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捨てられおっさんと邪神様の異世界開拓生活~スローライフと村造り、時々ぎっくり腰~  作者: 天野ハザマ


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倉庫を作ろう3

 元々石造りの建物というもので、全て石製というものは少ないだろう。

 大きければ大きい程難易度が増すからであるが……今雄太が造ろうとしている倉庫は、集会場よりも更に大きい。

 平屋の建物としては過去最大級になる予定だが、それ故に屋根は考えないといけない。

 確か雄太の記憶では、海外の石造りの建物に日本家屋のような大黒柱はなかったはずだ。

 となると、壁で支える構造であるのは間違いない。


「屋根……屋根、か」


 石を積みながら、雄太は考える。

 屋根というと三角形の屋根だが、あれはどうやって作っているのだろうか?

 建築途中の家を見た時には、割りばし細工みたいだと失礼な事を考えたなあ……などと思い出す。

 確か……そう、あれは木材で三角の形に組んで、そこに屋根板を貼っていたはずだ。


 ということは、運動会の時にみた教職員テントと同じと考えると非常に分かりやすい。

 二方向の壁の上部分を台座にして三角の形に石材を組み、二つの三角の間に長い棒を通す。

 そうして出来た骨組み部分に屋根となる板を貼っていけばいいのだ。

 上手く組めば、隙間もなくメンテもしやすい屋根が出来上がるはずだ。

 これは成功すれば雄太達の家の改造にも使える技術だ。


「うん。いける……いけるぞ」

「ブツブツ言ってて怖いです……」


 何やらセージュに失礼な事を言われている気がしたが、雄太は気にせずに石を積んでいく。

 サクサクと壁が仕上がっていくが、やはり石材は足りなさそうなので切り出してくる必要があるだろう。

 あるだろう……が、雄太はそれとは別に気になることがあった。


「なあ、セージュ」

「なんです?」

「石だけで上手く扉作る方法とか知らないか?」

「知らないです」

「そうか……」


 やはり村が形になってくると、気になるのは扉の事だ。

 いつまでも藁のすだれというわけにもいかないだろう。

 扉は文化と防犯の象徴でもある。

 しかし木材を手に入れるとなると、ブラックツリーとやらを探す必要が出てくるのだ。

 世界樹の森であれば扉の材料になりそうな立派な枝も落ちているかもしれないが、やはり木を丸々手に入れた方が話が早い。


「一通り建物作り終わったら、ブラックツリーを探すのも……いや、当てもなく探しても無駄か」


 そんなものを探すよりは、やはり石で扉を作るほうがいいだろうか。

 前回作った時には壊れてしまったが、方向性自体は間違っていないはずだ。

 もっと回転部分を細工道具を使って滑らかに精巧に作っていけば、理論上はいけるはずなのだ。


「……やるか。石扉。再挑戦だ」


 幸いにも、バーンシェルからプレゼントされた細工道具があるのだ。

 あれを使えば石から大味な削り出しをせずとも、丁寧に仕上げていけるはずだ。


「ユータ。そろそろ石無くなるですよ?」

「あ、そうか。じゃあ切り出しにいかないとな」


 やはり大きい建物を作るとなると減りが早い。

 そんな事を考えながら雄太が地面に降りると、ベルフラットが歩いてくるのが見えた。


「ユータ。食事が出来たって、フェルフェトゥが言ってる……わ」

「ああ、ありがとう。そっか、もうそんな時間か」


 気づけば太陽は空の真上に来ていて、昼である事を示している。

 鐘が出来ればその辺りがもっと分かりやすくなるのだろうが、そこはバーンシェル待ちだ。

 彼女は今日も朝から山に納得いく金属を探しに行っている。


「調子は、どう……?」

「いい感じだと思う。この調子なら倉庫も早めに出来上がるな」

「嬉しいわ。私の為に……」

「ハハ、ハ……」


 笑って流しかけて、雄太はハッとする。

 確かフェルフェトゥは自分の事を考えて倉庫を作れと言っていた。

 ベルフラットの神殿にしないように、という意味だったが……このまま流してしまうと、ベルフラットの神殿ということになるのではないだろうか。

 そしてそれは……なんというか、非常に強く身の危険を感じた。


「ああ、いや、うん。フェルフェトゥが作れって言ってたしな。これもフェルフェトゥの神殿ってことになるのかもな」

「……そう」


 残念そうなその姿に雄太は胸がチクチク痛むのを感じるが、同時にホッとしているのにも気付く。

 やはりベルフラットの神殿は何処かのタイミングで建てた方がいいのかもしれないが……できる限り危なくないものを何か考えようかと、そんな事を思いながら愛想笑いを浮かべる。


「相変わらず危ない匂いがするです……」


 何やら頭の上でセージュがぼそっと呟いているのが非常に気になるのだが、それはさておき。


「じゃあ、食事に行こうか」

「ええ、行きましょう?」


 何やら薄暗い視線が自分の頭の上のセージュに注がれているように雄太は感じるが、セージュがフシャーと猫か何かのように威嚇しているところを見ると、気のせいではないのかもしれない。


「あー……仲良くな?」

「分かってるわ……」

「見えるところでは仲良くするですよ」


 言葉の上ではベルフラットの方が物分かりが良く聞こえるのだが、実際はどうなのだろうか。

 ヤンデレという言葉を唐突に思い出しながら、雄太は三人で歩いていく。

 ……そして、二週間後。試行錯誤と雄太の限界突破による気絶を何度も経て、立派な三角屋根の倉庫が完成しようとしていた。

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