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【第23話】消えたバイト代と、転生した「上等なベーコン」<冥銭>

挿絵(By みてみん)

(本作の表紙イラストです!)

「無視すんな!!」 孟婆もうばは芸術鬼の首を掴み、高々と吊り上げた。 「本当なの!?」


噂の拡散は大成功だったらしい。 芸術鬼は苦しいはずなのに笑っていた。 「一万年も待ち続けた男が、目の前でスープを飲んだ気分はどうだい? しかも、自分の手で飲ませた気分は?」


「……よくも!」 孟婆は芸術鬼の笑顔を引き裂きたくなった。


「恩人に対する態度かね?」 芸術鬼は平然と言った。「さて、条件を聞いてもらおうか。酒吧鬼(バーテンダー鬼)の望みは何だと思う? 自分のバーの再建? 君との愛? ……違うな。我々の要求は一つだ」

芸術鬼は目を細めた。 「地蔵菩薩の『悪夢地獄』へのスープ供給を停止しろ」


「フンッ!」 孟婆は芸術鬼を投げ捨て、袖を翻して去っていった。 芸術鬼は首をさすりながら、ニヤリと笑った。

________________________________________


「また……すれ違ったのね」 孟婆は孟婆亭に戻り、スープ配給作業に戻っていた。


行列を作っているのは、刑期を終えた罪人ではない。 ストライキによる強制送還令で、泣く泣く地獄の生活と絆を捨ててきた幽霊たちだ。 彼らは泣き叫び、ゴネていた。


「うるさい!!」 孟婆はキレた。 柄杓でスープをすくい、ボウルに移す手間も惜しんで、柄杓ごと幽霊の口に突っ込んだ。 「んぐぐっ!!」


一瞬で静まり返る現場。 隣の鬼差(獄卒)がボソッと言った。 「ラッキーだな、銀のスプーンを加えて生まれてくるぞ」


(匙じゃなくて柄杓だけどな……) 亡者たちは戦慄した。氷山地獄より寒い視線だ。 彼らは大人しくなり、セルフサービスでスープを飲み始めた。


馬面からの情報で、孟婆は確信していた。 今の自分は**「湯釜を口にねじ込みたい期」**だと。 (あいつの口に釜ごと突っ込んでやるべきだったわ。……会いたいなんて思ってないんだから。あんな油鍋野郎)


彼女は懐から、金紙の束を取り出した。 酒吧鬼が残したラブレターだ。 前世の夫、息子、そして刀山や氷山でデートし、自分のために油鍋に飛び込んだ男。 「……本当に、どうしようもない人ね」

________________________________________


死者の魂は黒白無常が迎えに来る。だが、生まれてくる魂は誰が迎えるのか? 酒吧鬼はスープを飲んで意識が朦朧とする中で、ずっと疑問に思っていた。 強力な健忘作用のせいで、思考がまとまらない。 誰かに押され、引かれ、暗闇を抜けると、強烈な光が差した。


息ができない。苦しい。声が出ない。 パァン!! 誰かが彼の尻を強く叩いた。くっきりと手形が残るほどの威力だ。 その瞬間、気道が開通した。 「オギャアアア!!」


彼は泣いた。 もう彼は酒吧鬼ではない。過去も未来もリセットされた新しい命だ。


大きな手が彼を抱き上げ、優しく揺すった。 そして頭を撫で、大きな耳をめくってチェックした。 その主は満足げに笑った。 「よし、健康優良児だ」


主は彼を地面コンクリートに下ろした。 そして、彼の耳に**「XG27-1458」**と刻まれたタグを打ち込んだ。


「こいつは上等なベーコンになるぞ」


新生した彼を、ここでは**「ベーコン豚」**と呼ぼう。

________________________________________


油鍋地獄。 玉座に座る**巨漢の鬼王(元イケメン社長)**は、報告を聞いて立ち上がろうとしたが、贅肉が邪魔をしてよろめいた。 「孟婆が動いたか?」


「ストライキがいつ終わるかは不明ですが、状況は芸術鬼の計画通りに進んでいます」 報告に来た小鬼も丸々と太っており、ボールのように転がって入ってきた。 「まさか孟婆を誘拐するわけにもいきませんし……獄卒が復帰したら厄介ですよ」


(第23話 完)


日本ではとっくに新年が明けましたが、台湾はいよいよ来週から「旧正月(春節)」です。 今、私の目の前には「大掃除」という名の現世の地獄が広がっています。 一年分のほこりやくを払うため、執筆の手を止めてほうきを握ります。

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