表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

8/15

3.詰まらなさそうなレクイエ。

次回、戦闘開始かな。

応援よろしくです!!!!









「相棒も、漢だな!」

「へ? どうしたの、急に」



 工房に戻ると、リュードが楽しげにそう言った。

 ボクは当然ながら間の抜けた声を上げ、彼のことを見る。すると相棒である鎧の彼は、変わらない表情に笑みを浮かべているような、そんな錯覚を抱かせる軽快な声でこう続けるのだ。



「だって直前まで自信なさげだったのに、その場で了承したんだぜ? あのバケモノ三体を一瞬で倒した相手に、恐れることなくさ!」

「あぁ、そのことか……」



 ウキウキなリュードに、ボクは納得する。

 なるほどたしかに、直前の口振りを考えるとおかしくそう見えるかもだった。事実ボクには、レクイエさんに勝てる確信などない。

 でも、恐怖心がないのかと問われれば――。



「いや、滅茶苦茶に怖いけどね!?」

「怖いのかよ!!」



 素直に答えると、リュードは漫才のようにずっこけた。



「だって、下手したら死ぬかもしれないし……」

「そりゃそうだけど。なら、なんで相棒はアレを受けたんだよ」

「え、それは――」



 そして、改めて訊いてくる。

 ボクはこう答えた。



「自分の立てた理論を確かめたかった、ってのもあるんだけど。それ以上に、レクイエさんが詰まらなさそうにしてたから――かな?」

「詰まらなさそうにしてた? あの女が?」

「うん。なんとなく、ね」



 そうだったのだ。

 グルール三体を相手にしたとき、彼女は本気さえ出していなかった。そしてその際の表情が、ボクにとっては詰まらなさそうに見えたのだ。

 全力を出せないから、なのか。

 それとも、もっと別の理由がそこにあるのか。



「どうして、そんな顔をしてるのか気になって」



 知的好奇心に後押しされた部分もあるが、気付けば対決を受けていた。

 いま思えば、それだって十分におかしな話だけど。



「なるほど、なぁ……?」



 リュードは納得したのかしてないのか、分からないがそう言った。

 そして椅子に腰かけて、大きく後ろに身体を反らせる。



「とりあえず明日は、全力で挑まないとね!」

「……だな!」



 でも、ここまできたら引き返せない。

 そう考えてボクが言うと、彼も元気よくそう答えるのだった。







 宿の一室で、レクイエは窓の外を眺める。

 彼女の視線の先にあるのは王城。だがしかし、紫の瞳には感情がなかった。



「…………」



 無言で、前髪に隠れた片方の目に手をかぶせる。

 そして小さく、こう口にするのだった。



「明日、終われるのかな」――と。




 レクイエのその言葉の意味。

 それを知るのは、彼女以外にはいなかった。



 


いつもお読みいただき感謝です!!

応援いただけますと執筆速度が跳ね上がります!



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
cont_access.php?citi_cont_id=821419007&s
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