が・そ・く 10
「た・く・ろ・う・君!」
嫌な方法で呼び出された拓郎は愛想のない、むしろオープンに迷惑そうな顔をしながら呼び出した男・・主任を見て溜息をついた。
「なんですか、主任。人が丁度いいころあいを計ったように・・計ってんでしょうけど」
「んふふー」
主任専用の高級な椅子が音をたてる。
「お願いがあるんだ」
「えー」
もしコレが拓郎でなく、晴生だったら即「お断りします」といったところだが、出世欲のある拓郎は即答はしない。
「なんですか」
「そう身構えなくてもいいよ、簡単な話だから」
主任は引き出しから一枚の書類を取り出し、見せ付けた。
「・・・・え」
拓郎の顔がひきつった。
「まじで・・?」
ちゅん、ちゅん
「今日はおうちでゆっくりしましょうね」
明日香に微笑みながら今日子はそういうと、晴生は珈琲を飲みながらふと思った。
前回から携帯の電源を切ったままの気がする。
(どれ、見るか)
ぱか、かちかち
電源が入り、画面が映る・・と
ぷるるるるる!
丁度電話がかかってきた。
「なんだ、拓郎」
電話に出ると、電話越しから疲れた拓郎の声が聞こえた。
『えーん、晴ちゃん助けて』
「きるぞ」
『え?!マジで困ってんだって!もー道に迷っちまって~』
「知らん」
切ろうとすると、向こうから焦った声が聞こえた。
『うっわ!なんだこのデブ猫!?』
んな~という泣き声も聞こえた。
「・・・・・おい、拓郎今お前何処に居るんだ」
『え?!あぁ、今?いまぁ・・』
んなぁーっと聞こえる。
晴生は携帯を持ったまま玄関に行く。
『あ!今な―――』
ガチャ・・扉を開ける。
「石河さん家まえ」
懐かしき友と眼が合った。
「帰れ」
がちゃん、ガチ
「えぇええええ!?!!せっかく久振りに会ったんだからハグしようぜ!友よ!」
「お前と友達になった覚えはない!」
扉をドンドンドンと叩かれる。
「晴生ー!いれてくれよー!なぁー俺たち親友だろー!ゆ・う・じ・ま・は・る・き・くんー!!!」
嫌なやつが来た。
今回は短め