5.レクイエの歓喜。
さぁさぁ、盛り上がってまいりました!
応援いただけますと執筆速度が跳ね上がります!
――隙のない魔法の連撃。
しかし、レクイエさんの放つそれはどれも一級の威力を誇った。
ボクは疑似空間転移を繰り返しながら、チャンスがないかを必死に探る。しかしながら、そこはやはり世界最強の魔法使いという名が示す通りだった。
「くっ……!」
「ははは! 逃げるだけでは、なんの解決にもならないよ!」
こちらが守りに徹するのに対して、彼女は常に優位な立ち回り。
魔素の欠片がエネルギー源だと見破っているらしく、付かず離れずの距離を保つのだ。言うまでもないが、一気に距離を詰めるのなら相応の欠片が必要になる。
それを考えるなら、絶対的な好機でなければならない。
そう、初撃を防いだ時にように――!
「さっきのトリックを教えてくれよ、ライルくん! 最初の一撃、キミはどうやって防いだんだい? 私はそれが気になって仕方ない!!」
「この戦いが終わったら、種明かししますよ……!」
しかし『アレ』でさえ、思ったより大きな隙にはならなかった。
それに、何よりも二度目以降は警戒される。その中でアレを成功させるのであれば、レクイエさんにも相応の魔法を使用させなければならない。
だとすれば、どうするのか。
考えろ。身体を常に動かしながら、考え続けるんだ……!
「くっそ、本当に無尽蔵だな!」
「お褒めに預かり光栄。でも、キミもやるじゃないか!」
思わず出た悪態にも、彼女は飄々と対応する。
攻撃の手は緩むことはなかった。でも、少し気になったことがある。
「だんだん、威力が増して……?」
――力の加減が、出来なくなっているのだろうか。
ボクは魔法の着弾点を見て、そう思った。
先ほどまでの彼女であればここまで、無意味な高火力では攻めてこなかったはず。それが、次第にペースが上がり、破壊力を高めていた。
もしかして、レクイエさんはこの戦いを――楽しんでいる?
「………………」
だとすれば、あるいは。
ボクは思考を研ぎ澄ませて、一つの光明を見た。
そして、魔素の欠片を握りしめて――。
◆
――楽しい。楽しい、楽しい楽しい楽しい!
「期待以上だよ、ライルくん……!」
レクイエは内心で青年に謝罪をしながら、続けざまに魔法を放った。
先ほどは舐めた真似をして申し訳ない。だからこそ、ここからは思い切り命の取り合いを演じようではないか。舞台の上で、観衆の目の前で、最高の戦いを。
彼女の思考は次第に研ぎ澄まされる。
そして、それと同時に口角が歪んでいくのだ。
レクイエにとって肌のひりつく戦いは、劇薬に等しいのだから。
「何が出てくるか分からない戦い! こんなの――!」
――アイツとの戦い以来だ!!
おそらくライルのそれは、魔法ではない。
魔法以前の、もっと技術的な部分における技に違いなかった。
そのことがまた、魔法使いであるレクイエの気持ちを盛り上げていく。自分にはない力を駆使する者との戦いは、なによりも歓喜に満ちているのだから……!
「この感覚は、本当に――」
レクイエは、叫んだ。
「二百年振りだァ!!」
そしてまた、魔法を放つ。
その時だった。
「……きた、か!」
ライルが、彼女目がけて駆けてきたのは。
ついに策を思いついたのか。それとも、ダメもとでの特攻か。
いいや。ここまでの戦いをする人間が、無策にも突撃するなんてあり得ない。それに魔素の欠片にはまだ余裕があるはずだ。
だとすれば、彼女のやることは一つ。
「ならば、こちらも最大火力で返礼を……!!」
この戦いの終焉。
それを告げるための鎮魂歌を――!
「さぁ、魅せてくれ! この私に!! そして――」
彼女は、最大火力の魔法を放つと同時にこう叫ぶのだった。
「私の旅を終わらせてくれ!!」――と。
応援よろしくです!!