5話 カトリーヌギフト
「お兄ちゃん。なに、人の顔見て、ニヤニヤしたり悲しそうな顔したり、ため息ついてるの?」
「え?」
顔に出てた?
「気持ち悪い」
「ごめん」
素直な自分。
「さて、今何時?」
「えっと、7時半」
「お兄ちゃんの首の管の処置をするんだっけ?」
「うん、そうだけど……」
「そうだけど?」
「顔洗ってきたほうがいいよ。色んなものが顔についてるよ。後、頭が爆発してる」
「……」
ゴブリンは洗面所に行って、顔を洗っている。
今まで、寝癖はどうしてたんだろうか。
ちょっと、覗いてみる。
ゴブリンはクシとドライヤーを使って、手馴れたように髪をとかしている。
寝癖が酷すぎて気付かなかったけれど、髪も伸びていたみたいだ。
子鬼みたいなショートの髪型は、今ではミディアムショート位になっている。
角がちょこんと見えるけれど、それ以外は人間のように見える。
これで、怪力がなければ普通の人間なのだろうけど。
寝癖が全て直って、戻ってきた時には更に可愛かった。
「よく教えてないのに、ドライヤーの使い方分かるね」
「わからないけど、触ると不思議に分かるの」
なんだか、特殊能力があるようだ。
ステータスを見てみよう。
名前 :なし
種族 :ゴブリン
ジョブ:なし
レベル:1
HP :100
MP :40
力 :100〈+5〉
敏捷 :100〈+5〉
体力 :100〈+5〉
知力 :40
魔力 :100
運 :100
スキル:ゴブリン流剣術
カトリーヌギフト(異世界知識)
〈〉内は装備による特殊効果。元のステータスとは別
称号 :忌嫌われしゴブリン
武器 :なし
防具 :パジャマ(ドクロンブランド)〈即死無効〉〈回復力向上〉
:ドクロンパンティー〈力・敏捷・体力+5〉
:なし
:なし
装飾 :なし
ごめん、もう知力が俺より上だ。
知力だけが勝っていたところなのに、もう、何も勝てない。
でも、気づいたことがある。
ドクロンブランドはすごい効果があるということ。
ドクロンパンティーを俺が装備すれば、銅の剣が持てるぞ。
しないけど……。
ドクロンブランドは、何を着ても服がサイズを合わせてくれるので、俺でも装備できるはず。
箱の中の注意書きに書いてあったので、間違いない。
パンティーは精神的に履けないけど。
「カトリーヌギフトっていうスキルが付いてるよ。異世界の知識が付いたみたい」
ゴブリンにスキルのことを伝えた。
「カトリーヌって、昨晩話したあのカトリーヌ?」
カトリーヌのことは俺よりも、ゴブリンの方が詳しいだろうに。
「そうなんじゃないの? きっと、女神様か何かになって同じ種族に付くようにしたんじゃない?」
スキルを授けることができる存在は神様という存在以外は考えつかない。
「そういえば、異世界知識ってどこまで分かるのかな」
俺はここで、異世界知識というスキルに興味が沸いてきた。
「どこまでって?」
ゴブリンは首をかしげて、聞き返してきた。
この世界からの異世界知識ということは、もと居た世界の知識。
どこまで優秀なのかなって、ちょっと思う。
ふと、ドライヤーにバーコードが付いているのを発見した。
「例えば……このドライヤーにバーコードついてるでしょ?」
「バーコード。ああ、ピッてやって商品を管理するやつね」
お……御存知だ。
「おお~。すごい」
結構、細かいとこを網羅しているみたい。
「え? あ……すごい」
ゴブリンも自分のことなのに驚いているみたい。
「じゃあ……、Ⅱだと日本製のバーコードの方が海外のバーコードより強い傾向があったよね」
「対戦する奴ですよね。自分でバーコード書いたり……」
マニアックな知識にまで対応、と。
こういうマニアックなのを異世界知識に入れている人って、多分……変な人だよな。
「カトリーヌって変人だね」
「え? なんで?」
1990年代に発売されたおもちゃのことを知識に入れるなんて、なんかズレ過ぎてる。
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