32話 好感度はマイナス1億くらいかな 変態というレッテル
「お兄ちゃん……何やってるの?」
ゴブリンが不思議そうな表情でこちらを見てる。
「小林さん……いくらなんでも、そんなあからさまに……」
ダレンさんは、俺がそういうことをやるのが当然で、ついにやったかみたいな表情だ。
「いや、違うんだ。信じて。これには深い理由があって」
慌てて、俺は弁明する。
信じてくれなくてもいい。
ただ、俺の話を聞いてくれ。
少しでいいから。
「私が気がついた時には、お腹を揉まれてました」
そんな想いを、踏みにじるかのようなBELL-822人型の言葉。
「揉んでないよ、ただ、触ってただけだよ」
揉むなんて、とんでもない。
少ししか揉んでない。
ちょっとだから、揉むなんてレベルに到達していないと……思う。
「ほら、本人が認めました。死刑にしてください」
女性のお腹を揉むと死刑になるらしい。
この世界の法律は残酷だ。
いや、そんな法律なんてあるのか。
「ところで……アナタは誰ですか?」
ダレンさんが疑問を向ける。
当然の思考だ。
突然、喋り始めた医療機器。
俺の、お腹を揉むなんて行動は、些細なことに過ぎない。
「お兄ちゃんを死刑にする前に、貴女が誰か知りたいな」
ゴブリンもそう思うらしい。
え? 死刑は決定なの?
「私はベルと申します。ふつつかものですが、よろしくお願い申し上げます」
ベル?
この人も俺に名前をつけさせてくれないらしい。
きっと、自己判断だ。
そもそも、名前入力設定がないのがおかしいと思う。
異世界転移者を軽視している。
「ベルさん……お兄ちゃんとどういう関係?」
なんか、浮気現場が見つかった時のセリフみたいだ。
「さあ……被害者と加害者?」
そうなんだろうけど……。
俺が苦労して、手に入れたポイントで目を覚まさせてあげたのに……悲しい対応だ。
自我っていうのは、自分が自分であるという意味だから、俺は関係ないのかもしれない。
自分というものを得た医療機器……ただ、それだけ。
俺なんて……俺なんて……、どうでもいいんだね。
それにしても、どういう設定になったんだろう。
ステータス鑑定をしてみる。
名前 :ベル
種族 :除細動器
ジョブ:ナイト(夜)
レベル:5
HP :5000
MP :200
力 :50〈+100〉
敏捷 :50〈+150〉
体力 :1000〈+100〉
知力 :40
魔力 :150
運 :50
武器 :夜の帳(槍)
防具 :ナイトヘルム
:ナイトアーマー
:ナイトブラ〈力・敏捷・体力+50〉
:ナイトショーツ〈力・敏捷・体力+50〉
:ナイトブーツ〈敏捷+50〉
なるほど、二重人格なのか。
付き合いにくそう……。
「あの、ベルさん?」
「な……なんですか? 変態……」
好感度はマイナス1億くらいかな。
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