ましの音で起きる。

朝か…

学校に行く準備を進め、朝食は菓子パン…

絶賛居候中、親を知らずずっとこの街で育った。18年前の春、名前を書かれた手紙と赤ん坊が、この家の前に置かれていたらしい。





「シース君、学校いくよ〜」

いつものように笑顔で俺の部屋に勝手に入ってくるこの家の娘、ホリィ。まあ居候の身で文句は言えないんだが。

「ああ、行くよ」

着替えを終え、鞄を持つ俺に後ろから腰まで伸びた髪を掴んでくる。

「ねぇねぇ〜、いい加減髪切りなよ〜」

はいはい。



いつも通りの朝、いつも通りの日常、いつも通りの通学路、そして…

「シース!!今日こそ決着をつけるぞ!」

いつも通りの馬鹿。


金髪、長髪、オールバックとどっかの格闘ゲームでみたことあるようなこの男は、事あるごとに俺と戦いたがる。


「なぁジョウ、もう俺の負けでいいから毎朝勘弁してくれよ」


当然聞き入れてもらえず、その場で早朝バトルが開始される。負けでいいとは言ったものの、本気でぶつかるのが礼儀だろう


「行くぞ!オラァ!」


ジョウの力強い鉄拳が俺の左頬をかすめ、すかさず蹴りを入れるが…


「甘い!」


流石高校最強の異名を持つだけはある。お互い一歩も引かず、10分間程戦い続け、今日も引き分けになりそうだ。


「二人共頑張れ〜」


いや止めろよ。


お互い力を出しきり、今日も3人仲良く遅刻。タチが悪いのは3人共同じ教室だという事くらいか。先生も溜息が出るわな。


さて、1限目は数学か…





…何事もなく、無事一日を終え、帰り支度をしていると、「パパに買ってもらったんだ」のセリフが妙に似合う髪型をした三枚目が話しかけてくる。


「なあシース、帰り付き合わへん?美味い店見つけたんや」


知ってるぞ、お前が関西人でない事は。


「いやいやガンマ、弁当食べて、2時間くらいしか経ってないんだが」


少々呆れてる俺を他所に後ろで行く気満々なポニーテールがワクワクしている。


「お、ホリィちゃんもいくんか?ほなら出発や!今日くらい奢ったるわ〜」


何故か気前のいいガンマ。


「キャー!カッコイー!」


ガンマの肩を持ちぴょんぴょん飛び跳ねる小悪魔っぷりをホリィが魅せる。

女って怖いな。


仕方なく付き合う事になり、歩いているとジョウが公園のベンチで携帯片手に話しているのが見えた。


…?

妙に深刻そうだ…まあ折角だし、ジョウも誘ってみるか…

「なあ、ジョウも誘っていいか?」

ガンマとジョウ、別に仲が悪いというわけではないが、一応ガンマに聞いてみる。


「ええけど、今から呼ぶんか?あいつの家逆方向やろ?」

不思議そうにこちらを見るガンマに対し、少し離れた場所を指差し、「ああ、あそこに…」と答えた瞬間、不可思議な光景がそこにはあった。


「…いない…というより、消えた?」


確かに見たはずだ、妙に真剣な顔で話しているジョウを。一瞬ガンマの方に視線を向け、すぐに視線を戻した、なのに…気のせい?


