表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

43/68

【第21話】親友の拳と、語られる「息子」の真実<冥銭>

挿絵(By みてみん)

(本作の表紙イラストです!)

「すぐにまた会えるさ」 酒吧鬼(バーテンダー鬼)は孟婆にそう言い残し、馬面には「余計なことは言うな」と目配せした。


「今回だけは信じてやる」馬面はそう言って去った。


酒吧鬼が歩き出すと、芸術鬼が慌てて追いかけた。 「おい、本当に言うつもりか?」 「言うわけないだろ」


「あのねぇ、ここには抜舌地獄行きの予備軍がいるんですよ」芸術鬼が言いかけた口を、酒吧鬼が塞いだ。


「俺はもう、孟婆が好きだった『彼』じゃない」 酒吧鬼は言った。「生前、彼女が好きになったのは俺か? それとも『彼』か? ……今の俺として彼女を惚れさせなきゃ、不公平だろ」


「前世の記憶があれば、攻略法もわかるでしょうに」


「あいにく忘れちまった。何回スープを飲んだかも覚えてない」 酒吧鬼は空を見上げた。「ただ、気になるのは……どうしてあの時の俺は、彼女を待たずにスープを飲んだのかってことだ」


「俺の推測ですがね」 芸術鬼は言った。「三生石で未来を見たんでしょう。選択肢は二つ。『記憶を消して、生きている彼女に会う』か、『記憶を持ったまま、死後の彼女を待つ』か」


「それが一番皮肉なんだよ。今の俺は後者を選んだが、あの時の俺は前者を選んだ。なぜだ?」


「当時のあなたは賢かったんですよ。後者を選べば、今のあなたみたいに拗らせるとわかっていた。あなたが死んで待っている間に、彼女が心変わりする可能性だってある」


「おい!」 酒吧鬼は反論しようとしたが、図星すぎて声が出なかった。「……俺だってあの時の自分を殴りたいよ。まさか彼女が一万年も待ってるとは思わなかったんだ!」


「殴れるもんですか」 芸術鬼は鼻で笑った。「だから言ったでしょう。**『彼女にとって一番重要な人物』**に転生するために、その選択をしたんだと。……十中八九、孟婆の息子ですよ」


酒吧鬼は足を止めた。 「……どうやってそれを?」


「推測じゃありません。生死簿を調べた時に最初に見つけましたよ。あなたは死後、孟婆の息子として転生しています」


「……」 酒吧鬼は絶句した。 (第15話でモンモンが言っていた「息子に似てる」という言葉……あれは比喩じゃなくて事実だったのか!)


「なんで早く言わない!」 「抜舌地獄出身者は、ジョーカーを最後まで切らない主義なんでね」

芸術鬼は続けた。「で、どうするんです? 言わないつもりなら」


「自分の力でなんとかするさ。転生までどれくらい時間があるかわからんが」 酒吧鬼は真剣な眼差しで言った。「俺は自分の力で孟婆を取り戻したい。いいか、よく聞けよ。もう二度と、お前が余計な手出しやデートのセッティングをするなよ」


「……ふむふむ」 芸術鬼はニヤニヤし始めた。 (出たな、地獄名物**「押すなよ絶対に押すなよ(=押せ)」**のフリ!)


「違う、お前はわかってない」 酒吧鬼は察した。「この友人は義理堅くて頭も回るが、お節介病が発動するとバカになるんだった……。いいか、復唱しろ。『私は孟孟に、酒吧鬼が顔敬秀だとは言いません』。本名を出せば重要性がわかるだろ」


「ワタシハモンモンニ、ジョウバグイガ・イェンジンシウダトハ・イイマセン」 芸術鬼は高速で棒読みした。「で、バーはどうするんです? 私が店長代理をやっても?」


(店を閉めると「鬼気」が枯れてしまうな……) 酒吧鬼は考えた。「俺が戻ってくるまでストライキも終わってるだろう。トラブルを起こさなきゃ任せるよ」


(第21話 完)


41PVの柱が見えました。 最初から最後まで付き合ってくれた、あなたへ。 「ありがとう」 次はリアルタイムで地獄を楽しんでください。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