名付けて『婚約破棄大作戦』!
シルビアがゆったりと前を歩く。
私は足早にシルビアを追い抜きそこで躓いたふりをしてパタッと倒れる。
そのまま振り向きシルビアを見上げ
「あああ殿下! ごめんなさい。私、殿下だとは知らなくて...本当にごめんなさい!」
「そんなことより、君、大丈夫か?」
「だ、大丈夫です」
「涙が流れているじゃないか。このハンカチを使うといい」
シルビアがポケットからハンカチを出して私に渡す。
「ねえシルビア、ここで立ち上がった方がいい?」
「そうね。立ち上がろうして立ち上がれないとかは?」
「そっか、殿下に手を添えてもらうのね」
「セレ、涙流せる?」
「それ無理! そうだ、最初からどちらかの肘に赤いインクを塗っておくわ」
「ふーん、だとすると『君、ケガしているじゃないか』か」
「でも、医務室に連れていかれたらバレるよね」
「医務室の先生をあらかじめ買収とか?」
「クッキーで良いかな...」
シルビア・マクドネル侯爵令嬢は、陶器のような滑らかな肌に流れるような銀糸の髪、紫色の瞳を持つ美少女。
今日は王子役なのでパンツスタイルに身を固めている。格好いい!
私、セレスティーヌはハレル伯爵家の長女。自称美少女。ふわふわブロンドで儚げルックスで、今日はピンクの花柄のワンピース。二人は同じ年の十五歳で幼馴染で親友。
私たちが何をしているかと言うと、この国のジェレミー第一王子にシルビアとの婚約を破棄してもらうために、私が誘惑係になって殿下の攻略練習中。
シルビアが殿下に初めて会った時に言われた言葉が
「君は僕のタイプじゃないんだけど、ま、いいか」だったとか。
学園の中ではいつも周りに女の子を置いて
「今のうちに楽しんでおかないと」と言っているらしい。
「正直、結婚して上手くやっていくなんて絶対に無理!」
実は、シルビアはわが伯爵家の長男であるブレント兄様と幼馴染で二人は婚約していたの。
でも王家からの婚約の申し込みでダメになっちゃった。
もともとはバウアー公爵家の令嬢がジェレミー第一王子の婚約者だったけど身体が弱いとかで辞退したの。ほんとかしら?
納得がいかないお兄様とシルビア。二人はお互いが大好きだからね。
私は何とか二人にハッピーエンドになって貰う方法はないかと思案していたら、ちょうど私の婚約者のマーカス兄様が我が家の領地に遊びに来た。
マーカス兄様はお母様同士が親友で、私が小さい頃から我が家に遊びに来ては、私のことを「僕のお嫁さん」と呼んでいたから婚約するのは当たり前という感じだった。
彼はもうすぐ隣国の医大を卒業して医師として働き始める。私もマーカス兄様と同じ道に進みたくて、二年前から医療先進国である隣国の医療学院に留学している。今は夏休みで帰省中。
ちょうどいい機会だから、マーカス兄様を交えて四人で頭を突き合わせながらこの婚約をどうしたら無かったものにできるかと話し合った。
「う~ん、婚約破棄をさせるならセレの暗躍が必要だな」
マーカス兄様が腹黒そうな表情でそう言うから
「え、なんで?」って聞いたら、
「セレが王子を攻略すればいいんだ。向こうに本気になってもらわなくちゃいけないけどさ」
「はっ?」
シルビアは顔を曇らせて心配してくれた。
「そこまでのことをセレにはやらせたくないわ」
「マーカスもセレにそんなことさせて心配じゃないのか?」
ブレンド兄様も優しい。
「セレなら大丈夫。俺の溺愛を知っているのに心変わりなんてしないよね?」
「溺愛? 知らなかったよ!」
「こんなに好きなのに伝わってなかったなんて心外だな、これからはちょっと頑張ろうかな」
「頑張らなくても心変わりはしないから。それで、向こうの学校はどうするの?」