俺は公園に小走り出向かいベンチを調べると、ジョウが座っていた場所が、なぜか所々焦げている事に気付く。しかも…これは…



「なあシース、どうしたんや?意味がわからんで自分」

ガンマが不思議そうにこちらに歩みを進め、ホリィは離れた場所で、心配そうな眼差しで俺を見ている。



「ガンマ、これどう思う?」

近づいてきたガンマに俺が尋ねると、ベンチの異常にすぐに気がついた。

「…これ…は…」

ガンマの顔が嫌そうに歪んでいく。

ホリィも「どうしたの?」とこちらに歩き始めるが、


「止まり!来たらあかん!」


ガンマが止める。

当たり前だ、そこに両手分合計10本もの指が、転がっていたのだから。


誰のものか考えたくはなかったし、理解したくなかったが、毎日、毎朝のように近くで見ていたからわかってしまった。そして、それに後悔した。

太さ、長さ、爪の形、そしてさっき見たもの…


「多分、ジョウの指だ」



その後、何がなんだかわからないままだったが、ホリィには何があったか口頭で伝え、警察に連絡、事情聴取等々が終わり、その場を後にした。


翌日、学校へ行く。

道中…

教室…

1限目…2限目……放課後


認めたくはなかった。

実は昨日のは気のせいで、指も精巧なつくりもので、ひょっこりあいつが出て来て「シース!今日こそは!」なんて言ってくるもんだと思いたかった。


最後の希望にすがるように、事情を知っているガンマ、ホリィの3人でジョウの家にいき、チャイムを鳴らす。


ピンポーン


…扉が開くまで妙に長く感じた。


ガチャリ


出て来たのは、ジョウの母親。不安そうな表情で俺たちを招き入れる。どうやらというか、やはり、昨日から帰っていないらしい。

その後も定期的に携帯にかけているが、コールをするだけのようだ。

母親に話を聞くと、色々とわかった事があった。



好きな子がいて、自分がその子を護れるほど強くなったら想いを伝えるつもりだったこと。


その子と同棲しているライバルがいて、そいつに勝つ事ができたら、前に進めると言っていたこと。


…多分、俺とホリィの事だ。


母親の話は続き、

強くなりたいのに、これ以上どうしたらいいのかがわからず、ずっと頭を抱えて悩んでいたことや、たまに独り言を言うようになってしまっていた事を知った。



あいつの身に何が起きたのかわからない、でも、最後の希望はまだ残っていた。皮肉にも、今起きている問題そのものだが、何も見つかっていないと言う事だ。携帯も、学校のバッグも、…死体も。


俺たちは3人で改めてジョウを探す決意をした。


まずは公園に行き、焦げた跡を調べてみるが…当然何もない。

周りも探してみたが、情報と呼べるものはなかった。


20分ほど調べたあたりで、焦げた跡の前でガンマが口を開く。

「なあ、確かジョウの奴、電話しとったんやろ?」

俺が頷くと、暫くガンマは考え込んだ。

そして、

「それほんまなん?」

意味深な事を言い始め、俺とホリィに1つの可能性について語りはじめた。


「この焦げた跡、仮にこれをジョウを焼き消したものとするで」


考えなかったわけじゃないが…いや、今は取り敢えずガンマの話を聞いてみる事にしよう。


「シースは一瞬目を逸らしただけやろ?その一瞬で燃えてなくなるんはありえへんやろ、そんな火、あるか?もし、仮にそれだけ強い火があったとして、じゃあなんでベンチには焦げた跡だけあって、ジョウの体全体が燃えてなくなるんや?爪先から頭まで、おかしないか?」


冷静になって考えたら確かにその通りだ。


「しかも思い出してみい、親御さん、なんてゆうとった?携帯にかけて、コールはするゆうてなかったか?体も服も荷物も燃えて、携帯だけ無事にどっか飛んでったんか?」


確かに無理がある。

無理しかない程の推理だ。


「じゃあ指の件はどうなるの?」


ホリィは真剣な眼差しでガンマを見る。


「まあまちぃや、順番にいくで。そうなるとジョウは燃えて消えたわけやない。じゃあなんで一瞬で消えたのか、なんで焦げた跡があるのか、ポイントはここやねん。」


「勿体ぶらずに教えてくれ」


俺の中の希望に似た期待が、少しだけ大きくなっていくのが感じられた。


「摩擦熱ちゃうか」


「摩擦熱?」

燃えたよりは説得力がありそうだが、やはり無理があると感じたのか、俺は聞き返した。

しかしガンマは構わず話続ける。


「つまり、どんな力が働いたんか知らへんけど、シースが目を離した瞬間、通常では考えられん程のスピードで移動したんや。指に関しては、その力の代償かなんかで…つまり、…ん〜、あいつ、ジョウは、なんか訳の分からんもんと、取引でもしたんやないか?」


