表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

木洩れ日の最中に

作者: 夜野海月


 鼓動の隙間のような午後。

 舌先でとろけだしたバニラのような時間。


 ──例えばそれはマニキュアを塗りたくなるような時のこと。

   ふっと溜息を吐きたくなるような時のこと。


 あたしは知っている。そういう時間が誰にだってあることを。あたしは知っている。そういう時間を誰もが忘れているっていうことを。あたしは知っている。大切な時間のことを。本当に大切な時間のことを。


 子供の頃に見えた妖精は、そんな時間に降りてくるっていうことを。


 そしてあたしは考える。ふっと、文字を綴るようにして考える。あたし自身のことを。誰のことでもない、あたし自身のことを。一番、分からないことを。


 空を見上げるようにして。空気に溶けるようにして。


 あたしは想う。清らかな小川のせせらぎのことを想う。その中で揺れる水草のことを想う。その中で遊ぶ一匹のメダカのことを想う。それからゆっくりと、その娘の寂しさを分け合ってみる。


 囁くように、囁くようにそっと。

 吐息で話しかける少女のような、そんな静かな仕草で。



 哀しくなるのは、きっと罪じゃないから。

 優しくなるのは、きっと罪じゃないから。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