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29話 ミッション 銀色の髪の彼女のお腹にさわれ

[小林直樹はカウンターショックによってBELL-822の初期設定権を獲得]


 今度は、魔法は覚えられなかったようだ。


 残念。


 でも、初期設定権だって。


 これがないと、設定はできないのだと思う。


 管理者というのは、ベルゼバブブなんだろうけど、委託された形だと考えられる。


 管理者になった覚えはない。


 白い世界でベルゼバブブが言っていた言葉を全て真に受けるとだけどね。


 でも、今は信じたいと思う。


[対象の腹部に触れメニューを開いて下さい]


 そっか、お腹に触れればいいのか。


 周りにバレないようにやらないと、勝手に変態ランキングが上がってしまう。


「お兄ちゃん、この人……このままでいいの?」


 ゴブリンは俺がBELL-822の腹部に触ろうとしているのに気付いているのか、話しかけてくる。


「え? ああ、俺のそばに置いておいてくれないと何かあった時に助けてくれないだろ?」


 BELL-822には何かあった時に、カウンターショックで俺に魔法を授けてくれるという使命がある。


 違った、俺の命を助ける役目がある。


「そうだけど、ずっとそこに立ったままだと気にならない?」


「大丈夫。病気になると、只いてくれるだけでも十分助けになるんだよ」


「そう? そこにその人がいると、何かあった時に邪魔」


 ゴブリンは俺のミッションを邪魔したいようだ。


「小林さん、どかしたほうが良ければ少し離しましょうか?」


 ダレンさんも、ミッションを邪魔しようとしている。


「このままにしておいて。この人は俺の命の恩人だから、傍にいて貰おう」


「お兄ちゃんだって、私の命の恩人だから、私の傍にいてもらわないと……」


 なんだ、その理論は?


 ああ、そういえばさっきまで、ゴブリンは危なかったのだっけ……。


 白い世界に行くと、少し忘れっぽくなってしょうがない。


「そういえば、もうすっかりいいの?」


「うん、お陰さまで」


 満面の笑みで、BELL-822の反対側に回ってくる。


「お兄ちゃんも、たまには役に立つのね。見直しちゃった」


「ヒールが効かなければ、毒かなと思ってキュアを使ってみただけだよ」


「小林さん、いつの間にそんなことができるようになったのですか? 知りませんでした……」


 ダレンさんも話に入ってくる。


 ゴブリンは自分のことに触れてこないから、機会を伺っていたのかもしれない。


 確かに人型の除細動器がベッドに立っていると、モニタなどもあるので片側は入りにくい。


「小林さん、まだ蛇との戦闘の話を聞いていないので、聞いておいたほうがいいと思います」


「まずは、お兄ちゃん。お礼を言わせて。ありがとう」


 ちょっと、照れくさいなと思った。


 ゴブリンの目を見られないまま、答える。


「当然のことをしたまでだよ」


 好感度が上がったみたいな気はする。


「ワタクシはお恥ずかしいことにキュアは使えませんでした。解毒剤もあったのですが、気付くのが遅くて間に合いませんでしたね」


 ダレンさんって、キュア使えない? 意外だ。


「そっか、ダレンさんはひょっとして攻撃魔法の方が得意だったりする?」


「どうなんでしょうね……、攻撃魔法の方が多いのか。よくわからないのが殆どです」


「全部使ったことがない?」


「最近、このレベルになりまして……その時に覚えたので、9割くらいはよくわかりません」


「ところで、ダレンさんのレベルを上げられるように加護を与えてくれたのってバアルさん?」


「そうです。まあ、上級神以上なら大丈夫なのでしょうけど」


「……何か、条件がありそう」


「上級神が定めた事項に同意して、契約書を交わさないと契約できません……」


「なるほど。加護を与えているのってバアルさんだろうなあ、と思って」


 ベルゼバブブという存在に実は、俺自身……興味が沸いてきている。


 白い世界で出会った女性の姿が本当にベルゼバブブなのか、確かめたいと思った。


 あの一方的な出会いをきっかけに、憎しみという想いはすっかり消えてしまったようだ。


 確かに、俺の病気による苦しみのきっかけは彼女だと思う。


 それでも、ダレンさんやゴブリンや病院の卵に俺が出会うのには彼女がいないと成り立たない。


 むしろ、今は感謝したいと思う。

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― 新着の感想 ―
[一言] メニューを開くのに対象の腹部に触れなければいけない構造になったせいで、 腹部に触れる事になるのですが、何故そんな構造にしたのやら・・・。 役得ともいえるけど、見つかって変態扱いの誹りを受け…
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