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そして彼女と出逢った  作者: 霜月 時雨
プロローグ
8/11

1部【夕食後のあれこれ】

かなり、遅い更新です。

仕事と狩りと指揮官業務が・・・

鍋が終わった。

順当に、白いご飯を食べつつキムチ鍋をつつく。

何故豆腐が入っていないのかと苦情を一部の速水さんから言われたが、それは作者の好みではないため、とだけ言っておく。

最後はうどんを入れて、スープと一緒に食す。


ここまでは良かった。


以下の文は、この後起きた悲劇かつ喜劇の抜粋である。


一言で言えば、村石南無。

とだけ言える


さておき・・・


食後、速水さんがお酒を欲しがった。

「キムチ鍋に冷酒が合いそう」と。

勿論食後なので、冷酒はいらないけど・・・と、フラッと出掛けたかと思えば、いきなりビールやワイン、オツマミを購入してきた。

しかも、歩きながら呑んでたのか、既に空けられたビール缶を、ビニール袋に入っているのとは別に手にして。

それを見た瞬間、村石は逃げ出そうとした。

それを見た俺が捕まえて、速水さんに差し出した。

そして、速水さんはワインの瓶を村石の口に突っ込んだ。

抵抗してはいたが、気が引けていたのか腰が引けていたのか、抵抗虚しく瓶から流れ込むワイン。

少しずつ白目をむいていく村石。

「えーと、速水、さん?村石、白目をむいて気絶してるけど、大丈夫?」

恐る恐るといった感じで尋ねてみるが、普段とは違う恐ろしい程のスマイルで、

「えぇ、大丈夫です」と、ぽいっと村石を投げ捨てて返してくる速水さん。

うん、これは、モテないわ。

チラッと気絶して放り出された村石を見ると、どうやら気絶した振りをしていたらしく、諦めずにこそっと逃げ出そうとしている。

が、恐ろしい笑顔が貼り付いている速水さんは勿論気付いているし・・・あ、右の膝裏を踏みつけた。

あれ、痛いんだよな。

しかも、動けないし。

速水さんの意識が村石に向いている間に九花を見やると、要領の良いことに、既に別の部屋に逃げ出す直前だった。

一瞬、目が合うが、更に一瞬躊躇って、自分を置いて部屋に入ってしまう。

まさかの裏切り!

後ろを振り返る。

よし、まだ村石にかまけてる。

急いで逃げよう。

とは言え、何処に逃げるか・・・九花がドアにバリケードを築いてなければ、そのまま中に入れてもらおう。

取り敢えず、そそくさと移動する、速水さんはまだ村石に絡んでる。

音が鳴らないようドアノブ(鍵無し)を回す。

大丈夫、向こうから何かしらの施錠はされていない。

ゆっくり開ける。

向こうの空気が漏れる。

明かりも点いている。

大丈夫、落ち着け。

まだ、こちらには気付いていない。

再びチラッと確認する。

大丈夫、まだ村石を踏みつけてる。

右膝の裏をグリグリしてる。

あれ、本当に痛いんだよ。

一瞬だけ黙祷して部屋に滑り込む。

閉める時も静かに。


無事、逃げ切った、はずだ。

目の前には何かしらの安堵を得た九花もいる。

その安堵が、俺が無事に逃げ切れたからか、一瞬だけ速水さんかもしれないと思ったのか、どちらかは判らないが。

とにもかくにも、あちらの状況が落ち着くまではここで待機するしかない。時折、「あー」とか「ぎゃー」とか「ひぃー」とか「た、助け・・・」とか聞こえてくるけど、気にしてはいけない。


ともあれ。

せっかくなので、九花とゆっくり話してみようと思った。

今日一日外出していたのだ。どの様に感じ、何を思ったのか。本来なら自分が聞くことではなく、村石や研究者達に話をさせれば済む話だ。

だけど、それでも気になる、気になってしまう。

出会った当初に持っていた面倒という気持ちは今でも残っているし、同棲にも抵抗はある。

だが、決まってしまった以上、逃げるのは格好悪い。

それに、自身の好みの見た目なのだ。気にならない方が本来はおかしい。

とまぁ、言い訳に言い訳を重ねているのだが、結局は好意と肯定なのだ。これが村石の狙い通りであるならば、後程速水さんを使った嫌がらせをするだけで、鬱憤は晴らさせてもらうが。

それこそ、当初の村石が「彼女として」とも言っていた。種族の問題が無ければ、正直に言えばありだ。むしろ、種族が別というならその実験の成功例・成功者として彼女をモノにしてしまえるのではないか?

そう、そう思えるのだ、たった一日二日一緒に居ただけなのに。

それは不愉快で愉快、無機質だけど有機質、感情を揺さぶられている感触。

素直にそれを表に出すことは、まだできない。

個人的なものもあるが、村石達がどの様に動くかも読めないからだ。


「ごちゃごちゃ考えてる」

急に、九花から言葉をかけられる。

九花の瞳がじっと俺の顔を見つめている。

全てを見透かすかのように。

ただ、それでも、何か答えないといけない。

「うん、まぁ、これからのこととか、かな」

「これからのこと?」

「うん、これからのこと」

そう、これから。

彼女は一緒の大学に通うことになる。

世話をするのは自分。

なら、自身の立場を明確にしとくべきか、誤魔化すべきか。

また、表に出していない感情を出すか否か。

「なるようになれ」

九花が呟く。

「貴方の性分かは判りかねますが、多分考え過ぎなんです。でも、その思考の中に、私を気遣ってくれている。それはとても嬉しいと思います」

丁寧に。

「でも、もう少し楽に考えてほしいとも思います。でないと、ちょっとした会話のはずが、こんなに考え込んでる」

気遣うように。

「だから、何も考えずにとまでは言いませんが、お話をしましょう。それも、何の意味も無い、ただのお喋り」

俺の心に染み込んでいく。

「・・・そうだな。難しく考え過ぎていたかもしれない」

きっと、そうだ。

警察やら研究やら新人類やら、そんなことは知った事ではない。

あるがままに楽しんでやろうじゃないか・・・目をつけられない程度に。

「ありがとう、少し、スッキリしたよ」

「どういたしまして」

九花はにっこりと微笑んで、

「じゃあ、お話をしましょう」

と続けた。



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