第8話:俺とイケメンとイケメン迷言語録
雨が嫌なのか?それとも、湿度が高いのが嫌なのか?
まぁ、どっちも似たようなものなわけで、確実に1つ言えることがある。
雨が降った後に、顔を出す太陽・・・。
あの蒸し暑さだけは許すことができないと思う。
「なぁ、ビッグ」
「どうした?」
「暑くないか?」
「確かに暑いな」
「その割にはお前、平気そうな顔してるよな」
「暑いけど、真夏の体育館に比べたら大分ましだからな」
「確かに。真夏の体育館は死ねるレベルだな」
2限目の時間が終わり次の授業までの休憩。
俺は席の近いビッグとどうでもいいような会話をしていた。
「そういえば、そろそろインターハイ予選だな」
「あぁ。今年こそはインターハイに行きたいな」
「去年は準決勝敗退だったな。十分、可能性はあるじゃないか」
「あぁ、なんとかな。でも、正直優秀なポイントガードが一人欲しいよ」
「無いものねだりはやめろって。負けちまうぞ」
「あぁ、そうだな。やれるだけやってやるさ」
ポイントガード。
その言葉が胸の奥の方を刺激し、痛みを与える。
そこは、遥希のポジションだった・・・。
学校も終わり、いつも通り家に帰ることにする。
今日は帰ってから何をしようかと考えると、少しワクワクする。
そんな事を考えていると、唯から声をかけられた。
「真悟」
「唯か、どうした?」
「お願いがあるんだけど」
「お願い?命令の間違いだろ?」
「人聞きの悪いことを言わないで。お願いはお願いよ」
「・・・分かったよ。で、それは何なんだ?」
「買い物をお願いしたいのよ」
「買い物?何を買ってくればいいんだ?」
「今日の晩御飯の材料。さっき、お母さんからメールがあって、帰る前に買ってきてって頼まれたの」
「で、そのリストは?」
「これよ。用件はそれだけよ、それじゃ」
「了解。じゃあな」
買い物リストに書いてあるメモを受け取って唯と別れを告げる。
面倒くさいなとか思いつつ、帰る支度を始めると違う奴に声をかけられた。
「なぁ、秋月」
声の主はクラスメイトの武才 邦雄。
ぶさい くにおを繋げてブサイクとあだ名をつけられそうだが、本人はイケメンであるため、そっちを採用され、イケメンというあだ名になっている。
「どうした、イケメン」
「お前さぁ、如月さんと付き合ってるの?」
「いきなりだな。付き合ってはいないけど、どうして突然そんなことを聞くんだ?」
「最近、話してる事も多いしさ。今まではそんなになかったのに」
イケメンは高校から一緒になったやつだ。
高校から一緒のやつは大概が俺と唯が幼馴染ということをしらなかったりする。
関係も悪いし、唯と話す機会もなかったから知らないのは当たり前だが。
「色々あるんだよ。面倒くさい事がな」
「よく分からないけど大変そうだな」
「で、お前がそういう事を気にするってことは何かあるのか?」
「あれ、ばれちゃったか。今度さ、如月さんに告白しようと思ってさ」
イケメンの言葉を聞きながら、俺はまたかと思ってしまう。
高校に入学してから1年以上が過ぎているが、これまでに唯に告白した人数はかなり多いと聞く。
誰かがふられる度に、学校中にその噂があっという間に広がるのだが、そうなってしまうと告白した人はただの、晒し者にしかすぎない。
それを恐れる人も多いのだが、時には自分なら大丈夫な気がすると勘違いをし、見事に玉砕する勇気のある人物もとい馬鹿がいるので、最低月1のペースでふられたというニュースを聞くことになる。
「まぁ、お前が好きならしょうがないと思う。けど、お前の為を思って言っておく、止めとけ」
「いいだろ、別に。告白なんて人の自由だろ」
「それは、そうだけどな。だけど、あいつにふられてみろ。ただの晒し者だぞ」
「秋月、考えてもみろ」
「いきなり何だ?」
「告白をする。そしてふられる。この場合、告白した相手とはギクシャクしてしまうものだ。自分が好きな相手とギクシャクするのは辛いだろ。つまりだ、告白というのは常にリスクを背負っているものなんだよ。如月さんに告白した場合、そのリスクが少し大きくなるだけさ」
「言いたいことは分からないでもない。でも、間違ってることがあるぞ。そのリスクは少しじゃなくて、かなり大きくなると思う」
「少しも多くも関係ない。秋月、こんな言葉を知っているか?」
「・・・・」
「恋は盲目」
「そうだな。お前にそこまで固い決心があったと思わなかった。頑張ってこいよ」
最後の部分は棒読みだったが、まぁいいだろう。
忠告はするが、他人の夢まで破壊しようとは思わないからな。
それから3日後。
イケメンがふられたというニュースが学校中に流れていた。
pv1000,ユニーク300突破。
ありがとうございます。
出だしはシリアスですが、後半は執筆してて楽しかった。
新キャラ、イケメン君にはこれからも頑張ってもらいます。
良かったら、感想とか書いてくれると嬉しいです。
これからも、お願いします。