戦争への兆し
こんにちは
それではどうぞ。
5年後
第一次バライム戦役から5年の月日が流れた。
アリア皇国は5年前の戦争を教訓にそれまでは蒼炎騎士団という1つの騎士団しかなかった。
この騎士団はアリア皇国建国当時から名の知れた騎士団で大陸でも名の知れた騎士団だった。だが、前回の戦争で1つの騎士団だけでは統率が取れないと分かった皇帝が皇国12神将と呼ばれる彼らを騎士団長とした新たなる騎士団を作れば良いのではということになった。
新たな騎士団は
ガイアスの金炎騎士団、
ボルドの銀炎騎士団、
ジュナンの紫炎騎士団、
サラの碧炎騎士団、
バナードの白炎騎士団、
タイアスの橙炎騎士団、
マカナの黒炎騎士団、
ジライの紅炎騎士団、
イノアの黄炎騎士団、
ケイトの藍炎騎士団、
グストルの茜炎騎士団、
最後は
アルクスの灰炎騎士団の合計12騎士団である。
皇国12神将と呼ばれる彼らを皇国12方向の前線にそれぞれ領地を与え、他国を警戒するという体制が組まれた。
これにより蒼炎騎士団は王都の守護に専念できるようになった。王都はより犯罪などが無くなり寄り治安の良いところになった。
神将が得た領土言ってしまえば、皇国の入り口には関所が設けられ、身体検査や少しの金を納めなければならなくなった。これは他国の間者や内通者を無くすための対策である。
18歳になったアルクスは
「仕事はめんどい…」
「しっかりしてください、アルクス団長。貴方は皇国12神将と呼ばれる今や皇国全体の英雄なんですから。」
「あれは親父の命令に従っただけだ。功績が出たのも運が良かっただけ。」
「何を言っているんですか。軍師騎士と言う職は今や皇国の少年や騎士達にとっては憧れの職なんですから。そんな職が出来た始まりの人がこんなだらけてどうします。」
アルクスがぼやいていることを説教しているのが、歴代で2番目に早く騎士になり出世した女性 ソフィアだ。
1番はアルクスだ。彼の最年少入団記録は塗り替えられることは今のところはない。
彼女は現在、灰炎騎士団の2人の副団長の1人である。彼女は騎士団長のアルクスの補佐官にも任命されている。
皇国が作った12の騎士団は全てその騎士団の騎士団長になにもかも任されている。騎士団内の職を決めるのも騎士団長の権限である。
今思えば、何故こんな女にしたのだろうかと後悔しているアルクスではあるが、今更仕方がないと諦めている。
「団長。今、失礼なことを考えませんでしたか?」
「いやいや、そんなことは無いよ。俺の優しい優しい副団長兼団長補佐官様。」
「様を付けるところが怪しいですね。私が期待したアルクス様はどちらに…」
「此処にいるわ。変な期待をするなっての。」
アルクスは溜め息を吐く。
アルクスの灰炎騎士団に入団希望してくるのが彼への憧れから来ている。いつも良い人材を探しているアルクスにとっては将来性が無い奴は蒼炎騎士団に行って貰いたいと思う。
此方は今や、何時戦争が起こっても良いような体制を立てなければいけない。そんな中でムザムザと死んでいかれたら、此方らの指揮に関わってくる。
それを考えれば、出来るだけ生きることの出来る才能がある者達がアルクスとしては望ましい。だが、彼の騎士団が駄目な訳ではない。
12人の将軍や副団長2人は才能溢れ、学園などで経験を積んだ強者と言って良い人材で結果も出している。他の5人隊長や1000人隊長も有望と言えば有望だ。将来が期待できる。歩兵達も、最低限の技術があるためみすみす死ぬことはまず無い。
「そろそろ、戦争が近いな…」
「ん?どうしたんですか、団長?」
「いや、ソフィア。少し退室してくれないか。今から団長会議の時間だから。」
「分かりました。終わり次第お伝えください。」
ソフィアは早々と退室していった。彼女も引き際は弁えているようである。彼女のこういうところが信頼に値するのだろうとアルクスは思う。
アルクスは机の中にあるとある物を取りだし、そこに置く。すると、壁に11個の画面が出てくる。
そこに写っているのは神将達である。彼のさっきの言葉を変えるなら神将会議。
ガイアスお抱えの発明家が作り上げた品物である。
「これから神将会議を始める。」
ガイアスの声と共に会議が幕を開ける。
「今回の内容はザイリ帝国の動きに着いてだ。其処のところはどうだ?アルクス。」
「今は戦争準備中だな。兵達も鍛えているし。だが、出来上がり掛けている。兵の質も、兵糧などの準備も。」
「分かった。それで今回の出陣するのはアルクス、ジュナン、イノア、ボルドの4人の騎士団だ。その間は俺を含めた8人が4人の領土と他国の監視をする。4人は分かっていると思うが、ザイリ帝国が攻めてきてから動けよ。そして、総指揮官はボルド。参謀にアルクス。ジュナンとイノアは2人のサポートを頼む。4人は数日後に会って簡単な打ち合わせをするように。以上だ。」
神将会議は蒼炎騎士団の頃団長であったガイアスが仕切って行う会議だ。この事については誰も反対意見は無かった。流石の人望である。
アルクスは画面を3人用にする。写ったのはボルド、ジュナン、イノアの3人だ。
「それで何時会う?」
「俺は何時でも良いですぜ、坊っちゃん。」
「坊っちゃんって、呼ばれる歳じゃないぞ、ボルド。それにお前が総指揮官なんだから仕切れよ。」
「私も何時でも良いわ。」
「私も。」
「じゃあ、2日後にカルテナ広場でどうだ?」
ボルドの問い掛けにアルクス含めた3人が頷く。そして、全員が了承した為、アルクスは画面を切る。彼は画面を切った後、呼び鈴を鳴らす。すると、ソフィアが現れる。
「早かったですね。」
「話すことは決まってたしな。だが、仕事はめんどいと改めて思ったな…」
「はぁ…しっかりしてください、団長。」
アルクスはまだ、一部の者にしか戦争が起こることを伝えていなかった。
勿論、ソフィアにも伝えず。
如何でしたでしょうか?
それではまた。