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告白されるヤツ

うーん……この……

私、大橋絵麻(おおはしえま)には好きな人がいる。


今日告白しようかな、明日告白しようかなって、毎朝起きるたびに張り切って気合いを入れるんだけど、勇気が出なかったり、やっぱり男の子の方から告白して欲しいよね、なんて夢を見ちゃったりでなかなか前に進めないんだ。彼もきっと私の事が好きなはず!って思いたい……こんなに仲良くしてる男の子、他にいないもん。


相手の、田中悠(たなかゆう)君は一目ぼれの相手だ。中野仲高校に入学してから、もう一年と三ヶ月。ずっと見てたんだよね。ちょっと固そうな髪の毛、ぶっきらぼうだけど優しくて、笑うとできるエクボがこっそり好きなんだ。


一年生の時には違うクラスだったから、あんまり接点ができなかったけど、二年生になってクラスメートになってからどんどん話しかけてみたの。今じゃもうホント好き。


これまでのリサーチの結果、悠君には絵麻以外に仲良くしてる女の子はいないみたい。女子のネットワークはスゴいんだよ。友達にそれとなく、悠君と両思い説を流すようにお願いもしたんだ。ちょっとズルいけど、誰にも取られたくないの。それならさっさと告白しちゃえばって思うけど、やっぱり怖いんだ。自信ない。外堀からでも埋まって欲しいってカッコ悪いけど。


でも、今、ホントに焦ってはいるんだ。もうすぐ二度目の夏休み。特に進展が無かったら夏休み中に全然会えないよ。海だってプールだって、花火大会だって一緒に行きたいよ。なんにもないまま二学期になって、悠君に彼女できたらしいよ、なんて聞かされちゃったら生きていけないよ。アピールが足りないのかなあ?


うーん、今日、がんばってみようかなあ?

告白する決心はつかないけど、今日の放課後、誘っちゃおうかな?



「絵麻、今日ヒマ?」

「エマヒマ。 ヒマヒマ」


ビックリした……誘おうと思ったら悠君から声かけられちゃった。

驚いてすっごく変な答え方しちゃった。恥ずかしい。


「なんそれ?」

「ヒマのアピールですぅ」


悠君、目を丸くしてるよ……誤魔化し誤魔化し。

韻を踏んだわけじゃないんだよー。


「今日さ、一緒に帰らね?」

「ききき、今日? 今日ねえ、雨降ってるから」


ゆ、ゆ、ゆ、悠君が誘ってキター!あれ?これ、ある?ワンチャンあるの?ドモっちゃう。やだ、雨降ってるからなによ!


「ヒマだって言ってたじゃん」

「ま、まあねえ」


行く行く行きます。用事が有っても無かったです。

でも安売りしないよ。高い女なのよ私。


「んじゃ、下駄箱で待ってるから」

「あ、ちょっ?!」


どこ行くの?何するの?って、お話したかったのにさっさといっちゃった。慌ててるみたい。どうしたのかな?



朝からやまない雨、ほんとヤダ。ぜんぜんやまない。私、湿気で前髪ヘンじゃないよね?汗臭くないかな?すっごく不安。大丈夫だよね?

あっ悠君見っけ!傘ブラブラさせて、なんだかかわいい。私を、私だけを待っててくれてるの、すっごい嬉しい。これって、デート?デートって思っちゃうよ?

告白してくれちゃったり?無いかなあ?


そうだ!良いこと考えた!今日の私は頑張るって決めたもんね!


悠君の後ろにこっそり近づいて、えいっ!

カバンで攻撃!どうだっ!可愛かろっ!好きになってよね!

……うそうそ、ちょっとでいいから意識してよね?


