表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

5/15

4.一方、その頃。

応援いただけますと幸いです。

少しでも面白い、そう思っていただけましたら――あらすじをお読みください<(_ _)>

追記:あらすじじゃねぇよ! あとがきだよ!!(セルフツッコミ








「これは、どういうことだ……?」

「も、申し訳ございません。国王陛下……」

「学長である貴様が、まさか目先の成果に気を取られるとはな」



 錬金術師の長――デオンは、国王であるガイアスに頭を垂れていた。

 彼らの間には、一つの鉄くずが転がっている。それは先日、学会の錬金術師数名が提出した『金塊』であったものだった。


 見れば分かるのだが、金になっているのは表面だけ。

 中身は鉄くず。要するに――。



「これは、おそらく鉄と少量の金――それらを合成し作り出した『メッキ』ではないか。なにが大偉業を成し遂げた、だ」



 ガイアスの指摘通り、それはまさしく『メッキ』に違いなかった。

 デオンは何も言い返せずに唇を噛む。他の錬金術師が浮足立つのに乗せられ、しっかりと確認しなかったのだ。それを国王に暴かれ、苦悶する。



 『価値』という、あまりに曖昧な概念を乗り越えること。

 そして鉄という低価値なものから、金という高価値なものを生み出すということ。それらは錬金術師にとっての悲願であった。

 しかし悲願を追いすぎるがあまり、デオンは見誤ったのである。



「この責任は、重いぞ?」

「申し訳、ございません……!」



 怒りを滲ませるガイアスに、狼狽えるデオン。

 その様子を見て、隣に控えていた男性がこう口を開いた。



「国王陛下。猶予を与えてはいかがでしょう?」

「ふむ……」



 その男は、国王の右腕と呼ばれる宰相――フレイグス。

 眼鏡の位置を直しながら、彼はデオンに侮蔑の視線を送りつつ言った。



「鉄を金に変える――それに相当する成果を、期限内に提出させるのです。それができなければ、国から錬金術学会への支援を打ち切るのがよろしいかと」

「なるほど、な」

「そ、そんな……!?」



 フレイグスの言葉に納得するガイアス。

 しかし反対に、デオンは困惑の表情を浮かべることとなった。



「鉄を金に変える以上の偉業など、錬金術には――!」

「ええい、まだ御託を並べるか!」

「ひっ……!」



 懇願するデオンを叱責する国王。

 彼は立ち上がると、無様な男にこう吐き捨てた。



「ただでさえ錬金術は、時代遅れと言われて久しいのだぞ! それにここまでの猶予を与えてきたのだ。そのことが分からないほど、錬金術師どもは愚かなのか!?」

「そ、それは……!?」

「ならばすぐに、成果を持ってくるがよい! ただし――」



 身を翻し、その場を後にしながら。




「次に裏切りを働こうものなら、国外への追放処分とする!」――と。







「ど、どうするんだ!?」

「鉄を金に変えることに並ぶ偉業など……!」

「我々は今後、どうやって生活をすれば……!?」



 デオンが国王からの通達を持ち帰り、学会には激震が走った。

 それもそのはず。自分たちの成果が認められ、これからは華やかな暮らしが待っていると、信じて疑わなかったのだから。

 よもや、その成果が偽りであるとも考えずに。



「こうなっては、一から理論を立て直す時間はない……」



 動揺する錬金術師たちに、デオンは苦しい言葉を投げかけた。



「基礎研究でも良い。その中から、応用できそうなものを探すぞ!」



 だが、錬金術師たちの顔色はよくない。

 むしろ青ざめた。何故かと問われれば――。



「デ、デオン学長……! 我々は、その――」

「どうしたと言うのだ……?」

「その……」



 そうこの場にいる錬金術師は、みな一様に無様だったからだ。



「誰も、基礎研究をしておりません」

「なに……!?」




 デオンの顔が強張る。

 そして、冷や汗が静かに頬を伝うのだった。



 


面白かった

続きが気になる

更新がんばれ!


もしそう思っていただけましたらブックマーク、下記のフォームより★★★★★評価など。

創作の励みとなります。


応援よろしくお願いいたします!

<(_ _)>

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
cont_access.php?citi_cont_id=821419007&s
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