「セレはまだ教養課程だから、こちらでも一年間勉強して戻ったら試験を受ければ大丈夫だよ。俺もバックアップするし」
「よし、道は一つ。シルビア、やるわよ!」
「セレなら出来るさ! 舞台は卒業パーティだよ」
「似たような話を読んだ気がする。シルビアも知ってるよね。ほら、たぶんあの悪役令嬢の本」
「ああ、あれね。結構面白かったけど...」
「断罪がえぐいよね」
「それでブレンドの役割は...」
「わかってる。卒業パーティ会場の近くにいて二人の回収だね。シルビアもセレも無理だけはするなよ」
心配するブレント兄様に逐一報告するっていうことで、名付けて『婚約破棄大作戦』を決行することになった。
その後マーカス兄様が「あ、髪はピンクに染めるんだよ!」私「えーっ」。
それで、次の練習は。
ベンチの代わりにソファに座っているシルビアに私がパタパタと駆け寄り
「あのー、殿下。この間はハンカチを貸してくださってありがとうございました。私、とっても嬉しくて、あのハンカチいただいちゃっていいですか? 家宝にしたいんです」
「セレ、手を胸に当てて!」
「了解! それで代わりにこのハンカチを殿下のために刺繍したんです。良かったら使ってくれますか?」
「上手な刺繍だね」
「...シルビア、私全然刺繍できないよ」
「大丈夫、侍女のアニーが作ってくれるよ」
「よかった!」
「それで、あのー、このクッキーも殿下のために焼いたんです。良かったらどうぞって、あれ? クッキーってどこから出すの? ハンカチは両手で胸に抱えているし」
「それ盲点だったね。ポケットに入れていると崩れちゃうしね」
「ハンカチに包んで渡せば一石二鳥かもしれないけれど、ハンカチにバターが付くこともあるよね」
「ハンカチか、クッキーか、それが問題とは」
「「あっ、二回に分ければいいんだ!」」
こんな状態で殿下を攻略できるのかしらとちょっと不安だけど、次の練習をすることにした。
シルビアは優し気な表情を浮かべて
「セレスティーヌ嬢、ちょっと隣に座って」
「え、そんな恐れ多いですぅ」
「いいから、いいから」
私がシルビアの隣にちょこっと座る。
「殿下はお優しいんですね!」
「そう言ってくれると嬉しいよ。ところでセレスティーヌ嬢は婚約者がいるの?」
「はい、じゃなくて。いいえ、まだ...」
「どんな人が好きなの?」
「やっぱり優しい人かな。うふふ」
「またここで会おうよ。ね?」
「でも、シルビア様に何か言われたらと思うと...」と俯く。
私は見た目が儚げだから効果はあるはず。
シルビアが私の肩にそっと手を置く
「僕は君の味方だよ。シルビアなんか気にしないで」
「......ちょっと待って、カンペ見ないと!」
えーと、『視線を上げて殿下を見る。私で良ければお話し相手になりますと肩に置かれている手に少しだけ触れる』か。
「これでどう?」
「うまいうまい」シルビアが拍手をする。
傍で見ているブレンド兄様に顔を向けると、なぜか頭を抱えている。
なんか変だったかしらね?
さて、それから半年後。
シルビアと練習したことが功を奏して、計画は順調に進んではいるんだけど、どうもすっきりしない。
行儀悪いと思いながら、図書室の奥の一角で机に頬杖をついている。
「シルビア、私ね。なんだかこれで良いのかって気がしてきたの」
シルビアも同じように頬杖をついて私を見つめる。
「セレの気持ちもわかるわ。殿下は浮気性で頭も良いとは言えないし、仕事を私に押し付けたりはするけれど、悪人と言うわけではないのよね」
「うん、最近は私の方が悪人のような気がしてきた...。皆が幸せになる方法って何かないかな?」
「大作戦、やめる?」
「ううん。あ、そういえばこの間、一年に水色の髪で可愛い子が転入してきたでしょ?
