第1話:俺が奴隷でヒロインが女王で少しシリアスな話
俺は今、幼馴染みである如月 唯の部屋にいる。
学校では容姿端麗、頭脳明晰、文武両道等の四字熟語が最も似合う人物とされており、優しい性格もあり天使と称されるほどの完璧人間だったりする。
しかし、そんな完璧と思われる幼馴染みも結局は人間だ。
嫌いな人ぐらいはいる。
そして、その唯一ともいえる人物が俺だったりする。
「ねぇ、真悟。図々しいと思わない?」
「何が?」
「毎日、食事を世話してもらうことよ」
「思うけど、正直俺にはどうしようもできないから」
「それは分かってるわ。でもあなたは知ってるでしょ?」
「お前が俺の事を嫌いな事か?」
「分かってるみたいね」
「それがどうかしたのか?」
「お母さん達はあなたが来ることを喜んでいるし、来ないでとは言わないわ。だから、奴隷になりなさい」
いきなり何を言ってるんだか・・・
でも、俺にはそれを否定する権利がなかった。
「奴隷?お前はそれで納得できるのか?」
「勘違いしないで、これで我慢してあげるの」
「お前の気が少しでも晴れるならそれでいい」
「じゃあ、決まりね」
唯の言葉を聞いて、頷き窓の外に目を向ける。
天気予報でも言っていたとおり、今日の天気は悪く、大雨が降っていた。
こんな天気を見ると、いつもあの事を思い出す。
「もう3年になるんだな」
俺は特に何も考えずそんな事を呟いた。
そして、すぐに後悔する。
「あなたがそういう資格はないわ」
唯の怒った声が部屋中に響き渡る。
俺は悪かったと告げもう一度、窓の外に目を向けた。
あの時はまだ・・・
そんな事を考える。
唯の笑顔が記憶の中で蘇る。
そして、それは二度と俺に向けられないだろう。
「じゃあ、奴隷さん。早速命令よ」
「私コーラが飲みたいの。買ってきてくれる?」
この雨の中をね。
そんな事を考えながら俺は頷いた。
そして、もう一つ。
お前はコーラなんて飲めねぇだろ!
と、心の中で叫びながら。
あれ、なんかシリアス。
次からはコメディにしたいなぁ。