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【第20話】ブーケトスで掴んだ涙と、バーテンダーの正体<冥銭>

挿絵(By みてみん)

(本作の表紙イラストです!)

閻魔大王は決裁書類に目を通していた。 天界からのクレーム文書だ。筆致は優雅だが、内容は辛辣極まりない。 『地府の業務怠慢によりストライキが頻発。人間界および天界に甚大な影響が出ている。早急に解決されたし』


閻魔は巻物を投げ捨てた。 そこへ小鬼が報告に来た。「大王様、ストライキの影響で、陽間ではここ十二時間、子供が一人も生まれていません。……あと、私もストライキに入ります」 小鬼はそう言うと去っていった。 閻魔は、この混乱を引き起こした元凶(芸術鬼)を呪った。


________________________________________


「ハクション!」 芸術鬼が盛大なクシャミをした。「誰かが噂してるな?」


「お前を殺したい奴らが集まってるだけだ」酒吧鬼(バーテンダー鬼)が言った。 「地獄で風邪引くのか?」 「バカは風邪引かないって言うだろ」


「殺意のこもった噂でクシャミ程度なら安いもんだ」芸術鬼は高笑いした。


「本官も殺したいリストに入れておけ」 馬面将軍が会話に割って入った。


「ヒィッ! 滅相もございません!」 芸術鬼は平身低頭し、馬面の軍靴に顔を擦り付けた。「ああっ、靴が汚れてますね! 私の長い舌でお舐めしましょうか?」


「失せろ」 馬面は芸術鬼を蹴り飛ばした。「仕事だ。お前らの心意気に免じて、今回だけは協力してやる。孟孟モンモンを捨てた負心漢(女の敵)、顔敬秀イェン・ジンシウを探し出してやる」


馬面は名前の書かれた生死簿を三生石の前に置き、令旗を振って呪文を唱えた。 三生石が緑色の光を放ち、生死簿をスキャンし始めた。


カッ!! 強烈な光線が発射され、一点を照射した。


その光の先にいたのは——酒吧鬼だった。


「お前かよ!!」芸術鬼と馬面が叫んだ。 「なんで早く言わないの!?」


「言えるわけないだろ!」 酒吧鬼は泣きそうな顔で言った。「今言ったら、下心があって近づいたみたいじゃないか! さっきから芸術鬼を止めようとしたのに!」


「生死簿を手に入れた時点で言えばよかっただろ!」馬面が怒鳴った。「三生石を使う手間が省けたのに!」


「同姓同名かもしれないだろ!? 確証がなかったんだよ!」 酒吧鬼は無駄な抵抗を試みた。


その光は孟婆亭にも届いていた。 孟婆は眩しさに目を細め、光の発生源を見た。 親友の馬面と、あの二人の鬼が何か揉めている。 (喧嘩かしら?) 彼女は心配になって歩み寄った。


「いいところに来た」馬面が言った。


「やめろぉぉぉ!!」 酒吧鬼は手刀で馬面の喉を突き、背後に回ってチョークスリーパー(裸絞め)を仕掛けた。 「気絶してくれぇぇぇ!」


「フン」 馬面は鼻で笑った。馬の首は丸太より太い。しかも彼には功徳のバリアがある。 カッ! 馬面の体から光が放たれ、酒吧鬼は弾き飛ばされた。


「お前が言いたくない理由はわかる。だが、モンモンには真実を知る権利がある」 馬面は冷ややかに言った。


「お前が何者かは一旦置いておくとして……ちょうどいい、本官も貴様らを探していたんだ」 馬面は懐から書状を取り出した。 「ストライキのせいで転生する魂が不足している。閻魔大王の勅命だ。『地獄への滞在を許可されていた鬼も、全員直ちに輪廻転生に参加せよ』とな」


「……は?」 酒吧鬼は顔面蒼白になった。「俺も転生するのか?」


「『養鬼千日、用在一時(飼った鬼はここぞという時に使う)』だ」 馬面は言った。「閻王が『三更に生まれろ』と言えば、五更まで留まれる鬼はいない。……ここは地獄だぞ」


酒吧鬼の店に「召集令状(赤紙)」が貼られることになった。 彼に残された時間は、もうほとんどない。


(第20話 完)


映画『国宝』を観ました。 一つの芸に命を燃やす「職人魂」に、魂が震えるほど圧倒されました。 私の執筆なんてまだまだ児戯(子供の遊び)ですが、少しでもその熱量に近づけるよう、一文字一文字に魂を込めてキーボードを叩きます。

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