懺悔
事態が終息し、
アビックは聖司とシャーリーを連れて、ひとまず教会へ合流したのだった。
他の村人も幾人か合流し一息ついたころ・・・アビックは教会で片膝をつき、懺悔させられていた。
先生神父が宣う。
「罪深・・・くもない、迷っても・・・いなそうな、明らかに子羊でない、えーと、農夫?よ、心ゆくまで神に? プッ! 懺悔なさい。」
「ワロてるやないかい!!」
「「「わははははは!!!」」」
教会の長椅子に避難民と子どもたちがギッシリ、笑い声が反響する。
だいたいアビックのせいであるという事で、
公開懺悔なのであった。
「さぁ、貴様の罪を数えなさい。」
「え、えーと、ミルクを飲み過ぎて暴れました。」
「そうですね。」
集まっている村人が一斉に頷く。
「セージを簀巻きにして、広場に埋めました。」
「そうですね。」
「痛快でした。やったね!」
アビックはガッツポーズ!
「そうですね・・・って、おい!」
「「わっはっははは!」」
コントかな?
爺さんたちが腹を抱えている。
「どんどん来なさい!」
「んー、王都騎士団が持ってきた、王城への呼び出しから逃げました。」
「「はぁーーー?!!!」」
「な、なんでまた?」
「・・・人を呼び出すデカイ態度が気に食わんかった。」
「ははははは!!」
子どもには大ウケ、大人たちは やっちまった という表情で顔を手で覆っている。
「転移魔法で連れてってあげますから、後でちゃんと登城なさい。」
「・・・はい。」
「本音は?」
「面倒くさいなぁ。」
「わははははは!」
教会には川の氾濫で避難してきた家族たちと、爺婆、学校の子どもたちが集まっていた。
「それからどしたの?」
「何かしたっけかなぁ?」
「ほら、セージに?」
「あぁ~、セージが生かされていたから、魔王化した力の根源を取り除きました。」
「何故ですか?」
「聖属性を司るなんて親の願いの名前を持ちながら、
暗黒微笑で借り物の力使ってイキッて、イタ過ぎたからです!」
「ギャハハハハハ!!!!!」
レイモンがバシバシ椅子を叩きながら笑っている。
お前の巻き起こすカンチョー被害も、いつしか黒歴史になることだろうよ。
「次が本題ですね。」
「次?」
「ほら、高位 蘇生法術。」
「・・・見てたの?」
「いいえ、しかし回復法術の光がすぐ外から差し込んでいましたから、お察しです。
それにその後の、蘇生法術 は教会司教レベルが複数人で執り行う儀式級 大法術です。
高位ともなれば・・・」
「・・・ともなれば?」
「世界中の正属性遺物が共鳴し、教会に祝福の光が差しパーティー状態です!!」
「ぶっ!!!」
「つまり、モロバレです!!」
「な・・・なにその教会仕様、知らんのだが?!!」
アビックが狼狽している。
あぁ~、あれの事かな? みたいに若い夫婦たちが合点いっている。
「うん、光って、鳴ってたよ。」
跪くアビックの隣の長椅子に座るエルが証言する。
無言でアビックが あ痛ー! の表情をしている。
「今頃、奇跡の発生源を探して、探索隊が組織されているはずです。」
「またまた~!」
「冗談ではありません。バレたら大変なことになりますよ。」
みながウンウン頷いている。
「また、面倒が・・・、
それもこれも・・・お前のせいだー!!」
マントを毛布替わりに長椅子で寝ていた聖司の顔面を、ハリセンでぶっ叩く。
八つ当たりである。
「あ痛ー!!
何すんだ?!!」
飛び起きた聖司は、依然 全裸だった。
「「きゃーーー!!!」」
教会の女性陣が一斉に目を覆う。
スパーンと、再度ハリセンが聖司の顔面に炸裂。
聖司は半回転、頭をぶつけて、また昏倒するのだった。
「はい、懺悔。」
「サーセン、ガマン出来ませんでした!」
「これまでの事、反省していますか?」
エルと一緒に、隣でシャーリーちゃんとコウスケ爺さんが大笑いしているのだった。
「いいえ、全く!
これで良かった! 何度でもやる!」
アビックは、その様子を見て、嬉しそうにニヤけるのだった。




