他手
「好きだよ」
僕は口に含んでいた君の人差し指をようやく解放すると、その手に自分の指を絡み付かせた
君の手が戸惑い、逃げようとする
僕はそれを逃さないよう両手で握り締めると、人差し指で君の手の平を優しくなぞった
強引に与えられた悦びに耐えられず、君は死に際のように震える
「声が出せるなら叫んでいたかも知れないね」
そう考えただけで嬉しくなる
口が笑みの形を取っていた
指の間を愛撫する
手の甲に頬を擦り付ける
或いは君の爪を自らに突き刺し、滲んだ血をお互いに塗り付ける
思い付く限りの遊びを僕は愉しみ、君は抵抗も出来ずされるがままになった
何度か遊びの合間に君は逃げ出そうとしたが、その度に僕は君の手に指を絡め、それまでより強く快楽の玩具にした
「愉しいね?」
僕は君の手の平を、飴のように舐める
君は──手だけになってしまった君は、幾度目かの逃走を行おうとした
僕は慌てて、君を逃さないように両手で抱きかかえるとベッドに入り、満足気に瞼を閉じる
「おやすみ」
「続きはまた、明日ね?」




