か・ぞ・く 1
何処にでもある、住宅街にある家の中にて、おかしなことをしているオヤコがいた。
「はじめまして!『奥さん』の石河今日子です!」
「右に同じ『娘』の石河明日香です!」
すぅ
「「ふつつかですがどうぞお願いします!」」
しーん
明日香はにこーと笑った。
「お母さん明日楽しみだね!」
「そうだね!あーちゃん!新しいパパはどんな人かなー?」
今日子は23歳で娘の明日香は5歳だ、いままで母子家庭だったが会社のほうでいい縁談を持ちかけられ、受けることにしたのだ。
「どんな人が来るのー?」
「えっとねー・・忘れちゃったー★」
「なんでぇー?!」
「それはですねー、会社でお見合い写真見る前に同僚に取られたからでーす!名前しか知りまっせーん」
お母さんは誤魔化すように娘に抱きしめた。
明日香はくすぐったそうに身をよじった。
「結婚したら苗字変わるんだよねーなんてなるの?」
「えっとねー、『夕島』だって~夕島明日香さん!」
「はーい!」
きゃきゃとはしゃぐ。
「さーご飯食べて歯磨いて明日早く起きれるように早く寝ようねー」
「はーい!」
一方・・・・。
「お、よっす!晴生~」
「拓郎か・・なんか用か?」
「そうそう、主任がさ、お前にお見合い結婚させる気らしいぞ」
「断る」
「はっはっは、即答だなー」
地下のシェルターでは歩く音がよく響く。二人は歩きながら手に持っているファイルの中に書かれているデーターを脳に入れ、計算し結果を予測して次の行動に動いていた。
「だが主任は受けちまったらしい。お前明日そのお見合い相手に会いに行く強制な。ちなみに結婚前提の話らしいから会うのは奥様だ」
「勝手な・・自由で傲慢で最低な主任らしい」
「まーそういうなって、噂によると子持ちらしいけど若いらしーぜ」
「ちゃらっちゃらした女なんじゃないか、もしくは世間知らずの馬鹿」
「相変わらずお前研究以外に興味ないんだなー」
拓郎は足を止め、扉の向こうに去る友を見送った。自動式の扉が音を立てて横にスライドする。
「勿体ねーぞ!どうする気だ?」
「会って断る」
扉がまるで晴生の意思を示すかのように隙間なくかっちりと閉まった。
「つまんねー男だ」
扉の向こうで晴生は階段を上がりエレベーターに乗った。34、男盛りな歳ではあるが彼の頭の中の辞書には『愛』だの『女』だのどうでもいいものだった。
結婚する気は一生無い、もしその気になったとしても主任の言い成りになったりは絶対しない。嫌いだからだ!
「ふん・・つまらん男で悪かったな」
そして彼は地獄耳だった。