第5話:何でもそうだけど、自分に合うのって見つけるの難しいよね
今日は土曜日だ。ということで、学校は休みだ。
そんな訳で昼食を終えた俺は、出かけていた。
理由はというと、昨日の夜に葉月からメールが来たからだった。
何でも、今日は部活が休みだから買い物に付き合ってほしいと。
どうして俺なんだ?という疑問がわかないでもなかったが、了解と返事をしておいた。
せっかくの休みだし、家に籠っていても仕方ないと思ったし。
待ち合わせ場所につくと5分前だというのに既に葉月はそこに居た。
「葉月、悪いな待たせて」
「そんな事ないよ。私も今来たところだしね。それにまだ集合時間過ぎてないし」
「それはそうだけど。後から来ると謝っちゃうだろ?」
「確かにその気持ちは分かるなぁ」
「で、今日はどこに行くんだ?」
「うん。バッシュが昨日の練習で壊れちゃって・・・。選ぶの手伝って欲しいんだ」
「なるほど。でも、それなら他のメンバーといった方が良かったんじゃないのか?」
「み、皆には断られちゃって。男子部員も考えたけど、真悟ほど仲良い人がいるわけでもないから」
「そっか、なるほどな。まぁ、俺でいいなら構わないけどな」
バスケは3年前まではやっていた。
今ではもうやめてしまって、戻るつもりもないが、バスケットの試合を見に行ったり、バスケット用品店に行ったりするのは割と好きだった。
「ありがとう。一人だと色々迷っちゃうから」
「確かに。あれもこれもってなるよな。まぁ、それも楽しかったりするけど」
「うん、そうだよね。やっぱり、真悟誘って良かったよ」
「そう言ってもらえるのは嬉しいけど、まだ何も見てないけどな」
「あ、本当だ」
俺たちは2人で笑いあいながら、バスケット用品も扱っている大型スポーツ店に入った。
「うわー、いつも思うけど本当にいっぱいあるね」
店内に並べられているバッシュを見て葉月はそんなことを言う。
実際、そこに並べられているのは膨大な量だった。
さすが県内1の大型スポーツ店なだけはあるようだった。
「この中から選ぶってかなり大変だな」
「うん。でも妥協はしたくないかな。バッシュひとつで大きく変わっちゃし」
葉月は女子バスケットチームの2年生で唯一のレギュラーだ。
来年はキャプテンになるだろうと専らの噂であり、おそらく本人も自覚はしているのだろう。
「インターハイ予選ももう少しだし。3年生の先輩のためにも活躍したいしね」
「そうなると、自分にあうバッシュを選ばないと駄目だな」
「うん。ちょっと時間かかりそうだけど、しっかり付き合ってよね真悟」
「分かってるよ。納得するまで付き合ってやるさ」
そんな軽口を叩いた俺だが、結局後悔することになる。
そりゃ、4時間も同じところにいたら、後悔ぐらいするさ・・・。
「かなり時間かかっちゃったね・・・」
さすがに申し訳なく感じたのか、葉月は元気のない声で言う。
「葉月が納得したならいいから、あんまり気にすんなよ」
「ありがとう。でも、真悟のおかげで良いバッシュが選べた気がするよ」
「まぁ、役に立ったなら嬉しい限りだよ」
「お礼にご飯奢ってあげようか?」
「その気持ちは嬉しいが、家でご飯が待ってるからな」
「そうだよね。私もお母さんが作ってくれてるだろうし。また、今度改めてお礼するね」
「あぁ、分かった。期待せずに待っておくよ」
「何よそれ、少しぐらいは期待しなさいよ」
「了解。じゃあ、また明後日な。部活がんばれよ」
「うん、バイバイ」
俺は手を振って葉月と別れた。
現在の時刻は6時半を少しまわっている。
如月家の夕食は7時からだから・・・。
少し急がないと間に合わないからと思い、俺は少し歩を速めて道を歩いた。
前話と同日投稿です。
今回は、葉月とのお話でした。
ここ2日順調に更新できてますが、明日は・・・。
なるべく早くを心がけます。
これからも、よろしくお願いします。