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第7話:三年の月日と三人の記憶

まだ笑いあう事が出来た日々だった。

当たり前のように、いつも一緒にいた。

そして、いつまでも一緒だと思っていた。

三人で・・・



6月に入り季節は梅雨真っ只中となった。

普段は鬱陶しい、雨音も今日は感謝するべきなのだろう。

音がないと気が紛れず苦しくなるだけだった。


「今日でちょうど3年か・・・。そしてあいつの17歳の誕生日か」


窓の外に目を向けて、そんな独り言を呟く。

そして、同時に唯の言葉を思い出す。


「あなたがそういう資格はないわ」


確かにな・・・。

俺には、あいつの事を懐かしむ権利はないのだ。


「遥希・・・。ごめんな、俺がお前を殺さなければ・・・。

 きっと、唯は今でも笑っていられたはずなのに・・・。

 俺が、お前の命もあいつの笑顔も全て奪ってしまったんだ・・・」




月山 遥希が死んでからもう3年の月日が経つ。

遥希は俺と唯の小学生時代からの友達だった。

俺と唯のように両親同士が知り合いってわけじゃなかったけど、3人いつも一緒だった。


おそらく、というか確実に唯は遥希の墓に行っているだろう。

最低でも月に1回は行っているのだ。

今日という日に行かないとはまるで考えきれなかった。



「俺さ、唯のことが好きなんだ・・・」


中学校2年になってすぐ、遥希にそんな事を伝えられた。

正直、あの時どんな風に思ったのかはあんまり覚えていない。

でも、多少なりと驚いたのは確かなはずだ。


「なぁ、真悟はどうしたらいいと思う?」

「それは、どういうこと?」

「いや、そのさ。告白とか」

「俺は分からないや、そういう事は」

「だよなぁ。正直、俺も分からないもんな。自分が告白とか考えたことないもんな」

「うん。今までバスケか遊ぶかだったしな」

「真悟はさぁ、もしも俺と唯が付き合うってなったらどう思う」

「・・・わからん。その時になってみないと分かりそうにない」


この時は、本心でいったつもりだった。




結局、何事もないまま5月に入った。

部活も忙しくて、俺自身は何も考えてなかった。

少しずつ変わっていくのは5月の下旬からだった。


その日は部活が休みで、唯と二人で帰ることになった。

帰り道の途中、俺は思い出した事があった。


「そういえば、そろそろ遥希の誕生日だな」

「うん。その事なんだけど真悟にお願いがあるんだ」

「お願い?何を?」

「驚かずに聞いてほしいんだけど、私・・・遥希の事が好きなの」


俺の知らないところで、少しずつ少しずつ俺達の関係は変わり始めていたんだろう。







過去のお話。


この続きはまた、そのうち。


シリアスな話なので、タイトルも真面目な感じで。


これからもよろしくお願いいたします。

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