1部【夜のお話】
銃の指揮官業とリアルの仕事がキツいです
焦らなくていい。
気にしなくていい。
自分自身、周りに壁を作ってることは気付いてる。
それはそうだろう。
いきなり意味の解らない状況に呑み込まれたようなものだし。
そもそも社会人にさえなってない青二才がソコソコ経験積んでる警察関係者と同等に考えを巡らせ、出し抜こうとかおこがましいというものだ。
まぁ、こうグチャグチャ考えてるから九花にもあんなことを言われたのだろう。
それは兎も角、兎も角だ。
今現在、九花に抱きしめられている。
こちらからは抱き返すようなことはしていない。
ヘタレだからな。
勿論、動揺していることも影響しているが。
ただ、こんな状況をあの二人に見られたら、間違いなく面倒なことになる。
まだ、扉の向こうでは悲惨な声が聞こえてくるので、暫くは大丈夫だと思うけど………本当に大丈夫か?
いや、気にしたら負けだ。
今は自分の状況を何とかしよう。
「どうかしましたか?」
俺が少し身じろいだことに疑問を持ったのか、九花が声をかけてくる。
そのタイミングで身体を離して顔を上げる。
少し顔を赤らめた九花が俺を見つめている。
「いや、流石にそろそろ恥ずかしくてね…」
目を逸らす。
「それに、向こうはまだ騒がしいけど、いきなり乱入されてこんな場面を見られたくないしね」
「まぁ、たしかに」
流石に恥ずかしいですもんね…そう呟く。
「なにはともあれ、向こうが落ち着くまでノンビリしていようか」
「そうですね」
九花は微笑みながら肯定してくれる。
こんな状況だとコーヒーでも淹れて、まったりしたくなるな…隣の部屋が落ち着いたらコーヒーを淹れに行くか。
数分後
特別何かを話す訳でなく、二人揃って扉にもたれかかり、九花は目を瞑り、俺は虚空を見上げ取り留めの無いことを考えていると、不意に隣が静かになった気がした。
村石が気絶したのか、速水さんがダウンしたのか、はたまた両方か…ベストなのは両方ダウンだ。
九花も隣の様子に気が付いたのか、目を開けこちらを見てくる。
どうするべきか?
少しドアを開けて、覗くべきか?
それとも、もう少しここで縮こまるべきか?
俺は意を決して開けることを選択する。
だが、その為には九花の承認も必要だろう。
「様子を見てみようかと思うんだけど…」
「…いいと思います。貴方だけで行くのであれば」
まさかの発言だった。
いや、まぁ、そうだよね。
あれは絡まれたくないよね。
「………分かった、行ってくる」
そう言って、一人ドアから顔を覗かせ、惨状を確認する。
見た限り、二人ともダウンのようだ。
一瞬、九花を見やり、行ってくると眼で伝え、なるべく足音物音立てずにリビングへ侵入を試みるのだった。
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