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正義という名の自己犠牲  作者: 北村ゆきかず
安楽死という名のデスゲーム
7/23

06話 風呂

 精神的に疲れたのでモーテルに帰る前にその足で南のローマな浴場へと向かう。


 ゲームでの風呂がどんな感じかも興味があった。

 それに首元が血で汚れてしまっている。

 このまま帰ると心配されそうだ。

 せめてお湯で拭いて血は取っておきたいものだ。

 そういえば洗濯の問題はどうなんだろうか。

 モーテルにはそんな設備は無かったような気がする。

 浴場に持ち込んで洗ったら怒られるだろうか。


 そんな事をぼんやりと考えながらてくてくと歩く。

 浴場に着くと、多くの人が待ち合わせ場所で座ったり談笑なんかをしていた。


 この分だと中も多そうだ。

 入り口から入るとまずは乾燥部屋で、天井には扇風機らしきもの、壁際には鏡と椅子とドライヤーらしきもの、中央は長椅子が置かれ、奥には上階への階段が存在した。階段横には看板も設置されている。

 それによると二階は共用の洗濯機部屋、三階はテラスに続いているらしい。


 というか所々西洋風飛び越えて現代日本風じゃないですかー。


 魔道具という設定らしい。

 もう何でもありだな。


 日本人は風呂や食事にはこだわりを見せる。

 それを考えてこうしたのかもしれない。


 多分正解だ。


 マサヒロ自身も味はともかく安心安全な食事、そしてユニットバスよりは追い焚き可能な風呂を要求する。

 人によってこだわる部分は違うだろうが、食事と風呂だけは皆独自の譲れない部分が存在する。


 それが日本人だ。



《【聞き耳】レベルアップ》



 乾燥部屋でも多くの人で賑わっている。


 どうやら騒がしい場所で多くの人の会話を耳にしていれば聞き耳は上がるようだ。

 上げやすいスキルっぽいようなので削除候補として心に留めておく。


 乾燥部屋を抜けて脱衣所への扉を開ける。


 そこも意外に広かった。

 二階まであるらしい。


 適当に装備や服をパパッと脱いでロッカーに入れる。

 鍵にはちゃんと腕に通す為のゴムも付いている。

 ローマ風の銭湯と思う事にした。


 浴場に足を踏み入れると銭湯独特のなんとも言えない匂いが鼻についた。

 自然が多くやはり温泉なんだろうか。

 というか広い。

 人も多いがそれ以上に広い。

 スパを飛び越えて温泉レジャーランドといった感じだ。


 安定の普通風呂や泡風呂、冷水や滝なんかもあるが、ジャングル風呂や泥風呂、岩盤浴に流れる風呂もあった。

 滑り台や波のある風呂もある。

 勿論サウナも完備だ。


 運営は一体どこに向かってるんだ。

 この風呂へのこだわりは普通じゃない。

 本編の浴場もこんな感じなんだろうか。

 こんな感じなんだろうな。

 違ったら絶対に誰かが苦情入れそうだし。


 とりあえずまずは洗い場で身体を洗い、血と汚れを落とす。

 各洗い場にはきちんとポンプ式のボディソープとシャンプー、リンスが備え付けてあった。

 風呂に関してはもう何も突っ込まない。

 まずは普通風呂で身体を慣らす。



《【作成】取得》

《【風呂作成】修得》



 なんぞ。

 これはあれだろうか。

 旅先でも風呂に入れるように、との運営の真心(まごころ)というやつだろうか。


 凄まじい。


 運営の風呂に対するここまでのこだわりには感動すら覚える。

 本編の世界がどこまで広いのかはまだ未確認だが、もし仮に長い期間旅をしなければならないとする。

 現代人たる自分が旅の間、風呂のない生活に我慢できるかといえば、どうだろう。


 確かに否と言えるかもしれない。

 苦情を言ってくる人がいるかもしれない。

 それを未然に防ぐ、運営はサービス業の鑑です。


 普通風呂から泡風呂、滑り台から波のある風呂とひとしきり堪能する。

 お風呂、楽しいです。

 精神的にはリフレッシュだが、体力的には逆に疲れそうだ。

 今日はぐっすり眠れるだろう。

 自重が必要だ。

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