彼女、やたら私たちの前に現れて、殿下の前でハンカチ落としたり、教科書落としたり、ちょっとふらついてみたりもするの。殿下の方も水色のこと気になってきたみたいよ」
「その子、ドジっ子装ってるの? ...はっ、それはもしかして」
私たちは一緒に立ち上がり
「「救世主かも!!」」
思わず回りを見渡してから小声で
「私はやっぱり伯爵家の娘として育っているから、やたらにボディータッチするとか苦手だし、グイグイいけないんだよね。そこのところ水色はやってくれるんじゃないかなって気がする」
「彼女のこと調べてみる?」
「任せて!」
そういうわけで、水色さんについての聞き込み捜査を開始した。
「男爵家の庶子で、最近引き取られたって聞いたよ」
「可愛いことは可愛いんだけど、男の子にばかり愛想がよくって語尾伸ばすのもなんか嫌」
「高位の貴族の男子生徒には特にボディタッチが多いような気がするわ」
うん、なかなか使えそうだ!
「私、放課後の教室で、彼女が『私はヒロイン! 王妃になるのよ! シルビアなんて断罪しちゃうんだから』って呟いているの聞いちゃった。大丈夫かな彼女?」
採用決定!
それからは殿下と水色さんと一緒にランチや中庭で話をする機会を作っていった。私も勉強忙しいんだけどね。
水色さん、私をジト目で見ながら
「なぜ、いつもセレスティーヌ様がいるんですか?」
(殿下に一緒にいてくれって頼まれるんだよ)
「セレスティーヌはね、半年前から僕の心に寄り添ってくれてるんだ」
「これからは私が殿下に寄り添いますぅ」
殿下の腕をさっと掴み身を寄せる。
そのあと、水色さんは私に近づいて声を落として
「セレスティーヌ様はどうせモブだし」
(モブって何? 私、褒められていないよね? 良い子はこんなこと人に言っちゃいけないよ)
ある時は、
「殿下って、両親、じゃなくて両陛下の愛情を疑っていますよね。弟ばかりをかわいがるって」
(え、そうなんだ。初めて聞いた。でも弟ってまだ五歳だからな。可愛いと思うよ)
殿下は嬉しそうに答える。
「すごいな。君はよく僕の気持ちがわかるんだね」
「もちろんですぅ。私はいつも殿下のことを考えていますから、それなのにシルビア様は殿下に冷たいですよね」
(うん、うん、いいんじゃない)
「それに、シルビア様って私に意地悪なんですよ」
シルビアが水色さんに言うことって、「廊下を滑るな」とか「階段は一段ずつ上り下りしましょう」とか、ちょっとしたことなんだけどね。
シルビアが何か言うたびに水色さんは涙をポロって流すの。すごいな。
「きっと私と殿下が仲がいいからですね」
さりげなく殿下にボディタッチ。
私、本当に良い人材を見つけたわ。
殿下への私の罪悪感を軽減してくれてありがとう、水色さん!
時を経るうちに水色さんの言動はだんだんエスカレートしてきた。
「シルビア様に教科書を破られてたことだってあるわ!」
「あのさ、知ってる? あの重い教科書って学園が私たちに貸与している形になってるんだよ。きちんと学務課に言ったの? もしシルビア様が破いたなら弁償して貰うのに手続きが必要だよ」
たまにブレーキをかけることも必要だからね。
「セレスティーヌ様は黙ってて! 殿下、今度二人だけで会いたいですぅ」
ある日、階段上にシルビアがいて、なぜか水色さんのテンションが上がっていたから階段途中で思わず言ってしまった。
「Gがいる!」
水色さん慌てて降りて行った。何の問題もなし。
もう少しで卒業式だから、水色さん焦っているみたい。
近頃はしきりに殿下にシルビアと婚約破棄して、シルビアをどこかに追放してくれなんて言っている。
そしてついにある日、殿下に聞かれたのよね。
「セレスティーヌ、シルビアのこと、どうしたらいいと思う?」
「婚約破棄にはもちろん賛成です! でもシルビア様を罰するのはどうかと...。マナー違反がある時は、高位の貴族としては注意するでしょうし」
「うーん、そうだな」
水色さんが眦を上げて声高に叫ぶ。
「シルビア様に酷いこと言われて、私は心が抉られたのに、罰がないの?!」
殿下は水色さんの勢いに負けて
