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41話 シャワー。先に浴びてきなよ




 食事が終わって、俺は食休み。


 透析中だし、何もできない。


 本も自分が書いたものとか、黒歴史だからなあ。


 読みたいものがない。


 ベルさんは俺の書いた……いや、雲と空の小説を一生懸命読んでいる。


 そんなに面白い小説だったかな。


 初めて書いたから、ものすごく下手くそな小説だったと思う。


 医療のこととかを入れたら、難しくなってしまった。 


「ベルさん、そんなに面白い?」


「うん、面白い。感覚がちょっとおかしい人が書いてるんだと思うんだけど……」


 なんか、傷つくなあ。


 変わっているけど、おかしくはないと思うんだけど。


「ベルさんか、ゴブリンか、ダレンさん。シャワー先に浴びてきちゃって。後が詰まるから」


「え? シャワー? 私浴びたことないんだけど」


 ああ、ベルさんて生まれたばかりだから、わからないかもね。


「ゴブリンと一緒に入っちゃえば?」


 女同士だし、大丈夫じゃないかな。


「私、小林さんと一緒に入りたいな」


 ベルさんの発言がおかしい。


 生まれたばかりだから、わからないのかな……。


 いや、そんなことないな。


 ベルゼバブブのことだから、そこら辺の知識はしっかり与えられていると思う。


 考えてみれば、お腹を触っただけで死刑とか言われたんだ。


 全てを分かった上で話している可能性が高い。


「ベルさん? アナタオンナ~オーケー? ワタシオトコ。オーケ~?」


「オーケー、オーケー」


 ノリはいいなあ、ベルさん。


「ベルさん。男と女が裸で一緒って、間違いが起こったらどうするんですか?」


「ダメですか?」


「ダメよ。お兄ちゃんは私と入るの」


 ゴブリンが割って入ってくる。


「俺もダメだと思います。俺とベルさんはそういう関係じゃないので」


「そうそう、私とお兄ちゃんが一緒に……」


「ゴブリンともそういう関係じゃないから」


 二人共、なんかおかしい。


「小林さん、いつの間にそんなモテモテに……変態扱いされてた昔が懐かしいです」


「俺は変態じゃないです。今は二人の方が変態では?」


 これは変態ランキングを更新するチャンス。


 でも、こういうのって男のほうが不利だ。


「う~ん……お兄ちゃんって、意気地なし」

 

 男が言うと変態で、女が言うと、断った男が意気地なしになる。


 これは、無理な勝負なんじゃないか。


 やっぱり、変態ランキングはダレンさんに譲れるかどうかだな。


「えっと……ダレンさんにはベルさんのこと頼めないから、やっぱお願い」


 俺はやっぱりゴブリンに、ベルさんのことを頼むことにした。


「わかった」


 ゴブリンが了承する。


「ごめんなさい、実は私。全部使い方分かります」


 途端にベルさんの自白。


 やっぱりなあ。


「ベルさん……。これは、罰ゲームを受けないとですね」


「罰ゲーム……」


 ベルさんが何それ? っていうニュアンスを含んで反芻した。


「ゴブリンに全部洗ってもらうとか?」


 罰ゲームが思いつかない俺は恥ずかしいだろうなって思うことを言ってみた。


「お兄ちゃん……それ。私の心に罰ゲーム」


 ゴブリンが少し悲しそうな表情をして、俺に言う。


「なんで?」


「ここ……」


 ゴブリンが片手で胸骨の部分に手を当てる。


 ああ、大きさか。


 ゴブリンとベルさんだと、ベルさんの方が胸が大きいから……。


 俺はそんな事は考えてもみなかった。


「チクビ……」


 ゴブリンがぼそっと呟いた。


 それ、ネタ……古いよ。


「それ、髪の薄いギターリストのおじさんのネタだよ」

  

「ああ……、なるほど。どおりで私に合わない感じがした」


 じゃあ、言うなよ。


「そういうの勝手に出てきちゃうの?」


「うん」


 カトリーヌギフトの知識に乾杯……。


 今の若い子達が知らないネタを振ってくれる知識に感謝。


「じゃあ、先に私が入りますね」


 ベルさんはさっさとシャワー室に向かう。


「じゃあ、ベルさんが終わったらゴブリンで。俺最後でいいから。俺の返血が終わったら、ダレンさんが入るのでいい?」


「ワタクシは何でもいいですよ。小林さんがいい様にしてください。別に入らなくても……」


 ダレンさんは言いかけて、ハッとした。


「ダレンさん……入らないんですか?」


 俺はニヤリと笑うと、問いかける。


「え?」


 きっと、こういう流れがどういうことかダレンさんも気付いたに違いない。


 俺はダレンさんに汚いんじゃないかという疑いの目を向けるフリをする。


 ゴブリンも真似をする。


 洗浄魔法があるって言ってたから、俺もゴブリンも知っている。


 けれど、ちょっと面白いからやってみる。


「……分かりましたよ。入ります、入りますから」


「分かればいいんです。魔法で済ませるより、シャワーを浴びたほうが神様っぽくなくて好きです」


 ダレンさんが神様なんて、俺としては関係が遠くなるような気がして、あまり意識したくない。


「また、首のカテーテル。魔法でコーティングお願いしますね」


「分かりましたよ、小林さん」


ただ、便利な所は活用したい。

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― 新着の感想 ―
[一言] 雲と空の小説・・・小林君の書いた小説は、『異世界転移で治療して強くなる 神とゴブリンと病院の卵』の著者様とペンネームと一緒ですね。 ベルさんが熱心に読んでいるんですね。 小林君の書いた小説…
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