か・ぞ・く 12
「いやぁーご馳走になっちゃってー」
「ふふ」
食べ終わった食事を片しながら今日子は微笑んだ。
「明日香、もう寝る時間だから寝なさい」
「はーい」
お風呂を出たばかりの明日香は元気良く返事をすると二階に上がっていった。
「皿洗うの手伝いますよ」
「あら、結構ですよ、座っててください」
拓郎はお言葉に甘え座りなおす
「いい奥さんだなぁ」
「奥さんじゃない」
「つまんねー男」
「るさい」
テレビを見てまったりしていると、皿を洗い終えた今日子が戻ってきて二人の前に座った。
「?」
今日子が二人に対峙するように正座したので不思議に思っていると、今日子から口を割った。
「そちらの主任・・元鷹さんはお元気ですか?」
「!!」
主任の名前・・
「今日子さん、我が社で働いていたことあったのか?」
「いや、それより・・」
拓郎が汗を流した。
「主任の名前を呼ぶ人が居たなんて!!」
嫌われ者だと思ってたのに!!
「空気よめ!!」
頭を殴ると今日子は微笑んだ。
「はっ・・まさか」
写真を取り出す
「明日香の父親って・・まさかっ」
「違いますよ、いやですね」
いやなんだ・・
「良かった。遺伝子レベルでよかった。あんな可愛い子の父親が主任だなんて可哀想すぎる」
主任が聞いたら泣きそうなコメントだとおもいながら晴生は拓郎を睨んだ。
「なんで主任を知っているんだ」
「・・主任との関係性を説明する前に、私の身の上を聞いてくださいますか?」
「身の上?」
「はい・・」
あれは私が中学生三年生の冬のことでした。・・もうすぐ卒業で、夢にまでも見た難しいエスカレーター式の高校に入れると思い、うきうきしながら家に帰っていました。
しかし、家に帰ると、居るはずの人が居ませんでした。
「どうしたんだ?」
「両親が離婚して、再婚していたんですが・・再婚相手に借金があったらしく・・娘の私だけを置いて、ドロン」
最低な親といえば、そうですね・・今更探そうとも思いませんけど
途方にくれた私はただトボトボと道を歩いていました。
「え・・?」
そうしたら、そこに雪だるまに顔を突っ込んで倒れている変な人を見つけました。
「主任だ!」
拓郎の言葉に今日子は首を振った。
「お前どんだけ主任を常識ハズレなヤツにしたいんだ」
「だってさー・・てか、主任以外にも変なやつがいたもんだなぁ」
「でしょう?」
今日子も微笑みながら言った。
「その人が明日香の父親なんですよ」
「へぇー・・えええええええええええええ!?」
拓郎に叫び声を先にとられたが、晴生も驚いていた。まさか、そんな・・
いままであんだけひっぱっておいて、今ココであっさり言うか?!
「彼の名前は元虎・・正真正銘の、おばかさんです」
短いですね、次回想シーンはいります。