「では、シルビアは領地で二年謹慎。その間社交はダメってことでいいかな?」
「とりあえず一年で良いのでは?」
「うーん、そうだな。セレスティーヌの言う通りにしよう」
殿下が勝手に罰を与えるのは問題があるんだけれど、『婚約破棄大作戦』を成功させるのが優先事項だから、そこは口を噤んだ。
水色さんの方はちょっとムッとしていたが
「水色さんは可愛らしく素敵な淑女で、心も寛容だなんて素晴らしいわ!」
その私の言葉に納得したのかしないのか、急に殿下にすり寄って
「殿下ぁ、卒業パーティで私たちの『真実の愛』のために絶対婚約破棄してくださいね」
「ああ、わかったよ」
ここに来て作戦成功の予感がした。
いよいよ卒業パーティ当日。皆、思い思いに着飾っている。
昼過ぎに開かれたパーティがそろそろ終盤に差し掛かってきたころ、ジェレミー殿下の声がホールに響き渡った。
彼はその右手でピンク色の髪の少女(私)を抱え、左手で水色の髪の少女を抱えている。
つまり『両手に花』状態。
パーティでは、殿下と水色さんがべったりくっついて踊っているのをいいことに、私はビュッフェに舌鼓を打っていたんだけど、殿下に「婚約破棄」の時は自分と一緒にいてくれって言われて、不本意ながら殿下の隣に立つことに。
さあ、婚約破棄大作戦の成否はいかに?
「シルビア・マクドネル侯爵令嬢、私の前に出てきてくれ!」
雑談をしていた生徒たちが一斉にこちらを見る。
シルビアはゆっくりと体幹の整った所作で私たちの前に来た。
「如何いたしましたか殿下?」
「私は『真実の愛を』見つけたんだ。だからお前との婚約を破棄する!」
(言いました! 言いました!)
ちょっとニヤけている私を見ても、さすがにシルビアは態度を変えることなく
「なるほどそうですか。確かに『真実の愛』の前には侯爵家の娘と言えども無力です。謹んで婚約破棄を受け賜ります。
...ところで殿下。『真実の愛』は何処に? 右手のピンクの令嬢ですか? それとも左手の水色の令嬢でしょうか?」
「それなんだよね。迷っているんだ。どう思う?」
水色さんがヒシと殿下の胸に頭を寄せる。
シルビアは私たちを見定めるようにゆっくり視線を動かし
「そうですね...、やはり水色の令嬢でしょうか。殿下によくお似合いですわ」
「やっぱりそうか!」
ここでやっと私の腰を離してくれた。
「セレスティーヌ。悪いことをしたな。やっぱり水色にするよ」
「殿下の幸せのためなら、私も謹んで身を引きますわ」
そそくさと距離を取り、礼をする。
「ありがとう。そ、そうだ。シルビアはこの二人に結構な意地悪をしたと聞いているぞ」
シルビアを指さす。殿下、マナー違反ですぞ。
シルビアは首をかしげる。
「学園とはいえ、やはりマナーは必要かと思いまして。特に水色の令嬢には厳しく言ったかもしれません」
「だから、お前を罰するべきだと思ったんだ」
「はい」
「お前は、しばらくの間、そうだな一年間は侯爵家の領地で過ごすこと。王都で社交などとんでもない。わかったか?」
「かしこまりました」
シルビアが振り向いて「ジャック、こちらへ」
生徒たちの後ろに目立たないように控えていた侍従のジャックが前に出て、書類をシルビアに手渡した。
「殿下。この書類にサイン願います」
「これは何だ?」
「この婚約破棄に関する書類でございます。この婚約は王家と公爵家との約束でございましたが、すでに成人を迎えている当事者同士のサインがあれば国としても婚約破棄を認めるでしょう。ここにいる皆様が証人です」
「なんだか随分用意がいいような...」
「役所が開いているうちの方がよろしいでしょう? 明日はお休みですし」
「なるほど」
殿下がペンを走らせる。次にシルビアがサインを終えた。
「ジャック、これを直ちに王宮の貴族籍管理課に届けてね。では、私はそろそろ退散いたします。殿下はきっとお幸せになりますわ」
「珍しく殊勝なことを言うんだな」
「殿下ぁ。良かったですね。これで私たちやっと婚約できますね。あっ、私、嬉しくて涙が...」
「可愛いね...」と殿下がハンカチで水色さんの涙をぬぐう。
周囲の者はうんざりした様子で眺めているが、さすが水色さんだ!
