作戦会議
それではどうぞ
数時間後で、3人の神将達とその護衛は来た。その間に俺たちは大森達の世界の話を聞き盛り上がった。彼方の世界は興味深いことが多かった。その中で一番気になったのは科学と呼ばれる彼方の世界で発達している文明だった。更に娯楽文化も、発展しているようでテレビと呼ばれる画面が写るものを使いゲームをしたり、カードを使ったゲームなど様々なものがあるらしい。食文化も此方とは似ているが、昔の時代にあった物が多いらしい。建築文化も此方のは大森達が住んでいた国とは違う国で使われている技術と同じという。この世界とは全然違うと実感した。そんなことはどうでも良い。
取り合えず、話を始めなければ。開戦は3日後の予想なのだから。
「取り合えず、始めるぞ。まずは俺はボルド。総指揮官だ。参謀はアルクスの坊っちゃん。前線に出るのが、ジュナン、イノアの騎士団と勇者達。俺は後続で騎士の指揮。アルクスは作戦指揮。坊っちゃんは前線に出てはいけないですぜ。こんな感じで考えているがどうだ?」
「俺は作戦指揮ね、了解。」
「俺も(私も)了解。」
「ああ。/分かりました。」
「じゃあ、アルクスの坊っちゃん。作戦内容を頼む。」
「ああ。」
俺は2つの地図を出す。これはザリア帝国との国境の拡大図。そこにアリア皇国には3つの城が感覚的にある。これがアルクス、ジュナン、イノアの城。ザリア帝国には1つの城が真ん中にずっしりと建っている。3人の城に比べれば大きさが3倍ぐらい違う。収容できる兵士も3倍近く差があり、神将1人で戦えば、流石に勢力差が大きい。そこでガイアスは4人にで攻め込んで貰い勢力差を無くそうとしたのだ。これで戦略が今回の戦争の鍵となるものとなり、此方としては圧倒的有利になった訳だ。
「今回の作戦はジュナンが囮となって相手を惹き付け、イノアが本陣を攻めいる。こんな感じになっている。また、俺の騎士団は副団長のジンが指揮を取り、遠回りではあるが、城に攻めいる。囮となるジュナン部隊は囮だから、正面からぶつかってくれ。増援が欲しくなったら、ボルドの騎士団から出すから。イノアは森の中を通り抜けて、本陣があるだろう山のところに向かい奇襲を掛けてくれ。本陣に居座る将軍の首を上げるか、半分程度の相手の兵士を殺したら、山に火を着けてくれ。出来れば、囲うように。撤退するときは火を着けたところを見計らってからにしてくれ。勇者達だが、君達は俺の騎士団に着いて行って貰う。俺達の騎士団のことは追って説明する。今はこんな感じだ。質問とかあるか?」
「良いか?俺達は何でアルクスの騎士団に着いて行くんだ?」
「ああ。それは城攻めの経験が一番今回の戦争にで君達の技術を上げると思ったからだよ。城攻めの時は特に相手は負けたくないという思いから、思いもよらない攻撃をしてくることがある。それに適応出来る能力を着けて貰う為に城攻めに行って貰う。分かった?」
「ああ。」
大森は納得したみたいだ。今回の作戦は全員誰か1人でも失敗をされると困る。失敗されただけで全てが崩れる。今回の目的は戦争を早々と終わらせることと相手の戦力を削ることにある。決して、城攻めで城を落とす必要性はない。それに領土拡大を目指しているわけでは無いのでその必要性は更に下がる。
「俺は囮か。了解。」
「私は本陣攻めね。了解。」
「これで行くとしよう。反対は居ないな?」
全員が頷く。これで作戦は決まった。だが、ザリア帝国がここまで早く動くとは想像もしていなかった。なにか理由でもあるのだろうか?まあ、取り合えず、この戦争に勝つことが第一条件だが。負けでもしたら、皇帝に怒られる前に姫に怒られる。あの人はホントに怖い。一時間ぐらい説教される羽目になる。そんなのは勘弁だ。そんなことをされるぐらいなら全力で勝ちに行く。
「よし、適当に過ごすか。ボルド達、勇者達を見てこいよ。面白いぞ。」
「ああ。お前の作戦に従わないと言った奴等か。一戦交えてくるわ。」
「行ってら。」
ボルド達はさっきの2人の勇者が走っていった方向に向かって歩いていく。てか、相変わらずの殺気と尋常のない存在感。これが神将なのだろ。俺にこれがあるかは全く分からないが。どうせ、強くなっているだろうし。
