表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

エッセイとか

作者: 佐藤朝槻

 

 雨の気配がする。

 湿った空気が漂っている。


 雨といえば、私は雨音を聴くのが好きである。

 ポツポツと降る雨は、断続的に落ちてくるものと大きく音をたてるものとがある。


 断続的に落ちてくるものはどこか忙しなく、私の耳心地は大変よい。遠くで降っている錯覚を覚えるし、居眠り中の毛布のごとき温もりと優しさがある。


 だが大きく音をたてる雨もある。重い腰を下ろすように物に打ち付け、水滴が四方八方わかれていく力強さ。離別を思わせる雨の涙。

 私はこの音が好きだ。耳に深く落ちる音ゆえに、雨音が奥行きを作り出す。雨は遠くて近い。


 はあ。雨音を聞いて寝付く生活をしてみたいものだ。

 読書時間のお供に雨音を聞く。湿った紙にうんざりしたらゴロ寝して、雨が止んだときを待ちわびる。最高じゃないか。


 残念ながら、雨がそんな慎ましやかで幸福な時間ではない。

 当方、頭が緩やかに締め付けられ、軽い吐き気を覚えている。眠れそうもない。


 いつだろう、雨の音が好きになったのは。

 いつだろう、雨を察知するのが頭痛になったのは。


 雨は好きも嫌いも抱かせる。憎たらしいやつ。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