始まり
初めて小説を投稿してから一周年。そこで今回はそれを記念した作品です。超長くなると思います。
それでは宜しくお願いします。
ボロボロの服を着た女性が1つの家の前に赤ん坊を置いていく。女性を見る限り養えることが出来なかったのだろう。
赤ん坊は布を身体に巻いてあるだけの状態である。このまま置いておけば、凍死してしまうのではないかとと思われる。
更に今は冬だ。その可能性はグーンっと跳ね上がる。だが、赤ん坊はすっかりと眠っている。女性は目の前の家の呼び鈴を鳴らして立ち去る。
すると、爽やかな男が出てきた。
「はああ。仕事は大変だな。ん?誰だよ。誰も居ないじゃないか。」
男は辺りを見渡す。
だが、さっきの女性も居なければ、それ以外の人間の姿もない。彼は首を傾げて下を見る。
すると、紙袋に入った赤ん坊が寝ていた。紙袋には置き手紙も書いてあり、男はそれを読む。
『私の家庭はこの子を育てることが出来る環境では無くなってしまった為、有名な騎士団の団長は子供好きとお聞きしましたのでこの子を育ててくださると助かります。そして、この子を立派な騎士にして下さい。貴方とは他人なのにこんなお願いをしてすいません。』
「なんだよ、これは。しょうがない。一人ぐらい育てるか!」
男は赤ん坊を抱き上げると家の中に連れていく。
温かい家の中に。
5年後
「ボルド、俺と勝負だ。今度こそ負けないぞ。」
「坊っちゃんにはまだ負けられないな。」
でかくて頑丈な身体をした男 ボルドは幼い少年と戦闘訓練を行っていた。
力強く大剣を振り回すボルドに対して少年は二種類の片手剣を使い対抗する。少年の振るう片手剣の力強さはボルドと同等の威力が出ている。5歳ぐらいの少年が出せる力ではない。
「やりますね、坊っちゃん。でも、騎士団の将軍の俺が負けるわけにはいかないんですわ。」
「俺はもっともっと強くなって騎士として活躍したいんだよ。その為に俺の踏み台になってくれ。」
「坊っちゃん。まだ、踏み台にされたくありませんね。5歳児に将軍が負けたら、笑い者ですから。おお!?何ですか?その力は・・・」
ボルドの力を越える重い力が大剣に加わる。それも片手で2つの剣を同じ力でぶつけてくる。
(坊っちゃんはホントに他人の特技を吸収するのが早いな…まさか、俺が力で負けるなんて…こんな身体の何処にそんな力が…)
ボルドは力負け倒れる。
これが5歳児とは全く思えない。本当は成人した大人ではないかと疑いたくなる強さだ。
この時点で騎士団長のガイアス以外は負けてしまったのだから、そう思うのも仕方がない。今の少年は10人の将軍を特技だけを上手く吸収している。
その戦闘能力は戦に出しても恥じることはしないであろうと確信があるほどの腕前である。
ガイアスが赤ん坊を拾ったことは将軍たちは知っていた。
だが、その赤ん坊がここまで強くなるとは想像もしていなかった。才能とは凄いものだと将軍たちは改めて思い知る。
8年後
少年 アルクスは養父であるガイアスをも越えて騎士団で最強になった。
ガイアスに勝つことが騎士団に入団する条件であったがアルクスはそれを見事成し遂げ、堂々と入団した。
最初、将軍達から反対があったものの、アルクスがこの条件に了承した為、このような入団テストが行われたのだ。
更にこの8年間で放浪の軍師と呼ばれるゾロンに出会った。
これがアルクスを劇的に変えた。今まで、戦術という物をまるで知らなかった彼は軍師と呼ばれる職に興味を持ち、ゾロンから様々な歴史や戦術などのことを学んだ。
これにより、彼は駆け引きという物を知った。
師ゾロンは2年前に病死してしまうが、彼の全てを学んだアルクスは軍師としても他国の軍師と渡り合える程の実力を持つようになった。
アルクスは墓の前に座っている。
「師匠。俺は今日、初陣をしてきます。その初陣が大国との戦争とは俺も運が無いですが、師匠の教えに従い、駆け引きを用いて勝ってきます。沢山の功績を土産にして帰ってくるんで待っていて下さい。」
アルクスは頭を下げてから墓から離れていった。花束を置いて。
後に第一次バライム戦役と呼ばれるこの戦争はバライムと呼ばれる万能な薬草を得ようとするザイリ帝国がアリア皇国に宣戦を布告して始まった戦争である。
アルクスは次から次へと敵兵を倒して押し進む。アルクスはガイアスの命により1000人の騎士を率いて、敵の兵糧を減らしてこいという言葉を受け、山に兵糧を蓄えて保管していた敵の陣を攻め立て、兵糧を燃やし、敵兵を火破りの計にした。最後はザイリ帝国の将軍を倒して、最終的にはザイリ帝国が停戦協定を求めてきたため、アリア皇国はそれに賛同して戦争は終った。
アルクス、ガイアス、ボルトなどの多大なる功績を納めた者は12人は後に皇国12神将と呼ばれる。この中の10人(ボルトを含む)は騎士団の将軍であった。
アルクスは皇国で軍師騎士としても呼ばれるようになる。そして、これが憧れの職となるのはもう少し後の話である。
如何でしたでしょうか?
それではまた。