か・ぞ・く 14
「まぁ、そこで働いていたときに撮った写真だと思います」
「思いますって?」
「盗撮するんです、あの兄弟」
セクハラで訴えたら普通に倒産させれるんじゃないのか?困るけど
「高校卒業間近で私は明日香を出産しました・・あまり目立つお腹じゃなかったのでばれることなく卒業できましたが、精神的には病みそうでした」
でしょうな
「それって、まさか無理強い?」
何故か頬を染めながら元虎が言うと、今日子は虚ろな瞳で笑った。
「記憶に無いんです、でも、無礼講じゃーっていいながらお酒を無理やり飲まされ、朝起きたらベットの上というベタな状態だったからそうなんじゃないでしょうか」
うわぁ・・
「いままで働いた分のお金を持って私はあそこから抜け出し、ここにいるんです」
すべてから開放された、そう思っていたのに
「・・・・結局逃げれなかったのです」
「俺のせいか?」
拓郎がおろおろとしながら晴生を見た。
「知らん」
「いいえ、私が入った会社が永原財閥の一つだったんです」
「ようするに見逃してやったというところか、悪趣味だな」
「はい、でも元虎さんが私を諦めてくれたようなので、嬉しいです」
「でも俺ら主任が兄弟いたことにはびっくりだよな、てか、あいつ社長だったのかよ」
「どんだけ身分隠したいんだよ」
むしろドンだけ変人なんだ。
「お兄さんの元鷹さんはSM野郎、弟の元虎さんは・・腹黒病んでれ・・なんです」
「なんてディープな兄弟なんだ」
むしろメンドクサイ。
「おかーさん」
明日香が目をこすりながら今日子に抱きついた。
「あら、どうしたの」
「おかぁさん」
抱きついたまま眠った。
「寂しかったんでしょうか・・では今回はお開きということで」
明日香を抱っこしたまま今日子は立ち上がると晴生が呼び止めた。
「今日子さん、どうしてそこまで分かっていて俺を受け入れたんだ?」
「・・・・内緒」
「え」
今日子は微笑むと拓郎のほうを見た。
「私は明日香のベットで寝るので拓郎さん晴生さんと寝てください」
「げ」
「おぉー久振りに一緒に寝るな」
「お前と寝た覚えはない」
「共に休眠したなかじゃないか」
「わけわからん、黙れ」
明日香は強く今日子の服を掴んでいた。
確かに明日香は元虎との間の子、時折彼と同じしぐさをするけど、可愛い
「だいすきよ」
生まれてきた子どもには、無条件の愛を
『お母さん、どうして明日香にはお父さんいないの?』
明日香がお父さんがほしいというなら、誰でも良かった。
たとえ、あの人関係の人でもいいと思ってた。
「おかぁさん?」
明日香が目をあけた。
「晴生さん好き?」
「お父さん?・・うん・・最初は怖かったけど、明日香の言うこと聞いてくれるし、怖いけど優しいし」
怖いばっかね
「そうだね・・なんだかんだ言っても許してくれるよね」
布団の中に入る
「すぅ」
何か言おうとして再び夢の中
「ふふ、お父さん・・ね」
明日香が病んデレになったらどうしよう。
・・・・相手の人が心底可哀想ね
「さて」
今日子は扉を開け、廊下に誰もいないことを確認すると、ポケットから携帯を取り出しどこかに電話をかけた。
「・・・・もしもし、お久しぶりです。―――こう呼んだ方が良いですか?お義父様」
携帯の向こうで笑う声が聞こえた。
『ふふふ、やぁ愛娘・・何かお願いごとかな?』
「そうです、でなければ私から電話などかけません」
『ところで、コレは許可を得ているのかな?晴生君のだろ?』
「・・これ?えぇ晴生さんの携帯ですけど・・許可は貰っていません。内緒で願います」
だって自分の分からないし、電話番号知られたくなかったし・・
「そんなことより、聞きたいことがあるのです、というより、お願いですね」
拳を握り締める。
「元虎さんに、私は外国に飛んだと言っておいてください」
『罪な人だな~元虎は誰よりも君の事を考えて、君の事を愛しているのに』
「・・分かっています、でも、私は」
今日子の目が闇でも炯炯と光。
「彼と一緒になるわけにはいかない・・でわ、宜しくお願いします」
電話を切る。
「一緒になど、なれないわ」
明日香の頭を撫でる
「明日香のために」