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3.空間の【置換】、初めての戦闘。

だんだんチート化していきます(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

次回、ざまぁ回。


応援いただけますと幸いです。









 グルール――かつては神と呼ばれた悪魔。

 人の形を模してはいるが、人に非ず。強大な力を持ち、宙を舞いながら冒険者の命を刈り取る。物理攻撃を一切受け付けず、魔法による攻撃しか効かないと云われていた。





「おい、おいおいおい! どうすんだ、ライル!?」



 リュードもその恐ろしさを知っているらしい。

 明らかに狼狽え、効果がないと分かりながらも剣を構えていた。



「あんな高度で飛ばれちゃ、ライルの魔法も届かないだろ!?」

「………………!」



 彼の言う通りだ。

 ボクの使える疑似魔法は、通常のそれよりも射程距離が短い。威力自体は魔素の欠片の数だけ、いかようにも高められるのだけれど――そればかりは、どうにもならない。

 そして仮に届いたとしても、グルールの移動速度は桁違いだ。


 まず、確実に回避される。

 だとすれば、至近距離から疑似魔法をぶち込むしかない。



「至近距離で、魔法を……!」



 必死に考えた。

 しかし、こうなってはもう『アレ』以外に策はない。

 ボクは覚悟を決める。まだ仮説段階だけれど、やるしかなかった。



「ねぇ、リュード。ボクの作戦を聞いてくれる?」

「なに……?」



 パートナーに声をかけて、作戦を伝える。

 二人で生きて帰る――そのための、唯一の作戦を。







 ――そんなバカげた作戦があるかよ!?



 リュードは思わず、そう声を上げかけた。

 しかしライルの真剣な表情から、その覚悟を感じ取ったのだ。

 だから鎧の彼は、小柄な青年を抱え上げて構える。



「本当に、いいんだな?」

「うん。チャンスは一度だけ、合図はこっちが出す!」



 ライルの作戦は、単純だ。

 リュードが砲台の役割を務め、彼をグルールへと放り投げる。そして、距離を詰めたところで全力の疑似魔法を撃ち込む、というのだ。

 まったくをもって、滅茶苦茶。


 おおよそ、頭脳派と思しきライルの出す結論とは思えなかった。

 だが、詳しい話を聞いてもリュードには理解できない。彼自身それを承知しているため、自分の役割以外のことはあえて聞かなかった。



「それじゃ、行くよ。三秒前――!」



 グルールが動きを止めた瞬間。

 青年は、そう合図を出した。そして――。



「うおらあああああああああああああああああああああああああああっ!?」



 カウントがゼロになった時。

 リュードはグルール目がけて、ライルを放り投げた。すると――。



「な、やっぱり……!」



 グルールが危機を察知して位置を変える。

 このままでは、ライルはあらぬ方向へと行ってしまう。そう思われた。



「って、何が起きた!?」



 その瞬間だ。

 先ほどまでそこにあった青年の姿が、移動したグルールの背後にあったのは。本当に一瞬の出来事に、リュードの理解は追いつかない。


 そして、その瞬間にライルの疑似魔法は放たれて――。







 ボクが接近を試みると、グルールはすぐに回避行動を取った。

 ここまでは想定通り。むしろ、反撃を喰らわなかっただけ幸運だろう。ボクはそう考えて、魔素の欠片を握りしめた。



「頼むぞ――!」



 【置換】を発動すると、欠片は小さな光を放つ。

 そして、次の瞬間――。



「よし、成功だ!!」



 ボクの身体は、グルールの背後にあった。


 これは【置換】による――疑似的な空間転移。

 ボクのいた空間と、グルールの背後の空間を置き換えたのだ。リュードに思い切り投げてもらった運動エネルギーはそのまま、生きている……!


 ボクは落下加速による勢いも利用して、一気にグルールへと肉薄。

 そして再度、残りすべての欠片を魔法へと【置換】する――!




「喰らええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!?」




 先ほどとは桁違いの火力。

 それをグルールの醜悪な身体へ叩きつける――!




 直後、断末魔の叫びが上がって。

 グルールは、爆発四散した。




「やった……!」




 成功した!

 ボクの仮説は正しく、そして凶悪な魔物を倒したんだ!


 その喜びに浸る。

 つもりだったが、間もなく――。



「あ、倒した後のこと考えてなかった……」



 ボクは魔素の欠片が飛散し、輝く中を落ちていくのだった。



「うわ、あわわわわわわわ!?」



 どうしようもなく、ボクは落下の衝撃に備えて目を瞑る。

 だが、その時だった。



「うおおおおおおおおおおおおおっ!?」



 リュードの声と鎧の金属音。

 それらが聞こえ、がっしりと受け止められたのは。



「あ……リュード?」

「ばっかじゃねぇのか!? 倒した後のことも考えておけっての!」

「え……えへへ」



 目を開けるとそこには、鎧のパートナー。

 彼は呆れたように言いながらも、しかしため息を一つこう続けた。



「でも、まぁ――」



 輝く魔素を見上げながら。





「お前はすげぇよ、ライル」――と。




 ボクも彼の視線を追いかけて、輝きに手を伸ばすのだった。



 これがボクの冒険者デビュー戦。

 とてもじゃないけど、二度はやりたくない戦いの一つだった。



 


とりあえず、朝と夜の更新で様子見します。



面白かった

続きが気になる

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― 新着の感想 ―
[良い点] 先が楽しみです。 [一言] やった、キャッチ成功ww
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