「あの~アルクスさんはどうやって神将になったんですか?」
荒木の唐突な質問。分からなくもない。この歳で神将に普通はなれるものではないのだから。そんなことを聞かれるのも仕方がないことだ。分かっている。自分が変なことは。
「俺さ、捨て子なんだよ。当時、蒼炎騎士団の団長だったガイアスの団長室に置いて合ったらしい。それを拾って、騎士団で育てたんだとよ。まあ、騎士になりたくて幼い頃から教わってたら、5歳の頃にはガイアス以外の今の神将を倒せちゃうぐらいになっててさ。その後は放浪の軍師と呼ばれたゾロンって人に戦略とか政治とかを8年間学んで、第一次バライム戦役でこれを生かして功績を得たから今の地位にいるって感じかな。だから、俺は学園に通ってないんだよ。此処にいる副団長のソフィアとは違って。」
「そうだったんですか。すいません。思い出させてはいけないことを思い出させてしまって。」
「良いって良いって。そんなことは幾らでも経験したから、馴れたよ。」
「俺からも。アルクスは軍師騎士って言われる理由は何?」
荒木はしょんぼりしてしまったが、これはしょうがないだろう。俺は言われなれたから気にしていないが。勇者達にとって、捨て子とは可哀想に思われる存在なのだろうか。まあ、聞くほどのことではないから聞かないが。大森の質問も、難しいな。俺が軍師騎士と呼ばれる理由か。
「俺が騎士であり、軍師のように戦略を練った作戦を取るからじゃないか?最初に言い始めたのは騎士達だったらしいし。」
「そうか。」
「私からも良いですか?団長。」
「良いぞ。」
「団長が堕落した原因が知りたいです。」
全く、この女は何を聞いてくるかと思ったら、堕落した原因。知るかよ。神将になってから劇的にやる気が無くなったのはあるが、理由と言われると何も浮かんで来ない。友達と会えなくなったからとかか?さっぱり、分からん。
「知らん。お前の方がその理由が分かるんじゃないか?」
「団長は友達とかに会えなくて、堕落し始めたのかもしれませんね。特に第2皇女と会えなくて寂しかったんじゃないですか?」
「姫?あの方は俺にとっては怖い人間だぞ。まあ、ガルシアと姫の追いかけっこを見るのは楽しかったけど。」
「団長が分からないなら、私の心の中にこの気持ちは閉まって起きます。」
「何だよ。教えろよ。」
「嫌です。自分で考えてください。」
はぁ…相変わらず、この女は適当に話を振って自己解決かよ。全く、自己中心的過ぎる。これは教育が必要だな。この女の生
意気なことを矯正してやる。まあ、それは後日することだが。
「言い忘れていたが、勇者達には俺の城で寝泊まりして貰う。それは良いか?」
「ああ。/はい。」
「あの2人に聞くのは面倒だから聞かなくて良いな。」
「それで良い。」
大森の頷き。友達じゃないのか?と俺は思ってしまうが。こいつの考えは俺に分かるわけが無いと諦める。だが、こんなに簡単に切り捨てるとは思わなかった。あれでも、友達だろうに。この男も昔何かあったな。詮索はしないが。
数時間話し合った後、残りの我が儘勇者とボルド達が帰ってきた。
「取り合えず、これで作戦会議は終了とする。では、戦場でな。」
「「「ああ。」」」
「勇者は此方来いよ。馬も貸すから、乗っていけ。乗れない奴は歩きで良いが。」
俺の嫌味の言葉に腹が立ったのか、我が儘勇者は馬に乗ろうとする。だが、上手く乗れない。結局、2人は歩いて俺の城に向かうことになった。大森と荒木は無事に乗ることが出来た。何はともあれ、俺は自分の城に帰還するために城に向かって馬を歩かせた。
「はああ。馬に乗れなくたって歩いても行けるわ。なあ、沙耶香?」
「そうよ。歩いたって、城に行けるわ。」
「それなら良いが。」
俺は溜め息を吐く。何処まで強情な奴等なのか。面倒なことは分かっていたが、ここまで面倒だとは思わなかった。こういう奴が嫌われるんだよな。まあ、俺には関係が無いんだけど。
俺はそんなことを思いがら、1羽のフクロウの足に手紙を着けて、飛ばさせる。これが届くのは今日中だろう。なんとか、早い段階で着いて欲しいものだ。
如何でしたでしょうか?
それではまた。