プロローグ
異世界から転移してきました!
昔住んでた世界の事を思い出しながら書いて行こうと思ってます!
書き慣れてない事もあって、更新はゆっくりになるとは思いますが、頑張って書いて行きます!
寝ぼけ眼を擦りながら車窓の外を眺めると、見慣れた街の夜景が少しずつゆっくりと速度を落としながら流れていた。
いつもなら自宅の最寄りである峰守駅のひとつ前、加輪上駅に差し掛かったあたりで自然に目が覚めるのだが、今日はいつもよりも営業で歩き回ったせいもあってか、ぐっすり眠ってしまっていたらしい。
張った太股をさすると、溜息を兼ねた欠伸が口をついた。
「最近、ハードだからなあ」
ここ最近、俺の務める白丸乳業峰守営業所の業績が思わしくないこともあり、先月からノルマが増やされてしまったのだ。
ノルマに満たない分は、給料から天引きされてしまう。
ただでさえ手取りが少ないのに、これ以上減らされたら、更に生活をきりつめないとならなくなる。
いっそ転職でも……と、思わんでもないのだが、このご時世と俺のスペックの無さを考えると、簡単に辞める事なんてできない。
「塞がれてるよな、人生」
なんというか、やるせない。
ぼんやりと車窓に映る覇気のない表情から車内の方へと視線を背けた。
既にこの路線最大のベッドタウンを過ぎている事もあって、乗客は少なく、残っているのは、俯いて眠る頭の禿げたサラリーマン、険しい形相でタイピングを打つOL、談笑に耽る三人の若い男女が、それぞれ距離をとって腰掛けているだけだった。
「皆、幸せなのかな?」
つい、そんなくだらない事を呟いてしまった自分に嫌気がさして、カバンの中かお洒落な水色の包装紙に軽快な筆記体で『Happy Birthday!!』とプリントされている紙袋を取り出した。
「あいつ、どんな顔するかな」
時の事を考えると、つい顔がにやけてしまう。
顔を俯かせ、さも何か考え事でもしているふうを装った。
と、不意に、胸ポケットにしまっているスマホが震えた。
確認すると――ヨメのカナンからだった。
『いつものとこにいるよ』
高鳴る胸を抑えながら短い文面に目を通し
『りょーかい』
と、返す。
ほとんど間をおかずに『待ってるよ』と返信が返ってくる。
そんな特別大した事のないやりとりが、何故かおかしくてホッとため息が口をついた。
紙袋をカバンの中に押し込み、ゆっくりと流れるプラットフォームの景色をもどかしく思いながら眺めた。