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そして彼女と出逢った  作者: 霜月 時雨
プロローグ
6/11

1部【それぞれの憂鬱】

前回の更新からかなり時間が・・・

面倒だな。

僕はそう思っている。

何が面倒か?

目の前の状況がだ。

言ってしまえば、金の亡者相手に餌をぶら下げて釣りをしている状況と言えば皮肉も効いてるかな。


僕は今、例の彼の大学に来ている。

ご存知の通り、九花さんの編入の為だ。流石にこの手の仕事は相方の速水さんには任せられない。

本人はやれと言われればやるだろうが・・・こういう折衝というか交渉というかは僕の方が得意だ、一応。


さておき。

大学の学長とその裏にある法人の会長との折衝は終わり。国からの支援金を年換算で提示したら、即座に乗ってくれたよ。これだからがめつい守銭奴達は嫌いだ。

その点、彼はなかなか見所があるというか好感が持てる。どんなにこちらが良い条件を提示しても靡こうとさえしなかった。将来的には是非ともうちの機関で働いてもらいたいものだね・・・本人は凄く嫌がりそうだけどね。

とまぁ、そんなこと考えながら件の二人を伴って建物の外に出る。

次はここに九花さんを連れて来て面通し・・・場合によっては彼にも付いてきてもらおう。

問題は残ってるけど・・・とりあえずは事務所に戻るか。

この敷地に居座って、彼に会ってしまえば、まぁ、心象悪いだろうしね。

それと、何か女の子に見られていたけど・・・まぁ、大丈夫だろう。


講義も終わり、あとは帰るだけ。

そういう状態になった訳だが・・・いまいち気が乗らない。

それもその筈。

帰るということは速水さんに連絡をしなければいけない。

憂鬱。

一言で言えばそうなる。

とは言え、約束を破ってまで逃げようと思えないのは自分が気の弱い日本人だからだろうか?

さておき。

そろそろ覚悟を決めて電話しようか・・・。


携帯電話に着信があった。

現在は夕方の16時30分を少し回ったところ。

「ふむ」

私は一度ディスプレイを見て、そのまま着信を無視する。

そして、呼び出し音が切れたところを見計らい、自分から折り返す。無料同士の通話なら意味は無いが、彼との電話は無料ではない。必要経費がこちらから下りるとは言え、こういう細かい所でも気を遣ってあげるべきだ。彼はまだ学生なのだから。

「もしもし」

数コール後、彼が電話に出る。

「あぁ、すみません。速水です。出ようとした所で切れてしまって。間に合わずにすみません」

さっきの考えもおくびに出さず。

「はい、はい。なるほど。村石とは学内で出会わなかったのですね。彼なりに気を遣ったのでしょう。えぇ、こちらも用事の方は終わっていますので、そちらの自宅に10分もあれば車を着ける事ができるでしょう。はい、分かりました、では後程」

と簡単なやり取りを終える。

横では九花さんが目をぱちくりとさせている。

「速水さん・・・あなた、そんな感じの普通の会話ができたのですね・・・」

失礼な。

「普段もこんな感じではないですか?」

九花さんは黙って目を逸らす。

失礼な。

「何はともあれ、帰りますよ。あと15分位で彼も帰りつくそうです」

「・・・分かりました」

一瞬、間が有りましたが、先程のやり取りにまだ思う所があるのでしょうか?


「・・・分かりました」

そう言って私は速水さんについていく。

間が有ったのは先程の通話と普段の速水さんの話し方に違和感があったからだ。

片言とまでは言わないけど、必要最低限しか話さない。

普段のイメージはそんな感じだ。

なのに、電話での通話を聞くと普通なのだ。

いつもの最低限の言葉しか口にしない速水さんではなく、普通の会話をする速水さん。まだ出会って間もない私でさえ違和感を感じるのに、速水さん本人は通話も普段の会話も同じだと認識している。

それはおかしい。とは思うが、流石にツッコミを入れる勇気もない。しかも、下手に考えると、こちらの思考も読まれる。やりにくい。いや、現時点で既に読まれてると考えてもいいでしょう。

まぁ、この位なら、速水さんも大人なので見逃してくれるでしょう。

そんな失礼なことを考えつつ、車に乗り込む。荷物は後部座席へ。

速水さんも準備を終え、車は発進していく。


「さて・・・」

そう一言を置き、考える。

そろそろ彼は自宅に戻り、速水さん達もそれに合わせて彼の自宅に向かうだろう。

僕はどうしようかね。

このまま彼の部屋に行くのも悪くはないのだが、何となく彼は嫌がりそうだ。

そもそも、僕たちの出入りさえ、本来ならアウトのグレーゾーンなのだ。彼と九花さんには手を出してはいけない。

これは、研究所と僕たち政府側との決定事項だ。速水さんに関しては、この世界の常識を教える為という言い訳をして近くにいさせているが、それさえもタイムリミットはある。

「あまり、危険な橋を渡りたくないしね」

一人ごちる。

危険な橋・・・彼女、九花さんに纏わる利権や権力闘争。

今のところは彼らが利権に絡むことは無さそうではあるが・・・大学関係者でさえ話を聞いた瞬間に揉み手で胡麻擂り、醜悪な笑みを浮かべてすり寄って来たのだ。

「あぁ、やだやだ。憂鬱だよ、まったく」

こんな時はさっさと帰ってご飯を食べて寝たい気分だ。

まぁ、内心こんなこと考えてるなんて、彼は考え付かないだろうけどね。

さておき、速水さんに連絡をして合流しますかね。




時間がかかった割には短いというね

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