9話 未確認飛行物体が接近中
何かが空から飛んできている。
「お兄ちゃん? なにか飛んでくるよ。なにあれ?」
1つ?
「ダレンさんかな?」
何か、上空からやってくる。
ガキンッ。
硬い物が当たったような音。
結界に刺さった……角みたいなものが生えてる。
「違うな、なんか魔物っぽい」
結界にヒビが入っているのか……。
空に琥珀色のヒビが広がっていく。
「これ、やばそう」
ヒビが裂け目になり、結界はガラスのように砕けると空気中に霧散していった。
すると、突き刺さっていた魔物っぽいものが、真っ逆さまに落ちてきた。
「うわっ……あれ、ドラゴンじゃないか」
こういう時こそ、ステータス鑑定。
名前 :なし
種族 :スカイドラゴン
レベル:1
HP :10
MP :0
力 :1000
敏捷 :1000
体力 :1000
知力 :10
魔力 :1000
運 :10
瀕死だ。
瀕死だけど、それでも強い。
ゴブリンではダメージ与えられなそう。
でも、聞いてみる。
「ねえ……勝てそう?」
「分からない……お兄ちゃんよりは戦えそう」
そりゃそうだけど……。
「やるだけやってみる」
ドラゴンは瀕死なのに、ゆっくりと自分達の前に地面に着地した。
そんな力残っているはずはないと思うんだけど。
もう一度ステータスを見てみる。
HPが10から50に回復していた。
これ、時間が経つと回復してくるかも……。
俺らゴミクズのことなんて、気にしなくていいよ。
それでも、ドラゴンはゴミクズな自分達を抹殺対象に選んだようだ。
殺気を感じる。
ゴブリンが銅の剣を構える。
先手必勝。
ゴブリンがドラゴンに向かっていく。
向かって行っているんだろうけど、俺の目には見えない。
動く所までは見えたんだけどな……。
俺なんて、一般人ですから。
次の瞬間、ドラゴンの何かが動いたと思ったらゴブリンが吹っ飛んできた。
「ううっ……一発も当たらないみたい。ガク」
服は無傷みたいだけど、ゴブリンはやられてしまった。
死んではないか。
血色はいい。
呼吸よし。心臓よし。気絶してるだけか。
続いて周囲の確認……周りの危険……あり。
といっても、自分には何も出来そうにない。
そうだ、こういう時は主人公は隠れた力を……。
精神を集中する。
「俺の中の魅惑の夏エネルギー出ろー」
……出るわけないよな。
というか、ドラゴンはゴブリンより俺の方が狙いみたいだ。
ゴブリンから離れてみると、こっちを向きやがる……絶体絶命。
そこに、またもや空から何かが……。
ドラゴンの後ろの方から飛んできてる。
人かな。魔物はやめてよね。
でも、その飛行物体はコウモリのような羽を生やしていて、頭には髪が生えている。
ダレンさんではないみたい。
「マジかよ……」
心の声が出てしまった。
コウモリの羽が生えていて、知らない生物は敵である可能性が高い。
敵っぽいでしょ?
次の瞬間……。
一直線にエネルギー光線が飛んできた。
その飛行生物から出された光線はスカイドラゴンの身体を貫いていた。
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