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.%◇第6話 -恐怖-

夢をみた。 



暗かった。


暗くて寒くて....


何も見えない。



手を伸ばすと

冷たいものに触れた気がした。


恐くて手をひっこめると

その暗闇は笑ったような

気がした。


ここにいちゃだめだっ


悟った美悠は

夢中で走り出す。


どこにいけばいいのか

わからないけれど.....


いくあてなど

ないのだけれど.....


それでも

ここには

いたくなかった。


無意識に

涙がこぼれる。



─怖い。


「いゃっ...い...嫌だっ!!!!!」


「美悠っ!!!」


美咲の叫び声が聞こえた。

ゆっくり瞼をひらくと

怯えた美咲の顔があった。


「おかあ..さ...ん?私...どうしたの.....?」


「美悠っ!!大丈夫!?どこか...具合はどうなの...?」


「えっえっと...」


手を目の前にかざし

ふってみた。


「うん。手は大丈夫。」


「手じゃなくて頭は!!?」


少し苛立ったような美咲の声を

不思議に思いながら

頭をさわってみた。


後頭部が...痛い...


どうやらコブができてるそうで

かなり腫れていた。


「後頭部が....」


「あぁ、それは階段から落ちたときのよ。」


「階段....?」


そして気付いた。


私...急に胸が苦しくなって......

それで足をすべらせて...... 

胸の痛みは..気のせいじゃ

なかったの.....?


胸騒ぎがする。

体に悪寒が走り

怖くなってくる。


「美悠?どうしたの?」


今にも泣きそうな美咲を見て

美悠は口に

だすことができなかった。


そしてやっと吐き出した言葉。


「大丈夫だよ。どっこも痛くないし。こんだけ鍛えてたらこんな怪我なんてたいしたことないよっ!!!」


そして作り笑いを浮かべ

美咲に微笑みかけた。


「本当に..本当に大丈夫なのね?」


「もう大丈夫だってば!!!お母さんは心配性だよっ。」


「そうね...そうよね。」


美咲も僅かに微笑んだ。


「あっ今何時なの?」


「もう10時よ。今日は学校も部活も禁止っ!!明日からまた頑張りなさいね。」


「え〜!!!そんなぁ....」


「そんなぁじゃありませんっ。一応病人なんだからねっ。」


「一応ね〜。」


そして2人で顔を合わせ

笑い出す。


美悠も心配は

どこかへといってしまっていた。


「じゃあ私は家のことがあるから、ちゃんと寝てるのよ。」


「ほ〜い。」


美咲は最後に美悠をじっと見つめ

淡く微笑を浮かべると

静かに病室を出ていった。 

美悠はベットに倒れると

優美のことを思った。


今頃...授業受けてるんだよね...

い〜なぁ〜.....


いつもは大嫌いな授業も

いまでは愛しく感じてしまう。


そんなことを思いながら

美悠は眠ってしまった。


─教室。


優美は美悠が気になり

授業に集中できず

何回も当てられていた。 

「月島さん?さっきから落ち着いてないけど...どうかしたの?」


「いえ...なんでもありません。」


優美は俯いて答えていた。


昼休み。

いつもは美悠と食べるお弁当も

今日はおいしくない気がした。

友達の会話も耳から

通り抜けていく。


はぁ...


と大きなため息をついた時

ドアがガラッと開いた。


「すみませ〜ん。みゆちゃ..あっ兼実さんいますか〜?」


聞き覚えのある声に

思わず振り向く優美。

そこには藍がいた。


「あっ藍先輩っ!!!」


「えっ?あっ月島の妹さん?」


「あっはい!!月島優美です。」


「優美ちゃん...優斗に優美かっ。綺麗な名前だね。」


にっこりと笑う藍に

優美は顔が真っ赤になってしまった。


「ところで美悠ちゃんは?」


「あっ美悠は...休みなんです。ちょっと体調不慮で....」


「そうなんだ...なんかすれ違っちゃうね。」


藍は苦笑いをして少し考えこんだ。


「仕方ないし...また来るよ。ありがとね優美ちゃん。」


「あっいえ。」


「じゃぁね。」


そう言うと

人目を気にしながら

走り去っていった。


やっぱり....

かっこいい!!! 


赤面したまま

優美はうっとりしていた。


そして

学校は終わり

部活動時間...


優美は少し迷った。

このまま部活を休んで

美悠のお見舞いに行きたい。

でも、そんなことをすれば

美悠は怒るだろうし

第一、レギュラーに

なれなくなるかもしれない。


優美は悩みながらも

結局部活に出ることにした。


大丈夫....

美悠だって明日には

ちゃんと来れるんだし。

大丈夫大丈夫...


自分を落ち着かせ

優美は体育館へと向かった。

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