18話 ステータスを見てよ
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「ダレンさん。シャワーから上がりました。ダレンさんのお陰で管を気にせず入れました。ありがとうございます」
「うん、お兄ちゃんも同じ匂いがする」
「いえいえ、大したことではありませんよ。それより、頼まれていたリンの薬とインシュリン注射を出しておきましたよ」
「え? ポイントは?」
「インシュリンも針も、リンの薬も全部込みで1ポイントでしたよ」
「そんなに高くないんですね……自分じゃ稼げないけど」
「まあ、そんなに難しい薬じゃないんでしょうね」
「ダレンさんも、シャワー入りますよね?」
「そうですね……入っていきましょうか」
「パジャマは?」
「いえ、大丈夫です。この服じゃないと色々危ないんです」
「ああ、即死が防げるんだっけ」
「ステータス鑑定できるんですものね、ご存知でしたか」
「本当は見たことを内緒にしようと思ったんですけどね……」
「ステータス鑑定って、羨ましいです。別に、見る方法がないわけではないですけど、なんだか、楽しそうで」
「楽しい……ですか?」
ダレンさんにステータス鑑定の楽しさがわかるとは思わなかった。
RPGとかは、神界にはないだろうに。
「ワタクシもRPGとかのゲームやったことがあるんですよ。自分のステータスがいつでも見られるのって、ちょっとワクワクしますよね」
神界にもゲームがあるの?
ちょっと意外。
「……気持ちは分かります。俺も生きるか死ぬかの時ではなかったら、楽しんでたと思います」
「お兄ちゃん、ステータスが見られるの?」
「え……」
「あの、ステータス見てくれない?」
まずい。
ステータスの話に入ってくるとは思はなかった。
「えと……うんと~、うん……」
なんとか、誤魔化せないかな。
ここは適当に。
「はい、出ました~。普通のゴブリンくらいかな」
「え、普通? ……そんなに強くなったんだ」
「え?」
「だって、今まで成長が悪くて、普通のゴブリンなんて言われたの初めて」
そうか、普通でも強いってことになるのか。
「ダレンさん、鑑定した時のゴブリーヌの力が8くらいで、普通の村人より強いんでしょ? 普通のゴブリンって、どのくらい強いんですか?」
「えっと……ピンからキリまでありますけど、普通ってのは兵隊でもなんでもないゴブリンです。力が9くらいかな」
「じゃあさ、村人は普通のゴブリン1匹にも勝てないんだ」
「まあ、知力が低いですから。力があっても動きが単調でして、村人でも倒せることはあるそうですよ……数にもよりますけど」
村人もゴブリーヌもゴブリンもそんなに、変わらないのかな。
「ねえ、そんなに元から普通のゴブリンと変わんないと思うよ」
「え……それって、強くなってないってこと?」
「あ……う~んと、ちょっとそれより強くなったかな……今の力は10くらいだよ」
本当は40だけど、10って言ってみた。
「10かあ、でも強くなってるんだね」
ゴブリンにとっては、今の数字よりも強くなっているかどうかが大事なようだ。
「うん、そうそう。普通のゴブリンは団体で動くんでしょ。今のままだと、勝てないよ」
「一体でも勝てないと思うよ……」
「え?」
ダレンさんは今のゴブリンだと余裕な感じの情報をくれるけど、本人は至って謙虚だ。
「そうかあ……ありがと、見てくれて」
「ど……どういたしまして」
な……なんとか、ごまかせた。
ゴブリンを無双出来るゴブリンだよ、とか言ったら、出て行っちゃうかも知れない。
「……ダレンさん、明日は外に長くいるし、水筒ってないですかね?」
「水筒ですか」
「俺、透析患者で水分制限があるんです」
「水分制限……」
ダレンさんは、何かな? っていう表情をする。
「食事の時の水分以外は最低限の水分にしなくてはいけないんです」
「ああ、腎臓が悪いから水分が排出できないんですよね」
「はい、管理しやすいように1日分の水分をあらかじめ水筒の中に入れておこうかと」
「1つでいいんですよね」
「ゴブリンも脱水症になると困るから、もう1個ください。水分制限がないので俺のやつより、大きいやつで」
「ええっと、水筒2本で1ポイントっていうのがありますよ。しかも、冷めにくいし、温まりにくい……マジックアイテムですかね? 名前も魔法瓶ですって。マジックアイテムなのに安い……」
「安い基準はわかりませんが、それは……、マジックアイテムではないと思いますよ……」
うん、それは魔法瓶には違いないけれど、違う魔法だと思う。
でも、ひょっとしたら、本当にマジックアイテムなのかもしれない。どっちでもいいけど。
「ゴブリンのは1番大きい2ℓにしてください。自分は500mℓでお願いします」
「わかりました」
ポンッと水色の水筒が2個現れた。
このポンッて突然出る技術は本当にすごいな、と思う。
かくし芸でやったら受けるだろうな。
水筒は念のため、夜中に飲む可能性もあるだろうから枕元に置いておこう。
本当は飲めない方がいいのかもしれないけれど、1日の水分摂取量だから、1日の中で最悪なんとかすれば……。
水筒が傍にあると、落ち着く気がした。




