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37話 マイクロニードル型人工膵臓

「実は人工膵臓というものが、既に発明されていまして、いいものらしいですよ」


 何……人工膵臓?


「えっと……持続型血糖測定器を俺はもう着けてるよ」


 怪しいな。


「実はですね。低血糖を起こす心配が少なくなるんです」


「インシュリンポンプとは違うの?」


 針が身体に刺してあって血糖値の変化を感知して、機械が勝手にインシュリンを送るやつ。


「機械を一切使いません。ホントに貼るだけらしいです」


「そんなの、俺……聞いたことないなあ」


「2019年の1月にはプレスリリースが出てますよ」


「また、あれでしょ? 実用化されていないんでしょ?」


「……はい。プロトタイプが完成したそうです」


「そういうの怖いなあ」


「この表をご覧下さい……血糖の上昇とインシュリンの分泌が一致しています」


 ダレンさんがプリントを出してきた。


 なんか、変なセールスをされているんじゃないだろうか。


「そして、これが実物です」


 なんだか、絆創膏を1枚出してきた。


 真ん中は少し膨らんでいるけど、ほぼ絆創膏。


「小さいなあ。こんなの実用化されたらインシュリンで儲けている所とか、嫌がるんじゃない?」


「どうなんですかね。再生腎臓は透析の市場が無くなりますけど、これはそこまでじゃないのでは?」


「まあ、いいや。着けるよ……。インシュリン打たなくても生活できるんでしょ?」


 今は超速攻型のインシュリンを朝昼晩の食前に打っていて、朝に持続型を打っている。


 これが無くなって、更に低血糖になるリスクが減るというのは、本当にありがたい。


 嘘じゃなければ……。


 これも治療だったら、何か魔法とか魔法とか魔法が覚えられるんじゃないかな。


「小林さん……? 何か、変なこと考えてます? 顔が危ないですよ」


「おっと、危ない危ない。世界平和のことを考えてしまっていた」


「世界平和? この世界の様子も知らないくせに?」


 あれ、何か馬鹿にされてる? 


 確かに、ほぼ知らないけれど。


「これって、どこでもいいの? 着けるのは」


「ええ、大丈夫らしいのですが。血糖測定器で足だと変動があるという人がいたので腕がいいかと」


 持続型血糖測定器を足につけてみた人がいたのか……。


 それで値が安定しなかったから、人工膵臓を着けるのも一応腕にしとけっていうことかな。


「まあ、二つは別物なんだろうけど、念のためってこと?」


「そうです、そうです。失敗したら、嫌なので」


 人工膵臓の効果を、血糖測定器で見てどこまでのものか、確認しようとしてる?


 俺って研究対象なのね……まあ、ダレンさんには感謝しきれないほど恩があるし、いいんだけど。


 人工膵臓を腕に貼り付ける。


 小さな針が肌に刺さるのだけど、マイクロというだけあって痛くない。


「この人工膵臓って、どれくらいで貼り替えるの?」


「1週間以上持つと書いてあったので、安全のために1週間で替えましょう」


 予想よりも長持ちだ。


 今までの手間に比べれば、それくらい何ともない。


「……これって、お高いんでしょ?」


 あれ……テレホンショッピング?


 ついつい、言ってしまった。


「実は、普段使っているインシュリンよりも安いんですよね。実用化したら……」


「世界の医療費はすごい下がりますね」


 これは大発明だ。


「ええ、世界の糖尿病人口は結構な数なので」


「ダレンさん、俺のいた世界に詳しすぎます……」


 ダレンさんの知識は住んでいた俺よりも詳しい……。


「そりゃ、医師の人生を何回も追体験すれば、そうなりますよ」


 追体験か、なんか罰ゲームみたいなことやってきたんだな。


 俺のために……。


「ダレンさん、ごめんね。俺のために……ありがとう」


「いや、え。なんか照れるからやめてくださいよ。小林さんのことは好きですから」


 好き?


「……」


 なんか気持ち悪……って思ったけれど、そういう好きじゃないのは分かった。


 俺もダレンさんが居るということに、安心している。


 できれば、ずっと俺に関わって欲しい。


 できれば、ハゲで。


 ハゲてないとダレンさんは、イマイチ……ダレンさんというイメージがしないんだよなあ。


 そういえば、俺の血糖値は幾つだろう。


 センサーを腕に当てる。


 血糖測定値は、100mg/dl。


 ちょうどいい値だ。


 もう、糖尿病じゃない感じがする。


 高血糖じゃなければ、筋肉が減っていくこともない。


 高血糖だと、筋肉の負の新陳代謝が起こってしまう。


 つまり、筋肉が壊れ続けて減っていく状態からの脱出。


 血糖値が正常化すれば、筋肉が付くかもしれない。


[小林直樹は人工膵臓による治療によって、サーチを獲得した]


 お、これは探し物をするのに役立ちそう。


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― 新着の感想 ―
[一言] 人工膵臓によって、低血糖を起こす心配から解放されるんですね。 絆創膏のように貼るだけでOKなんて、凄いですね。 人工膵臓で、インシュリン注射が不要になるなら素晴らしいですね。 又、小林君の…
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