表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

37/70

【第18話】花嫁衣裳の盗掘者と、地獄の女子パジャマ会<冥銭>

挿絵(By みてみん)

(本作の表紙イラストです!)

「私も白い光を見たわ」 **鐘藜(ジョン・リー/鐘馗の妹)**が言った。「兄上が管理する小鬼たちが作った宴会料理を食べた時よ。不味すぎて昇天するかと思った」


場所は馬面将軍の邸宅。 メンバーは孟婆、鐘藜、馬面の三人。 地獄のキャリアウーマンたちによる、パジャマパーティー(女子会)の真っ最中だ。


「本官は、地獄の小鬼は料理上手だと思ってたぞ」 馬面が言った。「だって地獄には調理器具が揃ってるじゃないか。氷山は冷蔵庫、刀山は包丁、石臼、蒸籠、油鍋……銅柱なんて酸菜白肉鍋(酸っぱい白菜鍋)の煙突そのものだ」


「道具があっても腕がダメなのよ」 鐘藜は瓜の種を齧りながら言った。「あいつら、動かなくなるまで煮込めばいいと思ってるのよ。出てくるのは**『発光する暗黒物質ダークマター』**か、酸味と苦味がカオスになった何かよ」


「そう? 私のスープも酸甜苦辣(人生の全味)が一度に味わえるけど?」孟婆が言った。「最近、油鍋地獄でフルコースを食べたけど、あれは美味しかったわ」


「そ〜ぉ〜?」 馬面は裏声で茶化した。「で、どうなの? イケメン社長とバーテンダー、どっちにするの?」


「今日の議題はそこよ!」 鐘藜も身を乗り出した。「ゴシップこそが最高の芸術品!」


「オエッ」馬面は吐き気を催した。「仕事上がりにそのセリフ(芸術鬼の口癖)を聞くと蕁麻疹が出る。本官はイケメン派だ。バーテンダーはあの芸術鬼とつるんでる時点でろくな奴じゃない」


「バーテンダーも悪くないわよ」孟婆は言った。


「でも、油鍋に飛び込むなんてバカすぎるわ」鐘藜が言った。


「そうね……私の『待ち人』には及ばないわ」 孟婆は遠い目をした。「一目惚れって、ある種の呪いね。彼はただ魚の鱗を取っていただけなのに、その横顔を見た瞬間、『この人と一生添い遂げたい』って思ったの」


「一目惚れなんて珍しい」馬面が言った。 「ロマンチックじゃない、なんで呪いなの?」


「幸せは続かなかったからよ。彼は海で死んだ」 孟婆は言った。「私は妊娠していて、再婚を強要されたけど断ったわ。『試してみなきゃわからない』って言われたけど、私は**『自分が何を欲しくないか』**だけはハッキリわかってたから」


「それも執念だな」馬面は言った。 「たった一つの忘れられない思い出があれば、残りの人生がどれだけ平淡でも生きていける。私にとって、あの一目惚れがそれだったの」


「油鍋へのダイブも忘れられない思い出になりそうだけど?」


「一目惚れかぁ……」 鐘藜は言った。「孟孟モンモンの職場(孟婆亭)じゃ無理ね。来た瞬間にスープ飲んで記憶消去だし」


「孟婆亭では、来る人の前世と今生が見えるわ」 孟婆は言った。「来世は見ないことにしてる。スープを飲んだ後の彼らは、寝起きみたいにボケーっとしてるから」


馬面と鐘藜は顔を見合わせた。 (アンタも仕事モードになる前は、寝起きでボケーっとしてるけどな……) 彼女たちは知っている。孟婆亭に立つ瞬間の孟婆の目が、スイッチが入ったように鋭くなることを。まるで別人格だ。


「三生石を見てわかったことは、人も鬼もそう簡単には変われないってこと」 孟婆は言った。「結局、最後は私の一杯のスープ頼みよ。……私は他人を変えたくないし、誰かのために自分を変えるのも御免だわ」


「三生石がなくても、地獄は変わらないんじゃない?」 孟婆は最後にそう呟いた。


(第18話 完)


いつもより早い時間の更新です。 関税の影響で、職場が地獄のように静まり返っています(笑)。 おかげで定時前に投稿できました。 この「不景気更新」が長く続かないことを祈ってください。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