マツオカさんは子供が大、大、大好き
マツオカさんは大当たりのお隣さんだ。
『団地の子供は皆の子供』と言ってくれて学校から帰ってきた息子のマツリを進んで預かってくれる。50才まで夫婦に子供が出来なかったのでとにかく子供が可愛くて仕方がないらしい。マツオカさんお陰で私は安心して夜の仕事に行けるし、休日は自分のために時間を使える。
「あらー。マツリ君。痛い痛いねぇ!」
「……んふっ」
マツオカさんは絵本で指を切ったマツリの指をしゃぶる。マツリはくすぐったそうにモジモジしている。
「じゃあママ行ってくるわね」
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「あらー。マツリ君。あんよがきちゃないきちゃないねぇ」
「ひゃひゃひゃひゃ!」
マツオカさんはタオルを使えばいいのにわざわざ砂場で汚れたマツリの足を舌で綺麗にしてくれる。いい人だなぁ。マツオカさん。
「じゃあママ行ってくるわね」
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「マツリー?お顔にケチャップ付いてるわよぉ」
「エミー。取ってぇ?」
マツリの顔についたオムライスのケチャップをマツオカさんは舐め取った。晩ごはんまで作ってくれて本当にいい人。というかマツオカさんってエミっていうのね。
「じゃあママ行ってくるわね」
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「はぁっ、はぁっ、はぁっ」
「マツリ?どうしたの?」
お風呂から出てきたマツリの顔は真っ赤だ。のぼせたのかしら?マツオカさん。しっかりしてよ。
「あら?まだ出かけてなかったの?」
裸のままリビングを歩くマツオカさん。もう自分の家みたいね。
「エミぃ?もっかいお風呂行こう?ママー。はやくお出かけしてよぅ?」
いくら私でも異変に気がついた。二人が纏う空気がなんかピンク色。マツリが『男』の顔をしている。この二人もしかして……。
お風呂で何してるの?マツオカさん。もしかして『舐め』てる?まさか『舐めさして』ないわよね?
どうしようどうしよう?警察?児童相談所?
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「じゃあママ行ってくるわね」
『『いってらっしゃーい』』
まぁいいか。今夜は大好きな韓流スターのライブがあるのよね。