「……勝手に行くな」

「悪ぃ……一緒に帰ってくれる?」


帰るぅ。


「いいけど……今見たらね……傘パクられちゃってたから……入れてよね」

「お、おう」


ごめんなさい。嘘をついています。許して悠君。

相合傘、してみたかったの。文句も言わずに傘を開いてくれる悠君。ごめんね。ありがとね。



「ちょっと、もうちょっと悠君の方に差してよ」


いつもの帰り道。土手沿いを並んで歩いている最中なんだけど、悠君あんまり喋ってくれないな。なんだか難しい顔してる。寂しい。


「あ? ああ、いいじゃん絵麻が濡れて無いから」

「悠君の傘に入れて貰って、風邪でも引かれたらイヤでしょ」


優しいのは知ってるけど風邪引いちゃうよ。もうちょっとくっついたら、二人とも濡れないのに……もどかしいよ。肩が当たらないギリギリの距離が寂しいな。


あれ?悠君、真顔?どしたの?


「だったら、あそこの橋の下で雨宿りしようぜ」

「え、あ、うん」


ルンルンで気がついて無かったけどもうすぐ二人の通学路の分かれ道だった。急にキリっとした悠君が、雨宿りなんて。

あれ?これ?アレ?

マジ?ホント?

期待するよ?いいの?


「あー、あのさあ……」

「……うん」


うんうんうんうんうんうん。

悠君、キリっとしてる!ヤバい!動画撮りたい……

緊張してるの?ちょっと湿った頭ポリポリして、早く言ってよ。


「付き合ってるヤツ、いる?」

「……いない」


キター!キター!これアレやー!こ!く!は!く!

でしょ?でしょ?

悠君から、してくれるの?


「好きなヤツは?」

「……いる」


お前だよっ!ずっと好きだったんだよー!やったー!

でも、悠君こっち見てくれないよ。見て見て!


「マ、マジで?!」

「……マジ」


悠君がビックリしたみたいにバッと私に目を合わせた。ヤバ!私、絶対顔真っ赤だ!ニヤケてないよね?

あ、ダメあんまり見ないでー!


「……誰?」

「……ないしょ」


わかってるでしょ?もう!焦らさないで早く好きって言ってよー!

あれあれ?告白、してくれるんだよね?ヤバい不安になってきた……。ドキドキして、心臓の音以外なんにも聞こえないみたい。


「そんで……悠君は、何の御用、ですか?」


ここまで来て、告白じゃないんなら、こっちから行く所存。もう腹くくったからね。私、腹くくっちゃったからね。


「あの、俺、お前の、絵麻のこと好きなんだっ!」


やっと、キター!!


「だから……あの……」

「……うん」


あ、ヤバ、泣いちゃう。


「付き合って、ください」

「うん……うん……」


うーれーしーいーぞー!

悠君、今日から私の彼氏!

私、今日から悠君の彼女!


「お、送るから、帰る?」


あん?

私が喜びにうち震えていると、なんだか悠君がトンチンカンな事を言い出した。

大好きだけど、大好きだけど、そういうところやぞ?

”しまった”って顔してるけど、末代まで語り継ぐからね。


「……空気読めや」

「ご、ごめん……」


もうっ!しょうがないなあ……


「そ、こ、は、ギュッとしてチュッだよ、悠君」

「あ、おう、ごめん」


あ、悠君、すっごい慌ててる。かわいい。女の子だってチュウしたいよ……?


「……え?」

「……え?」


なんで、すぐ来てくんないのー?


「いや、やらんのかいっ!」

「……あ、今すぐっ!!」


悠君がとっても優しく肩に触れてくれる。


「今回は許すけど、ちょっとは空気読んでよね」

「……ごめんって」


大好きだから、許すー!ていうか、怒ってるわけじゃないの。甘えてるの。ゴメンね。

ただ()()はもうちょっとロマンチックにして欲しいな!



相合傘での帰り道。


「告白して泣かれたらテンパるって」

「嬉しかったんだモン」


ずっと好きだったんだモン。


「……歩きにくいって」

「くっついたら二人とも濡れないでしょ?」


フヘヘヘ、離さんぞ!


「今日、みんなにRINEで回すからね」

「……恥ずかしいんだけど」

「ダメ?」


もう悠君の弱点、発見したもんね!上目遣いが効くんだよね!

ホントに仲のいい友達にだけ、報告したいの。許してね。

大好きな悠君が彼氏になってくれましたって!

改善点等お教え頂けましたらありがたいです。

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