表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
25/135

20話 寝るには準備が必要です

「明日って、何時から出発ですか?」


 ダレンさんに明日の予定を訊ねた。

 

「狩りの時間ですよね」

 

「はい」

 

「起きて、首の管の処置をしていただいて、ご飯を食べて、身支度をするまで2時間あれば余裕だったりしません?」

 

「じゃあ、ダレンさんの言うことを全面的に採用して7時起床の9時出発くらいでは?」

 

「そのくらいでいいと思います。ああ……そういえば、時計がないですよね」

 

「時計は……ないかも、持っていたガラケーも電池ないしなあ」

 

「お兄ちゃん、ガラケーって何?」

 

「えっと……元いた世界で使ってた通信機かな。みんな普通に誰でも持っていて、お兄ちゃんのは旧型。スマートフォンをみんな使ってたな」

 

「通信機……みんな持ってる……すごいねー」

 

「一応、今調べたら、ポイントを1ポイント消費で腕時計をペアで注文できます」

 

「最後の1ポイントか……。そうですね、よろしくお願いします」

 

 ポンッと青い腕時計が2個出てきた。


 シンプルな構造で、小窓に現在の時間が数字で表示されている。

 

 今は21時03分か。明日のためには、早く寝たほうがいいな。

 

 これで、残り0ポイント。

 

「ポイント、これで全部使い切りましたね」

 

「全部使ってしまって、良かったんですかね?」

 

「これから、ここで生きていくぞ……という、覚悟の意味で、良かったと思います」

 

「諦めないための、投資なんですね」

 

「まあ……そんなようなもんです、ちょっとやっちゃったかなって思いますけど」

 

「明日中に透析設備ができればいいですね」

 

「ええ……」

 

「なんにせよ、まずは生きられれば、誰も文句言いませんって」

 

「俺が生きたからといって、どこまで価値が有るかわかりませんけどね」

 

 何はともあれ、腕時計を手首につけてみよう。

 

 時計を手首に近づけただけで、腕時計は手首に吸収された。

 

 吸収?

 

「ダレンさん……これ、腕の中に入っちゃったんだけど」

 

「大丈夫ですよ、時間把握能力というスキルを得ただけです」

 

「は?」

 

「時間が知りたいと、念じさえすればいつでも時間がわかりますよ」

 

「ああ、なるほど視界の中に出そうとすると、出てくるんだ……不思議。異世界っぽい」

 

「お兄ちゃん……この形をしている意味がないと思うよ」

 

「確かに……。ダレンさん。これって、こっちの世界ってみんなこれ?」

 

「神界だと、みんなこれが売ってるんですけど。外す時は外れろと念じればいいだけですし……慣れれば便利ですよ」

 

「便利だけど……なんか、あんまり気持ちがいいもんじゃないな、普通のが良かった」

 

 時間が分かればいいか……普段は魔法バッグに入れておいて、寝る時だけ枕元に置いておこう。

 

 ゴブリンはどうする?

 

「着けとく?」

 「

 う~ん、銅の剣に吸収させておく」

 

「なにそれ?」

 

 ゴブリンが壁に立てかけてある銅の剣に腕時計を近づけると、銅の剣に腕時計が吸収された。

 

 銅の剣の柄に小窓が出来て、時間が表示されている。

 

「なんか、カッコいいようなカッコよくないような……微妙な気持ち」

 

 素直に、表現してみた。

 

「……」

 

 ゴブリンは無言だ。


「……そうですか、便利なんですけどね。まあ、時間が分かればいいだけですから」


「ダレンさん。あの、これから寝ようと思ってたんだけど……照明ってなんとかなりません?」

 

「そうですよね……寝る場合には明かりは暗いほうがいいんですよね」

 

「ええ。お願いします」

 

「えっと、照明について……ナニナニ、照明操作のためのリモコンがあります」

 

「リモコン? どこに」

 

 どこにも見当たらないんだけど。

 

「机の下に収納されています……」


 ダレンさんが読み上げる。

 

「机の下?」

 

「お兄ちゃん……なんか、ここ開くみたい」

 

「なんで、隠してあるんだよ……照明のリモコンなんて」

 

「きっと、気分だと思います……見ているテレビ番組とか、ハマっているゲームとかで……」

 

「色々、何かをやりながらつくったのか……リモコン操作してみよう」

 

 ポチッとな。

 

「うわ……ピンクの照明、なんか趣味悪いよ」

 

「じゃあ、これか」

 

「なんか、天井から出てきたよ」


 ゴブリンが面白そうに報告する。

 

「ミラーボールが回っていやがる」


 中々の大きさだ。


 この部屋に不釣り合いなくらい大きい。

 

「これは?」


 続けてボタンを押す。

 

「星がイッパ~イ」


 ゴブリンが満天の星空を見上げて声を上げる。

 

「プラネタリウム?」


 多分、プラネタリウムだ。


 それも、結構出来がいい。


 完全に真っ暗の中で星々が輝くから、とても綺麗だ。


 こういうのって恋人と見るのがいいなあ。


 今はそんな気分じゃないなあ。

 

「じゃあ、これかな」


 続けてボタンを押す。

 

「可愛い生き物がいっぱい……」


 ゴブリンが目を輝かせている。


 こういうの好きなのかな。

 

「これは、猫か」


 部屋中に猫がたくさん現れた。

 

 だけど、触れない……光の像だ。

 

「そういえば、猫に囲まれて眠りたいとか、言ってたかもしれません」


 今まで様子を眺めていたダレンさんが口を開く。

 

「この大きなスイッチかな」


 ボタンを押してみる。

 

「あ、暗くなった……真っ暗」


 何も見えない。


 これでも眠れるけど、トイレに行く時とか危ない。

 

「暗すぎるな……じゃあ、これ」


 違うボタンを押してみた。


 薄明るい光。


 これなら、寝るのにちょうどいい明るさかも。

 

「これなら、明るくなくて、しかも安全だね」


 ゴブリンも納得の明るさ。

 

「よし、これで寝ればいいか」

 

 でも、どのボタンがどれか、よく覚えておかないとかな……。


 寝る前にミラーボールが回るなんてこともあるね。

 

 照明を元に戻す。

 

 これで、寝る準備はOKだ。

 

 歯を磨いて、みんなで寝よう。

読んだらブックマークと評価お願いします

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
[一言] 異世界のアイテムは、何かと便利ですね。 腕時計をポイントでGETしたみたいですね。 時計を手首にしようと、近づけると 腕時計は手首に吸収されたら驚きますねΣ(・ω・ノ)ノ! 時間把…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