その時、ホールのドアが開き、正装したブレント兄様が颯爽と入ってきた。
えっ、作戦にあったっけ?
シルビアの前に来たお兄様は、その場に跪き
「シルビア・マクドネル侯爵令嬢、婚約破棄なさったと聞きました。それでは、どうか私と結婚してください。必ず幸せにします!」
あ、婚約破棄が成功したこと、ジャックさんに聞いたのね。
シルビアは満面の笑みを浮かべて
「はい、喜んで!」
ホールのみんなが一斉に拍手した。お兄様、やるわね!
シルビアが兄様にエスコートされてホールを後にした。
「セレスティーヌ。あいつ誰だっけ?」
「さあ?」
兄様はもう3年前には卒業してたから、殿下は知らないわね。
「なんで、なんでなの。なんで悪役令嬢が幸せになるのよ!」
水色さんが悔しがっている。
「倍返しされなくて良かったじゃない」と言ったら睨まれちゃった。
さて、ゆっくりしている時間はないわ。今度は私が逃げなくちゃ。
「殿下、私もそろそろ失礼します。水色さんと仲良くお過ごしくださいね」
「ああ、手紙書くよ(イテッ)」
どうやら、水色さんが殿下の手を抓ったようだ。
ホールのドアを出た後は一目散に学園の車寄せへ。
車寄せには侯爵家の馬車がすでに待機していた。
「シルビア!」
「セレスティーヌ!」
「二人で一年間頑張った甲斐があったよね。今のところは誰も不幸になってないし本当に良かった」
「水色さんは功労者ね! お父様に頼んでこのまま学園で勉強できるようにしてもらうね」
「それがいいわ!」
私たちは手を取り合って微笑み、そして抱き合った。
馬車の中には私を溺愛しているというマーカス兄様もいた。
「『婚約破棄大作戦』の成功おめでとう!!」
卒業パーティのあとはどうなったかというと。
侯爵家はすぐに婚約破棄を受け入れる声明を出した。殿下が勝手にいろいろ言ったから、シルビアのお父様もかなり頭に来ていたらしい。
陛下の怒りに触れたジェレミー殿下は、教育を一からやり直しということで王宮の一室にほぼ監禁状態で勉強しているそうだ。
水色さんと結ばれるために、ジェレミー殿下、頑張れ!
王家からハレル伯爵家にセレスティーヌについての問い合わせがあったが、
「娘は隣国に留学しており、婚約者もおります。何かの間違いではないでしょうか?」
父様に言われ、仕方なくピンクブロンドの少女をそれとなく探したらしい。
私の髪はブロンド。1年間、髪をピンクに染めるって結構大変だったのよ。
さらに一年後、十七歳になった私たちは、隣国の教会で一緒に結婚式を挙げた。
おしまい
(うん? 水色さんの名前? 何だったっけ? すごく長い名前なの!)
<只今、殿下攻略練習中>
「セレステーヌ嬢の好きなものは何かな?」
「食べ物なら何でも。特にレアに焼いた厚いステーキ、下味のしっかりついた鶏の香草焼き、魚介類ならグラタン、たっぷりタルタルソースをかけた白身魚のフライなんかをがっつり食べるのが好きです。うふふ」
「セレ、『ほんのり甘いミルクティーとマドレーヌかしら』ってセリフじゃなかったっけ?」
「...お腹すいてきた。厨房に行こ! なんかあるかも」
「賛成!」
色気より食い気の二人でした。
ちなみに、脚本の作者はマーカスさんです。
少しは気分転換になったでしょうか。またお会いしましょう!