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4.期待。

戦闘開始ぃ!!

応援よろしくです!!








 冒険者の対決――すなわち、決闘というものは案外、街の風物詩らしい。

 その証拠に、王都で一番の広場には決闘専用の舞台が用意され、それを取り囲むようにして観衆ができていた。正直なところ、こうなるとは思っていなかったわけで……。



「あわわ、わわわわわ……!?」



 ボクは軽くパニックに陥っていた。

 なお、隣では――。



「おぉ~! この景色、懐かしいな!!」



 相棒であるリュードが、のんきにそう言っている。

 どうにも話を聞く限り彼は、生前はなかなかの暴れ者だったらしい。決闘は日常茶飯事で、それ以外にも非公式の喧嘩で常勝無敗を誇ったとか。

 そりゃ、強いよな――とか、今さらながらに思ったり。


 そうこうしているうちに、決闘の時間が迫ってきた。

 舞台に上がる階段の前にやってくると、そこにはすでに相手がいる。


 その人――世界最強の魔法使い、レクイエ・ウォータイムは、その綺麗な顔に優しい笑みを浮かべるのだった。



「今日は、よろしく頼むよ」

「は、ははっはい!」

「ふふふ」



 声を上ずらせるボクに対して、彼女は余裕の笑み。

 それを見て――。



「………………」



 ボクは、思うのだった。

 もしかしたら、この人が見ているのはボクではないのでは――と。


 きっと誰か別の、もっと強い人。

 だから、ボクみたいに震え上がっている相手には笑っていられるのだ。



「さぁ、そろそろ行こうか」

「…………はい」



 それを確かめるより先に、レクイエさんは行ってしまう。

 ボクはそんな彼女の背中を見て拳を握りしめた。



 そして、ようやく恐怖心が――。








 ――正直、期待外れだった。



 レクイエは決闘の直前に震え上がったライルを見て、そう思う。

 グルールに対して決死の戦いを挑んだ青年を認めた時には、もしやと感じたのだが、どうやら気のせいだったらしい。

 彼はレクイエの求めているような相手ではなかった。



「…………」



 舞台に上がると、昔を思い出す。

 観衆の声に、対戦相手。そして立会人の宣言。

 それらが雰囲気を高めて、やがて盛大に弾ける感覚を知っていた。肌を裂くような緊張に、耳をつんざく悲鳴や歓声。


 自分の追い求め続けるモノ。

 しかし、今回もまたそれには程遠かった。



「では、始め――!」



 レクイエにとって、かつて宴に等しかった戦いの火蓋が切って落とされる。

 だが、今日はもうすぐに終わらせよう。そう思った。


 だから――。




「サヨナラ――ライルくん」




 一定距離の位置に棒立ちしている相手に、そう小さく伝えた。

 先制攻撃――確かな火力を持った魔法を撃ち込む。

 すると轟音鳴り響き、煙が上がった。




 それで、終わり。

 なんとも呆気ない終わり。




「…………はぁ」




 レクイエはため息をついて、目を伏せた。

 詰まらない。心底、詰まらなかった。

 そう、思った瞬間だ――。




「どうしたんですか? ――レクイエさん」

「…………なに?」





 はっきりと、彼の声が聞こえたのは。

 少しの驚きを持って前を見ると、そこには――。





「へぇ……!」






 無傷のライルが、立っていた。




 


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(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾




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