要らぬ荷物
それではどうぞ。
戦争は何故、こうも何回も起こるのだろうか?国が新たな領土を求めることで戦争が起こるのが一番良くあることだ。だが、俺はこうも思うのだ。人間は争いを求めているのではないかと。人間は戦うことを好んでいる。殺し合うことをしたい。そういう欲望や欲求があるのではないだろうか。ここで野心というものも1つ欲望や欲求の中で求めてしまうものの1つではあると俺は思う。人間には無意識でも野心を抱いているものだ。それがどんなことであり、どういうものでも関係ない。野心が戦争の引き金となっているとも言えなくはない。戦争は人間と人間の殺しあいだ。たくさんの人間が死ぬのが戦争であり、たくさんの人間が救われるのも戦争である。戦争に駆り出された者たちはたくさん死んでいしまうし、戦争で勝った国は救われ、国民は喜ぶ。戦争は1つの物語も生めば、悲劇も生む。1つの戦争で救世主や英雄、とか呼ばれる存在が出てきたり、勇者と呼ばれる人間が活躍したりする。これが物語や伝説になったりする。また、1つの戦争で大量虐殺等の残虐な行為も行われることは良くある。これが悲劇となり、復讐する者が出てきたりする。戦争は1つの産業に近いところもあるが、悪い方向に向かえば、それは悪循環となり永遠と回り続ける。戦争では、負けた国には大きな損失がある。例えば、多額の金や領土を渡したり等の国としての国としての損害が大きい。そんな悪いところが多い戦争を何故、行うのか、俺は今でも分からない。さっき言った理由もあるのかもしれないが、他にも行動の原動力となり得る何かがあるのかもしれない。
12神将目録 初代軍師騎士より
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俺とソフィア、ガルシアの3人はカルテナ広場に向かいながら話をしている。カルテナ広場。巨大な木材で作られた机がある騎士団専用の訓練所。全ての物が木材で出来ている森のような場所だ。此処は騎士団長の会議場所によく使われる。
「アルクス、お前は知りたいことでもあるのか?」
「バレたか。ソフィア、ちょっと、騎士たちの方に行っててくれないか。大事な話なんだ。」
「分かりました…」
ソフィアは渋々騎士たちの方に向かって歩いていく。これで2人になれた。いや、変な意味じゃないぞ。ただ単にソフィアに聞かれると不味い話だからあっちに行って貰っただけだからな。これはガチだぞ。
「皇帝が勇者召喚を行ったのはホントか?」
「ああ。蒼炎騎士団の幹部達が集まって召喚室で行ったよ。これは内密に行われていたが、何故、知ってるんだ?」
「俺の隠密部隊を舐めるなよ。それぐらいは出来る。だが、平和なこんな時に何故召喚を?」
「皇帝も色々心配になったんじゃないか。後は貴族たちの助言も合ったみたいだし。」
「貴族か…4人の勇者がいるそうだが、実力はどうだ?」
「まだまだ、ひよっこだよ。1人だけ飛び抜けてる奴はいるが、そいつ以外は入団直後の騎士たちよりも酷いな。そいつも、新人騎士と戦うので精一杯みたいだしな。だが、将来性はあると思うぞ。お前と同じで吸収が早いしな。」
「そうか…」
勇者召喚か…俺達も信用が無いな。勇者召喚。勇者になりうる人材を違う次元から召喚する緊急時に使われる召喚術。王族が代々受け継ぐ家宝を使い行う。今まで、召喚された勇者は名だたる活躍をして有名になっている。皇帝はそれも期待しているのであろう。勇者になりうる者達は覚えることに長けている。吸収力が良い。違う言い方で言えば、物覚えが良い。その為、1ヶ月足らずでその時の騎士団長と同等の力を持つことが出来るという話だ。実際、ガルシアの行っていたように才能が早くも開化されかけている者がいるみたいだしな。
「そう言えば、誰が教えてるんだ?」
「蒼炎騎士団長のポルトと副団長のカルストだ。神将に及ばないにしても腕は中々だからな。教えるのも上手いし。」
「あの二人か。お前は見てるだけなのか?混ざれば良いのに。」
「馬鹿言え。姫に殺されるわ。あの人は出来るんだから。お前も知ってるだろ。」
「勿論。だから、言ったんだが。お前と姫の追いかけっこをもう一度見たいものだな。」
「や、止めろ。寒気がしてきた。姫の睨んだ目線を感じるんだが…」
「大丈夫だよ。そんなことはあるから。」
「あるのかよ。あ、忘れてた。」
俺が首を傾げるとガルシアはニヤリと笑い、此方を見た。また何を考えていることやら。 嫌な予感しかしないんだが。あの顔を潰したい。今すぐにでも。
「勇者達が今回の戦いに参加するから、宜しくだってよ。ポルトからの伝言。」
「はあああー。意味が分からん。ゆ、勇者が今回の戦いに参戦するのか?死ぬぞ!」
「実践経験を積んだ方が良いというポルトの言葉らしい。姫からの伝言。好きにやらして良い。最悪、死ぬギリギリまでほったらかしで良いとのことで。生意気言ったら、単独行動させろとのこと。だってよ。」
「随分嫌われてるな。勇者達、姫に何かしたのか?」
「2人とは普通に接しているんだが、1人の男は会って直ぐに告白して、もう1人の女は生意気とのことで姫の怒りを買ってるよ。一応、普通に接している2人は男と女。男の方が一番強いな。この中では。」
ドンマイと俺は嫌われている2人に呟く。あの人に嫌われると一生、話してもくれないからな。俺とガルシアも5年前まではよく見てたしな。あの人を怒らせる人間を逆に尊敬したくなる。それぐらい、怒ると怖いし。嫌われると皇帝からの視線も怖い。皇帝はノリでやってるだけだが。皇帝の視線は処刑された方がマシなくらいヤバイ。俺も城内に居た頃、何度も見たことがある。逆に皇帝が本気で怒ったところは見たことがない。まあ、見たくて良いが。
「で、俺には好き勝手にやって良いと。それなら、別にいいや。最悪、適当に追い払えば良いし。」
「そそ。宜しく頼むぞ。お前が頼りなんだがらな。」
「もしかして、ガルシアも苦手だったりするのか?別に何も言わないが。」
「ああ。関わりたくはない。」
「そうか。」
「俺はそろそろ城に戻るわ。カルテナ広場には勇者だけで来るから。その時は仲良く頼むぞ。勇者のことは全員が集まったら、話しても良いとよ。じゃあな。」
ガルシアは去っていった。要らぬ荷物を置いて。俺は地獄の底に落ちたのでは無いかと項垂れる。こんなことが会って良いのか?俺は最近、適当に生活を送っていたけど、ここまでの罪になるとは思ってもみなかった。姫はそれぐらいお怒りなのか。会うのが嫌になってくる。しかし、勝利の報告と共に会いに行くしかない。それが神将の指名なのだから。
如何でしたでしょうか?
それではまた。