目的トリビア
入力者と出力者の間で
存在する人の息
どちらかが多ければ
不満で
無邪気に笑えないから
痩せ細った公園の猫と黄昏れる
二時間座っている間
猫は十回
公園の水溜りへ水を飲みに行った
きっと慢性腎不全だ
救わなくてはいけない者と
救われたくは無い者は
一緒に居る時がある
間違えてしまうのは
どちらも同じに見えるからだ
公園を出て行く
失った物も無くて
得た物も無い
勝手にゼロにして
煙みたいに生きていく
あれを引き摺り出すには
男が女になろうと
女が男になろうと
足りなくて
頭の中を腕力で解決しながら
丁寧に整理するしかなかった
180度回転しながら
カピカピになっている意識
回転寿司屋のねたより
手を付けられない
本当に無駄な時間だと思う
無駄な人間で居たいから
そうやって
それを理由にする
出来て初めて
狡い人間だと認められるんだ
生き方だってそうなんだ
火傷した親指で
スマートフォンの画面に触れても
イレギュラーに反応する
親指の腹に
軽くて小さな水膨れ
昨日のお好み焼き
鉄板と反射反応
そしてオミット
蛇口からの一滴
水滴音
勇敢なる者が居ない世界は
寝袋で寝た後の疲れに似ている
倫理観の賢者が居る世界は
世界にある滅びの予言が
一同に会する絶望感に似ている
どちらも存在する世界は
きっと衰退していく
争いという火種は
それを覆す為の安直な解だった
倫理観の賢者が
抑え込んだ風に見えるが
金儲けという解を提示したからだ
だが
それにも物申す倫理観の賢者が居る
では
次は何を提示する?
芸術や宗教は
既に人間の血液になっている
つまり
提示した所で効果は無い
エンターテイメントは
縛りあげられている
倫理観の賢者達が作り出した
変な形のワクチンは
今も進撃を続けている
では
次は何を提示するのだ
一歩前へ進むか
一歩後ろへ進むか
人は大抵そうなっている
集団になろうと
それは変わらないだろう
進む事しか出来ない生物なのだ
生き方が下手なのだが
だから愛着が湧く
水族館と動物園
植物園のお気に入りみたいな物だ
仕方ない
仕方ない
電話をした後
ATMで五万円を引き出し
公園へ戻る
いつもの場所に
いつもの様に猫は居る
抱き抱えると動物病院へ向かった
容易に抱かせてくれるくらい
一緒に居たのか
歩きながら思う
きっと飼えないだろう
余裕は無い
何処かの団体へ譲り渡す事になる
大切に丁重に扱われる筈だ
それでいて幸福だろう
「気づいてしまった」という行動に
責任を持った後
自宅近くのクリーニング店に
上着を出した
家は近いが
この季節は寒い
背中を丸めて歩いた
行動には責任が伴う
心情の動きを行動だと定義するなら
それにも責任が伴うのだ
気づかぬふりを嫌悪する理由である
もしかしたら
人間を嫌悪する理由かもしれない
そのような行動を取る人間に
なりたくはないが
心情まで入り込めば
汚い人の方が多いだろう
帰り着くと
ストーブと炬燵を動かして
暖を取った
テーブルの上に伏せると
払ったお金が
少なくて良かったと思う
保護もしている病院を選んだ
後ろ立てまで見つけるのは
動物を飼わない人間には難しかった
信頼出来る人なのかを
何回もチェックしたくは無い
こうやって汚れていくのだろう
保険は
純粋な生き物にとって
悪みたいな物だ
こうやって汚れていくのだろう
社会の中で上手くなりながら