2.エリという少女。
遅くなって申し訳ございませんでした。
リュードにとって、その悪漢たちは相手ではなかった。
数こそ多いものの各個撃破を意識すれば、どいつもこいつも取るに足らない。少女を守りながらでも、問題なく全員の意識を闇に落とすことができた。
そんなこんなで、多少の失望も抱きつつリュードは少女と歩く。
「へぇ、エリちゃんはミガンナの出身なのか」
「え……お兄さん。ミガンナを知ってるです?」
エリと名乗った少女は、おどおどした様子で彼を見た。
「あぁ、知ってるさ。あの辺で採掘される鉄は良質だ。昔から武具の類には、あそこの金属を使用させてもらっていたんだ」
「そうなのですね!? 嬉しいです!!」
「しかし、あの町の治安は決して良くないだろ? 大丈夫だったのか?」
「そ、それは……えへへ」
「……ん?」
会話の中で、エリは少し困ったように笑う。
質問を誤魔化された気がして、リュードは思わず首を傾げた。しかしすぐに気持ちを切り替えると、彼女にこう確認する。
「まぁ、いいか。行くところがないなら、相棒の工房に泊まると良い」
「相棒さん、良い人なんですか?」
「良い人、なんてもんじゃねぇさ。弩がつくお人好しだ」
「へぇ……」
ひとまず、行く先がないというエリを工房に泊まらせよう。
リュードは事後承諾になるのを承知で、そう決めた。そして歩くこと数分。
「ここだぜ。さぁ、入りな」
「ありがとうございます!」
彼が言うと、エリは警戒心なく中を進んでいった。
それを追ってリュードも進む。そして、ちょうど研究室に近付いた時だ。
「…………ん? どうした、エリちゃん」
「………………」
エリが、突然に足を止めたのは。
「ここは今、取込み中みたいだな。小難しい話ばかりで、参るぜ」
「………………」
「……エリちゃん?」
沈黙。
しかし、次の瞬間だった。
「レクイエの、ババアァァァァァァァァァァ!?」
少女が、先ほどとは打って変わって。
鬼のような形相で、研究室の中に飛び込んでいったのは。
「な、なんだぁ!?」
リュードは慌てて、中を見た。
するとそこには、今まさにレクイエへと襲い掛からんとするエリの姿。そして、それに反応しながらレクイエはこう叫ぶのだった。
「エリザベート!? どうしてここに!!」――と。
小さな、不思議な少女。
彼女との出会いによってリュードとライルの周囲は、さらに変化することになるのだった。
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