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第2皇女Ⅰ

更新が遅れました。


次の投稿も第2皇女の話です。


文字が少なくなりました。すいません。

私はアルクスを知っている。だからこそ言えることがある。7歳の頃だった。アルクスが急に騎士団から姿を消した。誰もが驚いて彼を探した。だが、見つけることは出来なかった。彼の部屋の机には探さないでくださいと紙に書いてあったそうだ。それを見た当時の騎士団長ガイアスは騎士たちを止めて探すのを辞めさせた。


アルクス失踪から1年後、彼はボロボロになった服を着て帰ってきた。だが、彼が明らかに違っているのに私は気づいた。おぞましい程の殺気。失踪する前と確実に違う肉体と顔つき。まるで顔は変わっていないのに別人のように見えた。1年間、何をしていたのかは分からない。だが、剣術の特訓であることはまず間違えない。帰ってきてすぐのアルクスは別人の性格だった。昔は静かでも私とガルシアの喧嘩を良く止めていたが、帰ってきてからは1人大人しく本を読んでいる。何が彼を変えたのか分からない。だけど、私はそれを知るのが少し怖い。それを知ったら、彼は離れていってしまうかもしれないから。


乙女日記より


*********************


あれは11年前だ。突如、アルクスが居なくなった。消えた。唐突もなく騎士団から失踪した。皆が一生懸命探した。だが、見つけることはなかった。ガルシアと私も城内を探し回ったけど、見つけることは出来なかった。騎士たちは城下町にも探しに行ったが何処にも彼の姿はなかったそうだ。私は彼の部屋に向かった。すると、机の上に手紙が置いてあった。探さないでくださいと書かれていた手紙をガイアスに渡すとガイアスは騎士たちにアルクスを探すなと命令した。私は凄く寂しかった。アルクスが勝手に居なくなったことが。だけど、アルクスが見つからないまま、1年が過ぎた。


不意にというか突然というかアルクスがボロボロの格好で帰ってきた。体は万全みたいだが、服装が酷いことになっている。まるで魔物と戦闘を行ってきたかのようだった。アルクス何も言わず自分の部屋に戻っていった。さも、当たり前のように。私はアルクスが帰ったという知らせを聞くと走って彼の部屋に向かった。それで見たのは別人のような性格をした彼だった。


彼は私やガルシアと違い大人しい方だった。いつも本を読み、私とガルシアが喧嘩したらそれを止める仲裁役だった。そんな彼とは目の前にいるアルクスはまるで別人だ。物凄い殺気を出してこっちを見てくる。まるで私が殺す相手のように。正直言って怖かった。背中が震え、寒気がした。恐怖し、怯えた。彼に声を掛けることも出来ずにその場を走って去った。


悲しくて涙を流した。自分が待っていた人が変わり果てている姿にショックを受けた。私は自分の部屋で考えた。何故、私を殺すような目で見たのだろうか?あの殺気はなんだったのだろうか?どれも理由が分からなかった。そして、彼は1年間何をしていたのだろうか?彼女は何年も掛けてその答えを探し回った。そこでヒントとなる情報を手に入れた。それは龍が数年前に殺されたことだ。邪龍、悪龍、黒龍などと町では言われていた龍だ。その龍は町を荒らしに荒らした。人間を襲った。そんな龍が殺されたのだ。殺したのは少年だと町の者の1人が言っていたらしい。全身が真っ黒な服で覆われた少年だったそうだ。帰ってきた時のアルクスの格好も黒であった。それから、数々の伝説級の魔物が殺されているのが分かった。その全てに共通するものは黒い格好をした少年を見たことだ。これがアルクスであった確証はない。だが、これがアルクスなら彼は最低、龍殺しになった言うことだ。伝説の龍殺しに。


伝説の龍殺しの話は誰もが知っている一般的な物語だ。1人の男が町で暴れていた龍を殺して龍殺しとなり、その後は龍を殺した時に得た力で世界を平和にして行った。その後、彼は英雄として讃えられたという話。だが、龍殺しの伝説には奇妙な箇所があるのだ。男は感情を持つことは無く、ただ戦ったというものが。男は龍殺しとなってから友人と関係が次々と途絶えるそうだ。理由は皆が彼を恐れたから。後、彼が物凄い殺気を相手に浴びせたから。これが私には引っ掛かった。まさか、アルクスもそうなのかと。その心配はなかった。彼は数年経ったら、笑顔を取り戻したのだ。昔と同じような笑顔を。私は嬉しかった。彼が元に戻ったと思った。それから戦争が起き、その功績で彼は国境付近に領土を貰った。彼にはもう5年会っていない。だが、私は寂しくない。彼には必ず会えるから。

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