3.詰まらなさそうなレクイエ。
次回、戦闘開始かな。
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「相棒も、漢だな!」
「へ? どうしたの、急に」
工房に戻ると、リュードが楽しげにそう言った。
ボクは当然ながら間の抜けた声を上げ、彼のことを見る。すると相棒である鎧の彼は、変わらない表情に笑みを浮かべているような、そんな錯覚を抱かせる軽快な声でこう続けるのだ。
「だって直前まで自信なさげだったのに、その場で了承したんだぜ? あのバケモノ三体を一瞬で倒した相手に、恐れることなくさ!」
「あぁ、そのことか……」
ウキウキなリュードに、ボクは納得する。
なるほどたしかに、直前の口振りを考えるとおかしくそう見えるかもだった。事実ボクには、レクイエさんに勝てる確信などない。
でも、恐怖心がないのかと問われれば――。
「いや、滅茶苦茶に怖いけどね!?」
「怖いのかよ!!」
素直に答えると、リュードは漫才のようにずっこけた。
「だって、下手したら死ぬかもしれないし……」
「そりゃそうだけど。なら、なんで相棒はアレを受けたんだよ」
「え、それは――」
そして、改めて訊いてくる。
ボクはこう答えた。
「自分の立てた理論を確かめたかった、ってのもあるんだけど。それ以上に、レクイエさんが詰まらなさそうにしてたから――かな?」
「詰まらなさそうにしてた? あの女が?」
「うん。なんとなく、ね」
そうだったのだ。
グルール三体を相手にしたとき、彼女は本気さえ出していなかった。そしてその際の表情が、ボクにとっては詰まらなさそうに見えたのだ。
全力を出せないから、なのか。
それとも、もっと別の理由がそこにあるのか。
「どうして、そんな顔をしてるのか気になって」
知的好奇心に後押しされた部分もあるが、気付けば対決を受けていた。
いま思えば、それだって十分におかしな話だけど。
「なるほど、なぁ……?」
リュードは納得したのかしてないのか、分からないがそう言った。
そして椅子に腰かけて、大きく後ろに身体を反らせる。
「とりあえず明日は、全力で挑まないとね!」
「……だな!」
でも、ここまできたら引き返せない。
そう考えてボクが言うと、彼も元気よくそう答えるのだった。
◆
宿の一室で、レクイエは窓の外を眺める。
彼女の視線の先にあるのは王城。だがしかし、紫の瞳には感情がなかった。
「…………」
無言で、前髪に隠れた片方の目に手をかぶせる。
そして小さく、こう口にするのだった。
「明日、終われるのかな」――と。
レクイエのその言葉の意味。
それを知るのは、彼女以外にはいなかった。
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