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天史拾遺長歌集  作者: d_d本舗
23/112

生徒会の本分


マンガ等に登場する生徒会は、得てして強権を振るうものである。


時には学内の制度をみずから定め、有無を言わせずこれを執行してみたり、風紀を乱す輩を厳しく排除してみたり。


それはあたかも、理事長あたりから全権を委任されているかの如く。


「さんじゅー……、あ! やっと来た!」


「勘弁してホント……」


実際には、そんな事はあり得ない。


教職員が特定の団体に権利を移譲するということは、職務の放棄と捉えられる恐れがある。


何より、真っ当な組織において、権利と責任の分量はほぼイコールである。


最高権力者というのは、往々にして逃げ道や安全な退路を失いがちだ。


生徒たちを守る意味でも、彼らに教師を上回る権能を与える訳にはいかない。


「ゴメンね? 急に呼び出して。お昼時に」


「や、いいけどさ」


「どしたん? 俺ら何もしてないよマジで」


ともすれば、生徒会とは本来、学生の見地を最大限に活用し、教師の立場ではどうしても見落としがちな部分を補うことにこそ意義がある。


より良い学校生活を送る上で重要な、学生間の横の繋がりを保ったり、新たな仲を取り持つことも大切なお役目の一つだろう。


本日、生徒会に属するもう一人の幼なじみが私たちを呼び出した理由は、まさにそういった用向きだった。


「いきなりで悪いんだけど、ちょっとこの子の話聞いてあげて欲しいんだ」


「うん……?」


よく見ると、彼女の陰に隠れるようにして女子生徒が立っている。


1年生だろうか。小柄でどこか初々しく、利発を絵に描いたような幼なじみに比べて、ずいぶんと大人しそうな印象だ。


「それはなに? 相談ってこと?」


「なんで俺ら? いやいいけどさ。いいけど、なんで?」


そろって小首を傾げたところ、当の女子生徒は顔を真っ赤にしつつ、何やらゴニョゴニョと耳打ちの姿勢を示した。


言い難いことか、それとも単なる人見知りか。


これに対し、ひと頻り“うんうん”と真剣な表情で相槌を打った幼なじみ(タマちゃん)は、程なく顔を上げて言った。


「……この子ね? 会っちゃったんだって。学校で、お化けに」


かくの如く、このたび生徒会が提示した横の繋がりとは、まさに奇縁と呼べるものだったかも知れない。


ともあれ、一つだけ得心がいった。


私のみならず、本日は幸介まで呼び出された理由についてだ。


相談事の内容が内容なだけに、男手があった方がいいと判断したのだろう。


いやもしかすると、妙に義理堅い幼なじみの事である。


こういった件に当たるには、私たち三人で動くのが良い。


そんな風に結論づけての事かも知れない。

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