プロローグ
初心者です。書くのも投稿するのも初めてですので何かご意見くださればありがたいです。
今まで人はどこへ行きどこへ帰るのだろう
これからどうすればいいのだろうか
僕は分からない
世界を救いたいとも思えば
世界を破壊し尽くしたいとも
思っている
僕はこれから
どこへ向かうのだろう
どこへ帰るのだろう
誰を愛するのだろう
誰を憎むようになるのだろうか
偽善なのだろうか
正義なのだろうか
悪なのだろうか
僕はどこへいくのだろう
どこへいき、どこへ帰り
どうやって生きていくのだろう
どこかへ
どこかへ
どこまでも
どこまでも
歩いて
歩いて
生きていく
生きていく
かの世界へと
葉っぱのこすれあう音が空気を満たす中、僕は確かに生を感じている。
だけど、一向に意識が完全に覚醒する兆しはなく、おぼろげな感覚のまま暖かい風に身をさらしつつさらに深い眠りの中へと誘われる。
そんな僕の意識を浮かび上がらせたのは確かに足音と誰かの声、そして、物が葉と擦れ合う音。
甘い世界に浸っていた僕はゆっくりと、それでも確実に意識を取り戻し、目を開けた。
「ああ。綺麗な空だ。」
静かな、さきほどは誰かの音が聞こえたけど、それでも静かで穏やかな世界で目が覚めた僕は木々の間から見られる空を眺めた。
…分かっている。
分かっていたけども、起きる前から気が付いていた。
それでも認めたくない。
そんな気持ちがあったからか僕が地面に、バカみたいに寝ころんだまま青空をしばらく眺めていた。だが、それも時間切れがきたようだ。
先ほどの音がさらに大きく聞こえている。
明らかな人の気配を感じた僕は今までの世界と区切りをつけるため仕方なく地面に手をつきつつ上半身を起こした。
辺りを見渡す。
…森だ。
僕はもともとどこにいた?
…都会の真っただ中、学校にいたはずだ。
それがいつの間にかこんなところにいる。
悪い冗談でも、悪夢でもない。
さえない三文小説のように。
僕は違う世界にいるようなのだ。
確証は持てないけど直観的にそう感じる。
それはどうでもいい。
これからどうするか、音の大きさからそんなにはまだ近づいてはいない。
立ち上がって、近くの木のところでしゃがむ。
持ち物は…全滅だ。
服は学生服だけど、他に財布、携帯電話、カギなど近代科学の代物はすべてなくなっている。
あったところで大して役には立たないだろうけど。
空の色、森の色、地面、全てが今までいたところとは違う。
どこが違うといわれてもわからないけど。
何かが違う。
どうする?誰かに助けを求めるか?
言葉は通じるのか?
様々な疑問が頭の中をよぎるけど、まずは安全確認だ。
人がいるならなんとかなる。
ついていけばいい。
ばれたらそれまでだけど、迷ったら洒落にならない。
近づいて言葉を聞けばまず言語の問題ははっきりするし、服装から推測すればこの世界の科学基準なども大体予測がつく。
せめて、何か武器があれば身を守れるし、多少の恐怖を欺瞞することが出来るのだ。けど周りに何もないこの状態ではそれもかなわない。
注意深く姿勢を低くしながら僕は音のする方へとちかづくことにする。
5分もかかっただろうか?
草むらが多くて姿が見えないけど声がかなりはっきりと聞こえる場所までたどり着くことができた。
しゃがんで木に寄りかかりつつ、耳をそばだててみる。
「…わけがない。…ちかくに」
擦れ合う葉っぱの音のせいで途切れ途切れにしか聞こえなかったけど確実に男の声は聞こえた。
不思議だ。
なぜ言葉が分かるのだろう。
僕は首をかしげた。
はっきり言うと完全に僕の世界で使っていたことばとは別のものだ。
ただ、理由ははっきりとしないけど僕はその言葉の意味も理解できる。
軽いショックを受けつつ、そんなことを気にしてる暇もないのでとにかく会話から数人いることが分かった僕はその姿を確認すべく草むらをそおっとかき分けて出来た小さな穴から右目をのぞかせた。
「…は高く売れる。だが、逃がしたとはどういうことだ?早く探せ!ここはサルヴァンの縄張りだ。もたもたしていると…」
浅黒い肌をしてる男が10人。同じく女が2、3人。
そのうち背中や腰に剣をつけているのが半数以上。
弓まで持っている奴もいる。しかも、会話から察するに彼らは密売人なのかもしれない。
不味い。
非常に不味い。
彼らの姿の奥にはテントや馬まである。
頬に傷がある者や腕が片方無い者。
明らかにならくれ者だと分かる。
さすがに助けを求めるのは危険すぎる。
そう考えてゆっくりとさがってその場から離れることにした。
足音を立てないよう注意をはらいながら移動し、出来るだけ見晴らしが悪いところへと…
と、考えながら移動したからか。元々、都会に住んでいいた僕には土台無理なんだよ。森の中を歩くなんて…
舌打ちしても始まらない。僕は方向を忘れた。といってもあの密売人?の方々からどの方向に来たかを忘れただけで、もともとこの世界に来た時から既に迷子の状態だったのだからあまり意味がない。
さ迷い歩くうちに川を見つけた。
正直に言うとすごくほっとした。
水の確保も出来るしもしかしたら魚もとれるかもしれない。
とにかく僕は乾いた喉を潤すためにそっと両手を冷たい水の中にいれ、水をすくってその水を飲んだ。
うまい。
そんなに大きな川じゃない。
せいぜい横4~5mぐらいの、深さもそんなにない川だ。ここを下って行けば大きな川にいけるだろう。
そうすれば少しは希望的観測ができる。
橋があれば人通りがある証拠だし、もしかしたら村や町にたどりつけるかもしれない。
そう考えて川にそって歩くと途中で変なものを見つけた。
遠目で見ると赤くて気持ちが悪かったけど近づいて見てみると紅い、毛むくじゃらのようなもののようだ。
ためしに近くにあった枝でつっついてみる。
「ん…」
しゃべった!?
僕は後ずさりながら森の中へ入り、木の後ろからそっとその人間ではない存在を観察した。
よく見れば、確かに人の体を表す曲線がある。
だが、毛でもじゃもじゃだ。
さっきの密売人?たちは彼女を探していたのか?
彼女と言うからには声がたかかったせいなのだけど、女の子であっているかは微妙だ。知らない世界ならなおさら。
しばらく観察しても動く気配もない。
恐る恐る彼女の方に近づいてみる。
…起きない。
先ほどわかった人の形の曲線から、顔のあたりだろうと分かる場所をのぞく。と、かなり近づいて分かった。
毛皮のようなものを身にまとっているみたいだ。
けど、他のことにも気が付いてしまった。
体が痙攣をおこしている。
こうなってはなりふり構ってはいられない。
彼女の体と砂利の間に手を入れ、彼女の上半身を起こす。
すると毛皮の中から毛むくじゃらの顔が出てきて、ついでに猫の耳も彼女の頭についているのも発見した。
まじっすか。
どんな世界だよ。
そう思いつつ、とにかく痙攣している彼女の上半身を抱え込み、木々の方へと引きずる。
砂利の上で倒れているよりは遥かにましだと思ったので、草むらの上に自分の上着を敷いてから彼女を下ろした。
まず、毛皮を確認する。
これはどうやら上着のようだ。
中にもちゃんとした服を着込んでいるのはいいけど、なぜ体毛があるのに服を着るのかは謎。
どうでもいいけどさ。
毛皮の上着をちゃんと体に巻き付けさせて寒くないようにしてやる。
ここまでも作業の間、彼女は体を震わせたままだった。
寒いわけではないだろう。だが、病気なのかよくわからないのでとにかくハンカチを川の水で濡らし、額に乗せてやる。
どうも、熱の症状に似ている気がするけど確証はない。
彼女の上着を掛けなおして気がついたことだけど、服のポケットには何も入ってはいなかった。
装備がまるでない。
どう考えても逃げてきたか、集落があるかだろう。
この世界は違うのかも知れないけど、あらくれものがいる世界で装備もなしに歩くのは自殺行為だ。
だから、何も持ってないというのは異常とみるべきだろう。
最悪のケースとしては彼女を密売人たちが探しているということだ。
考えるだけで手が震えてきそうなので、とりあえずの出来ることをする。
枯れ葉を集めたり、枝を集めたり、魚を追いかけたり、火をつけようと無駄に頑張ってみたり…
辺りを警戒しつつ以上のことをやっていたらいつの間にか日が暮れてきてしまっていた。
獣の声もあたりに聞こえてきたので何とか火を起こすのに必死になる。
追ってきているのかどうかさえ分からないのに火をつけるのは自殺行為かもしれないけども、そのときはその時だと思う。
ちなみに、魚は思ったより簡単に捕まえることが出来た。
浅瀬の方で一匹に対して何匹か連れていたから、大きめの石で囲っただけ。
あとは少しずつ小さくして、シャツですくいあげた。
なんでこんな方法で捕まえられるのかは疑問だけどとにかく枝に刺して焼いてみると、意外にも香ばしいにおいが漂ったので一口食べてみると僕の世界の魚の味と大して変わりはないようだ。
4~5匹食べたところで、いよいよ夜の帳が下りてくる。
この世界の星空はどうだろうと見上げるとあっけにとられてしまった。
月が二つある。
どういう公転しているのかは知らないけど確かに空には月が二つならんでいた。
「ほんとうに、違う世界に来たんだ…」
さみしい独り言をつぶやく。
このあと直ぐに死ぬかもしれない。
そういう世界だろう。
せめて、星を楽しむぐらいはしたい。
…泣きそうになったので、火の番をすることにする。
石で囲ってつくった焚き火に枝をくべながら、火の動きを見続ける。そして、やっぱり僕は寝てしまった。
誤字脱字等に気をつけるように致しますがお気づきの点がありましたらご感想等で教えて頂けると有難いです。