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【第17話】結婚式の走馬灯と、自分の肋骨(リブ)を食う男<冥銭>

挿絵(By みてみん)

(本作の表紙イラストです!)

「笑える死に様ですな。今度『孽鏡ごうきょう地獄(過去を映す鏡)』でリプレイを見ましょう」 芸術鬼はリブ肉(肋骨)をしゃぶりながら言った。「死ぬ時、走馬灯は見えましたか?」


「正直に言うと、見えたよ」 酒吧鬼(バーテンダー鬼)はベッドで上半身を起こした。血の池で肉体を再構築され、ようやく戻ってきたのだ。 「苦しい記憶じゃなくて、楽しい記憶だった。バーを建てた時とか、孟孟モンモンと出会った時とか」


「モンモン……」芸術鬼は呆れた。「馬面から聞いてなけりゃ、誰のことかわかりませんよ」


「……女に流し目で見られただけで、油鍋に飛び込むバカがどこにいますか」 芸術鬼は言った。「想いを伝えるなら、銃弾を受け止めるとかあるでしょう。『過命交情(命を預け合う仲)』ってやつですよ。油鍋に飛び込むなんて前衛芸術アバンギャルドすぎて理解できません」


「お前の言う通りにしなかったからな」酒吧鬼は力なく言った。 「何です?」 「『女の子の心を掴むのはアイ』だって……。俺は視線戦アイコンタクトで負けたんだ。彼女に見つめられて、俺が見つめ返して……耐えられなくて鍋に逃げた」


「数百年の童貞(魔法使い)のメンタルは脆いですね」


「うるさい。……で、どうすりゃいいんだ?」


「とりあえず何か食べて落ち着きましょう」 芸術鬼は皿を差し出した。そこには、彼が食べ残した肋骨の残骸が乗っていた。


「……これ、何だ?」


「見覚えがあるでしょう」 芸術鬼は言った。「わざわざ油鍋地獄まで行って、イケメン社長からもらってきたんですよ。**『揚げたての貴方の肋骨』**です」


「オエッ……!」 酒吧鬼は激しくえづいたが、胃の中は空っぽなので何も出ない。


「少しは食べないと勿体ないですよ。せっかくの珍味なのに」 「共食いを勧めるな!」


「私が生死簿のアーカイブに行ってる間に、こんなことになるなんて」 芸術鬼は嘆いた。「今、私の脳内は一万年分の名前と死亡時刻でパンク寸前です。詰め込み教育(受験勉強)の弊害で、邪悪な計画を立てるスペースがありません」


「義務教育の敗北だな」 酒吧鬼は自分の肋骨を手に取り、自分の脇腹に当ててみた。サイズはぴったりだ。 (……俺、本当によく揚がってるな)


「とりあえず、あのイケメンを消しますか?」


「まだ詰め込みが足りないようだな」


「ツッコミができるなら回復した証拠です」 芸術鬼は真顔になった。「で、本当の理由は?」


「……逃げたかったんだ」


「なるほど」


「わかるのか?」


「ええ。急にすべてが嫌になって、布団を被って、涙で茶葉枕ちゃばまくらをお茶にしたい夜……ありますよね」


「二度とお茶が飲めなくなる例えだな」


酒吧鬼は天井を見上げた。 「あのイケメン社長は完璧だった。俺には何もできない。……矛盾してるんだよ。ずっと孤独な幽霊だったのに、モンモンと過ごしてると、また孤独に戻るのが怖くなる。そのくせ、すべてを捨てて一人になりたくなる瞬間もある」


「……ある種のことは、死んでみないとわからないものです」 酒吧鬼は呟いた。


「でも、貴方はもう一人じゃありません」 芸術鬼は言った。「このバーには飲兵衛たちがいるし、私もいます」


「……お前がいるのは微妙だがな」 酒吧鬼は苦笑し、再びベッドに横たわった。


芸術鬼は手酌で酒を飲み、二人の間に心地よい沈黙が流れた。


しばらくして、酒吧鬼が起き上がり、芸術鬼のグラスに酒を注いだ。 「お疲れさん。まだ調査の途中なのに、俺のために戻ってきてくれたんだろ」


「まあ、当然です」 芸術鬼はいつもの軽口を封印した。「メモを取るのを忘れたので、努力は水の泡でしたがね」


「……なら、俺も手伝うよ」 酒吧鬼は言った。「二人で探せば、二倍の速さだ」


(第17話 完)

50%。 残りの半分で、すべての帳尻ちょうじりを合わせます。 引き続き、よろしくお願いします。

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