…最後が無理矢理すぎて話が全く見えない、だが、一つだけやるべき事は明確になってきた。


「ちょ、ちょっと、それこそ無理がない?そんな力あり得ないよ、しかもガンマ君の言うように、取引だとしても一人だったんでしょ?一人で携帯で……携帯?あ!!」


ホリィも気付いたようだ。

そう、何かを確かめる為にも、ジョウが最後に電話していた相手、もしくは携帯を探しあてることがこの謎をとく鍵となる気がした。そして、ガンマの推理が正しいとしたら、少なくとも一つだけは、安心できるニュースが決まる。



「ジョウは、生きてる?」


普通に考えればガンマの推理などそれこそあり得ない、だが、だからと言って頭ごなしに否定しては前に進めない。信じる信じないは別にして、俺たちはとりあえず携帯を探す事にした。


まずは電話をかけようとしたが、いつ携帯の充電が切れるとも限らないので後回し。

母親にも充電の関係で電話するのを暫くやめるように指示をする。その際、携帯ショップに連絡し、追跡できないか試したかを聞いたら、すでに母親は連絡しており、隣町にあるらしいとのこと。


念の為、こちらでも確認してみる。

プルルルル…ガチャ

「もしもし、携帯電話がどこにあるのか調べて欲しいのですが…」


暫くして携帯会社の受付は答えた。


「ええと…現在中心部から離れた北の街の辺りにあるみたいです。」


中心部から離れた北の街といえば幾つかあるが、最短の街でも数10キロは行った場所だ。別におかしくない距離だが、現状に限ってはいい意味でおかしい。何故なら当然、移動しているからだ。


「携帯持って移動しているって考えていいんだよな?」

俺は期待を含め二人に話しかける。


「まだわからへんけど、可能性はデカなってきたな」


ガンマの顔も少し嬉しそうになっているようだ。具体的な場所をなんとか調べられないか再度電話をしてみるが、返ってきたのは予想だにしない答えだった。


「現在、中心部にあるようです。」


何を言っているのかわからなかった。


「あの、さっき聞いたら今北の街にあるって言われたんですが…」


携帯会社側も何を言ってるんだ?という感じを出していたが、不思議がりながらも再度調べてくれた。


「あの、お客様、今詳細を調べましたところ、中心部から外れて、今は東部の端にございます…」


意味がわからない。

だが、繋がってはならないものが繋がった気がした。

電話を切り、二人に事情を説明するが、やはり二人共青ざめていく。ガンマの推理が当たっていたかも知れないのだ。

もし本当にそうなら、どうしようもない。1分も経たないうちに中心部から東部の端へ移動?20キロはあるんだぞ。つまり、猛スピードで移動するジョウの携帯電話を持つ奴がいるということだ。そして、それがジョウ本人の可能性もある。少なくとも、人外の力が働いているのを認めるしかない。携帯会社のミス、バグの可能性もあるが、考えられないだろう。

なぜなら、念の為最後に俺、ガンマ、ホリィの携帯の位置を確認してもらったら、概ね当たっていたのだから。


生きてるかもしれない、でも、確認のしようがない。

向こうから来てくれるのを待つしかなかった。



俺たち三人は、やむ終えず家に帰ることにした。

途中、ガンマと別れ、俺はホリィと家路に向かう。


「なあホリィ、ジョウってさ…なんだ…つまり」

言いかけて、言えない俺を察したのか、ホリィが遮る。

「うん、わかってる…もしかしたら、私達のせいかもしれないよ…ね」


そう、多分ジョウはホリィが好きで、俺に勝ったら気持ちを伝えるつもりだったのだ。

ところが俺とはいつまで経っても決着はつかず、それどこれか、負けるかもしれないと思い始めていたんだ。そんな時にもし、悪魔の囁きがあったとしたら…


俺が負けて、ホリィがジョウと一緒になれば、こんなことにはならなかったかもしれない。


そう考えてしまう。





そして、それは間違った方向で現実となってしまう。




この作品は私が小学校にいた時にはじまったものです。

はやいもので、あれから20年以上経っています。

物語としての完結はしますが、これからも続ける予定です。

シースと仲間たち、様々な想いが交差するなか、少しずつ成長していけたら嬉しいですね。


ではでは、また会える日まで…

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